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フジヤマから瀬戸内へ ものがたり観光行動学会、シンポで魅力発信

 ものがたり観光行動学会(白幡洋三郎会長=国際日本文化研究センター教授)はこのほど、大阪南港・WTCホールでシンポジウム「フジヤマから瀬戸内へ」を開き、約300人が参加した。

 シンポジウムは東京、富士山に偏っているインバウンド誘致PRを、幕末にシーボルトはじめ外国人が絶賛し歴史文化回廊の役割を果たした瀬戸内にも目を向けてもらうことを企図した。

 記念講演で、旅の文化研究所の神崎宣武所長は「海から景観を見る視点がなくなり、瀬戸内沿岸はずたずたになった」とし、江戸末期に数多く記された紀行文を例に「当時の旅を追体験する船旅」の復活を訴えた。また基調講演で、奈良県立大学の西田正直教授は「風土、過去との連続性から瀬戸内を見直し、人間臭い風景こそが瀬戸内らしさ」などとした。

 パネルディスカッションでは、関西学院大学の加藤晃規教授が「富士山は“塔の思想”、瀬戸内は“広場の思想”と言える」と提起。神崎さんは「塔は一瞬でも評価できるが広場は時間をかけないと評価できない」と応じ、国土交通省海事局の大黒伊勢夫次長は「瀬戸内を目的地として開発するためには物語が必要だ」とした。

 白幡会長は「東西に長い瀬戸内の昼間を俯瞰する船がない。富士山に負けない価値を見出すのは難しいが、物語という手段、行動という実践で昼間の船を学会で復活させたい」と語った。


情報提供:トラベルニュース社