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旅行各社入社式で社長訓示、「『変化』の原動力たれ」−日系航空会社2社も

  • 2010年4月2日
 4月1日、旅行大手各社の2010年度入社式が実施された。各社社長は、訓示の中で厳しい業界環境に触れた上で、「変化」「変革」の原動力になって欲しいと訴えた。

 ジェイティービー(JTB)グループの中核事業会社であるJTB首都圏では、代表取締役社長である野口英明氏が、「『100年に一度』と形容される未曾有の金融危機により、2010年度も決して楽な状況ではない」と言及。その上で、新入社員81名とパートナーズ21名に対して「このような状況に立ち向かうには、やはり最後は『人』の力」とし、「人で差をつける」「人で勝つ」ことを念頭に、「若い力と熱い気持ち」を持って努力するよう求めた。

 全国で454名が入社したエイチ・アイ・エス(HIS)では、代表取締役社長の平林朗氏が激動の中で創立30年目を迎えたとし、「この記念すべき年を、HISの新たな30年を作っていくための初年度と位置づけている」と言及。そして、これからは「世界の旅行会社をめざす」と語り、このためには「大きな変革が必要」と強調。その上で2010年はHISにとって「変革元年」であり、新入社員の若い力を大いに発揮して欲しいと訴えた。

 近畿日本ツーリスト(KNT)では、代表取締役社長の吉川勝久氏が69名の新入社員に訓示。吉川氏は、旅行業界が他業界以上に「激しい変革の『嵐』」の中にあるとし、KNTは創立以来「挑戦力」「発想力」「行動力」で困難や試練を乗り越えてきたと説明。そして、旅行業が「心」の仕事であり、「お客様に感動を与え、人と人との触れ合いの手伝いができる素晴らしい仕事」であることに誇りをもって取り組んで欲しいと語った。

 日本旅行では、代表取締役社長の丸尾和明氏が新入社員28名に対して訓示した。この中で、同社は「SPEED」「SOFT」「SMILE」をキーワードに、生き残りをかえて選択と集中を実践して難局を打破しようとしていると紹介。その上で、2010年は日本旅行に取って「正念場」の年と語り、全社員一丸となって正念場を乗り越えるため、若い力を貸して欲しいと訴えた。

 阪急交通社代表取締役社長に4月1日付けで就任した生井一郎氏は、同日が旧阪急交通社と旧阪神航空が統合し、新生「阪急交通社」として出発する記念すべき日であり、新入社員57名はその第1期生と説明。そして、厳しい環境の中でも、阪急交通社には「常に新しいビジネスモデルを開拓してきた歴史と伝統、ノウハウがあり、それを実践してきた人がいる」と強調。そして、「この土台の上で新しい発想や視点を持ち、大いに挑戦してほしい」とした。

 トップツアーでは43名が入社。代表取締役社長の石川邦大氏は、「非常に厳しい環境」の中で、同社が「お客様満足度ナンバーワン」の旅行会社をめざして顧客満足度の向上に取り組んでいることを強調。そして、「お客様への約束」と位置づけるクレドを日々実践し、「一日も早くお客様に選んでいただける『旅行のプロ』に、そして立派な社会人になっていただきたい」と語った。


▽日系航空会社2社

 日本航空(JL)では、会長の稲盛和夫氏と社長の大西賢氏が挨拶。稲盛氏は、新入社員566名が会社更生中のJLへの入社を決意したことを「大変心強く思っている」と言及。そして「再生への最後のチャンス」に、「私は人一倍の強い思いを持って皆さんの先頭に立ち、JLが復活を遂げるよう全力で取り組んでいく。是非信じてついてきていただきたい」と語り、再生への原動力の一つになって欲しいと訴えた。

 また、大西氏も「JLは過去の価値観と決別して、まさに生まれ変わろうとしているところであり、皆さんは新生JLの一期生」と説明。その上で、「どんな困難があろうとも負けることなく、強い意志と愛着をもって、JLグループを発展させていただきたい」とした。

 全日空(NH)代表取締役社長の伊東信一郎氏は冒頭、「2期連続の、しかも過去最大の赤字というかつてない危機に見舞われている」と言及。一方、「存亡をかけた正念場」である2010年は、首都圏空港の発着枠が拡大する「大きなビジネスチャンスの年」でもあると指摘し、新入社員のバイタリティに期待を示した。また、NHグループの価値観として、安全性の最重視やプロフェッショナリズム、顧客満足度、グローバルな視点を列挙。特にグローバルな視点では、国際線を成長の柱とするため、「世界のさまざまなお客様に夢と感動を与えるために、ANAらしい独自性を創りあげていくこと」が求められているとした。