ルックJTBが「決心」、16年ぶり大幅改革で脱価格競争−旅程保証も独自設定

  • 2010年1月14日
 JTBワールドバケーションズ(JTBWV)は2010年度、ルックJTBで16年ぶりの抜本的革新を実施し、「本物の海外旅行」の提供をめざす。JTBWV代表取締役社長の北島文幸氏は1月13日の商品発表会で、「2009年度は、1964年の海外旅行自由化以来初めて3年連続で前年割れをする見込みであるなど現状は極めて厳しい」としつつ、「ピンチはチャンスであり、今は商品革新の絶好のチャンス」と説明。その上で、低価格競争と海外旅行商品の魅力低下、サプライヤーへの圧迫、ガイド・添乗員へのしわ寄せなどが連鎖する「負のスパイラル」からの脱却を商品革新によってめざす考えを強調した。

 商品革新にあたっては顧客目線を重視し、タグライン「満足の見える旅へ」も設定。独自の基準をつくり、合致するものはルックJTB、合致しないものをノンブランド商品とした。ノンブランド商品は、オフ・間際の需要喚起、マーケット開発、サプライヤーニーズへの対応など戦略性のある、ねらいを明確にした価格型商品として位置づけ。ルックJTBは、「お客様の不満をすべて払拭して、お客様本位にしたい」(常務執行役員の藤本幸男氏)との考えから、18万件のお客様アンケート、8000件の添乗員レポート、1500件の販売店の声を分析して改善点を分析。

 具体的な改善点としては、日本発着の航空会社や便名を申込時に確約するほか、航空会社指定なしを全廃。また、往復ともすべての参加者に追加代金無しで「並び席」を確約する。ホテルも、従来のホテルリストを見直したうえ、Cグレード以下のホテルは基本的に使用しない。また、原則的にバスタブ付きの部屋を用意する。組み込みショッピングも、観光の一部や長距離移動でのトイレ休憩など参加者の視点で合理的な理由がないものはすべて廃止。このほか、「空港からホテルまで何軒ものホテルを回りすぎ」「食事が美味しくない」といった声にも対応した。

 ただし、これらの改善点は一部のコースでは完了しておらず(下表参照)、北島氏は「2010年度をスタートとし、2011年度に完成させたい」と意気込みを示した。

 このほか、「お客様とのお約束を守る」(北島氏)ための決意表明として、旅程保証制度の変更補償金の補償率を引き上げ。例えば旅行開始後に運送機関の種類や会社名を変更した場合、従来は2.0%であったところを、10.0%支払うことにする。「相当大きな金額にはなるが、お約束を守れなかった場合のリスクとして思い切って決断した」(北島氏)という。

 なお、商品革新を決断したのは2008年5月といい、約1年8ヶ月間、社内で徹底的に議論したほか、サプライヤーやオペレーターの協力も得ながら作業を進めてきた。例えば「並び席」でも、日本に就航する各航空会社と各路線について個別に交渉し、確約できる体制を整えたという。

▽関連資料
JTBワールドバケーションズ商品体系(pdf)
















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