現地レポート:オーストラリア インセンティブ向け素材
都市ならではのイベント会場と最上級の食が揃う
メルボルンとシドニーのインセンティブ向け素材
メルボルンとシドニーのインセンティブにおける魅力は、オーストラリアのトップクラスのインフラが集まるところだ。経済の要人が集まる両都市には、世界トップレベルのレストランやホテルがあり、国際イベントも頻繁に開催されるため、会場のレベルとバラエティには事欠かない。加えて、30分から1時間も車で走ればビーチや緑にあふれた地域に出られるため、自然の中での体験やチームビルディングなどを組み込め、1都市滞在で変化がつけられるのも特長。今回はインセンティブ向けイベント「ドリームタイム2009」の一環として実施された、メルボルンでの研修ツアーとシドニーでのイベントで訪れた会場や施設、そこでのテーマパーティやプランを紹介する。
メルボルンの伝統と歴史をテーマに
メルボルンは、国際スポーツイベントが盛んな街。F1、全豪オープンなど、まだ北半球が肌寒い時期、南半球のこの街からシーズンがスタートする。これらと並ぶ国民的イベントがメルボルンカップだ。11月第1火曜日に開催される競馬だが、ビクトリア州ではこの日を休日にしているほどで、国民がレースに熱中する1日となる。
メルボルンカップなどの競馬シーズンは、10月のスプリングレーシングカーニバルでスタートする。春を迎え、街が華やかになってくる季節に、あちこちで競馬のイベントが開かれる。そんなメルボルンの風物詩を取り入れたパーティがフレミントン競馬場で開催された。入口では、馬のぬいぐるみを身に付けたトランペッターが出迎え、女性陣はメルボルンカップ名物の華麗な帽子を被ってのカクテルタイム。テーブルでは先住民の血を引くセレブシェフ、マーク・オリーブによるネイティブハーブをいかした料理が振舞われた。食事を楽しんだ後は、馬番が配布され、前回のレースVTRを上映。見事1着をあてた人にはワインをプレゼントと、メルボルンカップ体験で盛り上がった。
「歴史」に焦点をあてると、ビクトリア州発展の礎となったゴールドラッシュの時代も欠かせない。およそ160年前、1850年代にバララットで金鉱が発見され、一攫千金を夢見た人々が世界中からこの街に押し寄せた。劇場からベーカリーまでその時代の町をまるごと再現している施設「ソブリンヒル」では、当時の服装を着たスタッフが歩いている。小川での砂金採り、金の延べ棒の製作実演、採掘の様子がわかる金採掘跡ツアーなどを通して、ゴールドラッシュの時代が体験できる。食事は10人から300人まで入れる大小5室のビクトリア調の会議・宴会施設があり、屋外スペースを使うこともできる。
ここの1室で、ディンゴ、ポッサム、コアラ、エリマキトカゲなどオーストラリア固有の動物たちを見せるパフォーマンスも行なわれた。出張先に動物を持ち込み、生態を説明しながら触れさせてくれるワイルドアクション社による動物ショーで、自然動物園を訪れる余裕がない行程に余興を入れるにはうってつけだ。

シティでできるアトラクションも豊富
メルボルンの街でできるアトラクションとしては、メルボルン水族館でペンギンと朝食を取るプランが誕生した。新設の“南極”コーナーにはジェンツーペンギンとキングペンギンがおり、この水槽をじっくり見学しながら朝食が食べられるというもの。立食で400人、着席で100人までアレンジできる。また、水族館内には大きな水槽にぐるりと囲まれたスペース「フィッシュボウル」があり、イベントの演出としてこの水槽に社長が潜って社員の前に登場することもできるという。こちらはカクテルで200人ほどのスペースで、アクティブな社長のいる会社では楽しいサプライズができそうだ。
景観に溶け込んでいるほどの名物であるトラムを使用した施設として、「コロニアル・トラムカー・レストラン」がある。レトロなプルマン風トラムは地元の人にとっても記念日などにゆったりと食事を楽しむ人気のアトラクションのひとつ。セントキルダへ向かう車両から人々が行き交う様子を眺めながらコース料理が楽しめる。36席の車両が3台あり、最大108人の貸し切りができる。
アクティブなものを求めるグループは高さ300メートルのユーレカ・スカイデッキ88の「エッジ」へ。これは、88階の展望台にあるガラス張りの部屋が外にせり出す高所アトラクション。夜よりも全方向がよく見える日中の方がよりスリリングだ。89階に会議場、プライベートダイニングなどのスペースがあり、着席で150人まで対応。こちらは夜景を楽しめるディナーの方がよりムード満点だ。
新しいイベント施設も続々
メルボルン市内では着々とインフラ開発が進んでいる。新しいコンベンションセンターが今年完成し、既存の施設をあわせて南半球最大の大きさとなった。ヒルトン・メルボルン・サウスワーフも併設する同施設は環境性能評価基準であるグリーンスターの6ツ星を取得したことでも話題となった。カジノを併設するクラウンエンターテイメントコンプレックス内のホテル「クラウンタワーズ」は、クラウンプロムナードに次いで3軒目となる658室のメトロポールが2010年初めにオープンする。これによりクラウンのホテル合計で1600室以上の客室を有することとなり、大型グループもさらに使いやすくなる。
再開発が進むドックランズにもイベントや会議用の施設ができている。アトランティックグループは、このエリアに異なるスタイルの4つの会場を所有するイベント会社で、20人から1500人規模のグループに対応する。専門シェフも雇うことで、ファインダイニングレストランと同レベルの料理を提供できること、ウォーターフロントのビューが自慢だ。「スケッチ」で開催されたディナーでは、バイオリン美女トリオ「ストリング・ディーバ」の演奏、観客と一緒に楽しむパントマイム、セクシーシンガーによる歌と踊りというエンターテイメントも華を添えた。
シドニーは食をテーマにしたパーティ
一方、シドニーもファインダイニングの宝庫だ。そんなシドニーを象徴するようなパーティがオーストラリアン・テクノロジー・パークで開催された。入口で番号の書かれたスプーンをもらい、テーブルへ移動。するとモダンオーストラリアの先駆、「ロックプール」のニール・ペリーをはじめ、海外でも評価が高い「ユニバーサル」のクリスティン・マンスフィールド、シーフードで有名な「ピア」のグレッグ・ドイルとグラント・キング、モダンタイの「ロングレイン」のマーティン・ボエッツと、5人のセレブシェフが登場。どの番号のテーブルを担当するか発表される。シェフはテーブルそばに設置されたキッチンで調理を開始。調理中には、ドリームタイム前半での各地での体験プログラムの様子もスクリーンに流された。日本向けにはシドニーで活躍する和久田哲也シェフや犬飼春信シェフなどでアレンジできるなら、かなり盛り上がる演出となるはずだ。
新しいインセンティブ素材で参加者の評判がよかったのが、「アイビー」というイベントスペース。コンセプトが異なるバーやレストラン、ラウンジなど17種類の空間が備わる。会場に利用された「プールクラブ」はハリウッドのプールサイドサイドパーティをイメージしており、DJによる音楽とシンクロナイズドスイマーも登場し、オープンな異空間を演出。リラックスできるパーティ会場としてフォーマルなディナーとの変化がつけられる。同施設を所有・運営するメリベール社は、ほかにも個性的なバー&レストランコンプレックスを所有し、さまざまなサイズに対応できる。
日本人にとって魅力ある両都市だが、誘致側でも日本マーケットへの期待は大きい。メルボルン・コンベンション&ビジターズビューロー(MCVB)のCEOサンドラ・チップチェース氏は「アジアは最重要マーケット。日本はメルボルンに企業も多く、ビジネス上のつながりが強い」として、直行便はなくとも旅行業界への働きかけを継続すると断言。シドニーのコンベンション&ビジターズビューロー、マネージングディレクターのジョン・ハッチソン氏も「シドニーには日本人が期待するオプションが揃っている。日本の景気回復に期待する」と話している。
▽関連記事
◆オーストラリア政観、ビジネスイベント地のブランド強化、CRSを推進(2009/10/19)
◆MICE特集、オーストラリアMICEの現状−ドリームタイム現地取材(2009/11/24)
◆メルボルンとシドニー、インセンティブ用プロダクト(2009/11/28)
メルボルンとシドニーのインセンティブ向け素材
メルボルンとシドニーのインセンティブにおける魅力は、オーストラリアのトップクラスのインフラが集まるところだ。経済の要人が集まる両都市には、世界トップレベルのレストランやホテルがあり、国際イベントも頻繁に開催されるため、会場のレベルとバラエティには事欠かない。加えて、30分から1時間も車で走ればビーチや緑にあふれた地域に出られるため、自然の中での体験やチームビルディングなどを組み込め、1都市滞在で変化がつけられるのも特長。今回はインセンティブ向けイベント「ドリームタイム2009」の一環として実施された、メルボルンでの研修ツアーとシドニーでのイベントで訪れた会場や施設、そこでのテーマパーティやプランを紹介する。メルボルンの伝統と歴史をテーマに
メルボルンは、国際スポーツイベントが盛んな街。F1、全豪オープンなど、まだ北半球が肌寒い時期、南半球のこの街からシーズンがスタートする。これらと並ぶ国民的イベントがメルボルンカップだ。11月第1火曜日に開催される競馬だが、ビクトリア州ではこの日を休日にしているほどで、国民がレースに熱中する1日となる。メルボルンカップなどの競馬シーズンは、10月のスプリングレーシングカーニバルでスタートする。春を迎え、街が華やかになってくる季節に、あちこちで競馬のイベントが開かれる。そんなメルボルンの風物詩を取り入れたパーティがフレミントン競馬場で開催された。入口では、馬のぬいぐるみを身に付けたトランペッターが出迎え、女性陣はメルボルンカップ名物の華麗な帽子を被ってのカクテルタイム。テーブルでは先住民の血を引くセレブシェフ、マーク・オリーブによるネイティブハーブをいかした料理が振舞われた。食事を楽しんだ後は、馬番が配布され、前回のレースVTRを上映。見事1着をあてた人にはワインをプレゼントと、メルボルンカップ体験で盛り上がった。
「歴史」に焦点をあてると、ビクトリア州発展の礎となったゴールドラッシュの時代も欠かせない。およそ160年前、1850年代にバララットで金鉱が発見され、一攫千金を夢見た人々が世界中からこの街に押し寄せた。劇場からベーカリーまでその時代の町をまるごと再現している施設「ソブリンヒル」では、当時の服装を着たスタッフが歩いている。小川での砂金採り、金の延べ棒の製作実演、採掘の様子がわかる金採掘跡ツアーなどを通して、ゴールドラッシュの時代が体験できる。食事は10人から300人まで入れる大小5室のビクトリア調の会議・宴会施設があり、屋外スペースを使うこともできる。
ここの1室で、ディンゴ、ポッサム、コアラ、エリマキトカゲなどオーストラリア固有の動物たちを見せるパフォーマンスも行なわれた。出張先に動物を持ち込み、生態を説明しながら触れさせてくれるワイルドアクション社による動物ショーで、自然動物園を訪れる余裕がない行程に余興を入れるにはうってつけだ。

シティでできるアトラクションも豊富
メルボルンの街でできるアトラクションとしては、メルボルン水族館でペンギンと朝食を取るプランが誕生した。新設の“南極”コーナーにはジェンツーペンギンとキングペンギンがおり、この水槽をじっくり見学しながら朝食が食べられるというもの。立食で400人、着席で100人までアレンジできる。また、水族館内には大きな水槽にぐるりと囲まれたスペース「フィッシュボウル」があり、イベントの演出としてこの水槽に社長が潜って社員の前に登場することもできるという。こちらはカクテルで200人ほどのスペースで、アクティブな社長のいる会社では楽しいサプライズができそうだ。景観に溶け込んでいるほどの名物であるトラムを使用した施設として、「コロニアル・トラムカー・レストラン」がある。レトロなプルマン風トラムは地元の人にとっても記念日などにゆったりと食事を楽しむ人気のアトラクションのひとつ。セントキルダへ向かう車両から人々が行き交う様子を眺めながらコース料理が楽しめる。36席の車両が3台あり、最大108人の貸し切りができる。
アクティブなものを求めるグループは高さ300メートルのユーレカ・スカイデッキ88の「エッジ」へ。これは、88階の展望台にあるガラス張りの部屋が外にせり出す高所アトラクション。夜よりも全方向がよく見える日中の方がよりスリリングだ。89階に会議場、プライベートダイニングなどのスペースがあり、着席で150人まで対応。こちらは夜景を楽しめるディナーの方がよりムード満点だ。
新しいイベント施設も続々
メルボルン市内では着々とインフラ開発が進んでいる。新しいコンベンションセンターが今年完成し、既存の施設をあわせて南半球最大の大きさとなった。ヒルトン・メルボルン・サウスワーフも併設する同施設は環境性能評価基準であるグリーンスターの6ツ星を取得したことでも話題となった。カジノを併設するクラウンエンターテイメントコンプレックス内のホテル「クラウンタワーズ」は、クラウンプロムナードに次いで3軒目となる658室のメトロポールが2010年初めにオープンする。これによりクラウンのホテル合計で1600室以上の客室を有することとなり、大型グループもさらに使いやすくなる。再開発が進むドックランズにもイベントや会議用の施設ができている。アトランティックグループは、このエリアに異なるスタイルの4つの会場を所有するイベント会社で、20人から1500人規模のグループに対応する。専門シェフも雇うことで、ファインダイニングレストランと同レベルの料理を提供できること、ウォーターフロントのビューが自慢だ。「スケッチ」で開催されたディナーでは、バイオリン美女トリオ「ストリング・ディーバ」の演奏、観客と一緒に楽しむパントマイム、セクシーシンガーによる歌と踊りというエンターテイメントも華を添えた。
シドニーは食をテーマにしたパーティ
一方、シドニーもファインダイニングの宝庫だ。そんなシドニーを象徴するようなパーティがオーストラリアン・テクノロジー・パークで開催された。入口で番号の書かれたスプーンをもらい、テーブルへ移動。するとモダンオーストラリアの先駆、「ロックプール」のニール・ペリーをはじめ、海外でも評価が高い「ユニバーサル」のクリスティン・マンスフィールド、シーフードで有名な「ピア」のグレッグ・ドイルとグラント・キング、モダンタイの「ロングレイン」のマーティン・ボエッツと、5人のセレブシェフが登場。どの番号のテーブルを担当するか発表される。シェフはテーブルそばに設置されたキッチンで調理を開始。調理中には、ドリームタイム前半での各地での体験プログラムの様子もスクリーンに流された。日本向けにはシドニーで活躍する和久田哲也シェフや犬飼春信シェフなどでアレンジできるなら、かなり盛り上がる演出となるはずだ。新しいインセンティブ素材で参加者の評判がよかったのが、「アイビー」というイベントスペース。コンセプトが異なるバーやレストラン、ラウンジなど17種類の空間が備わる。会場に利用された「プールクラブ」はハリウッドのプールサイドサイドパーティをイメージしており、DJによる音楽とシンクロナイズドスイマーも登場し、オープンな異空間を演出。リラックスできるパーティ会場としてフォーマルなディナーとの変化がつけられる。同施設を所有・運営するメリベール社は、ほかにも個性的なバー&レストランコンプレックスを所有し、さまざまなサイズに対応できる。
日本人にとって魅力ある両都市だが、誘致側でも日本マーケットへの期待は大きい。メルボルン・コンベンション&ビジターズビューロー(MCVB)のCEOサンドラ・チップチェース氏は「アジアは最重要マーケット。日本はメルボルンに企業も多く、ビジネス上のつながりが強い」として、直行便はなくとも旅行業界への働きかけを継続すると断言。シドニーのコンベンション&ビジターズビューロー、マネージングディレクターのジョン・ハッチソン氏も「シドニーには日本人が期待するオプションが揃っている。日本の景気回復に期待する」と話している。
▽関連記事
◆オーストラリア政観、ビジネスイベント地のブランド強化、CRSを推進(2009/10/19)
◆MICE特集、オーストラリアMICEの現状−ドリームタイム現地取材(2009/11/24)
◆メルボルンとシドニー、インセンティブ用プロダクト(2009/11/28)
インセンティブ向けQFサービス・ビジネスクラスとファーストラウンジ
インセンティブツアーではアップグレードされた
サービスを使う機会が多い。そこでインセンティブ
にも最適なカンタス航空(QF)のビジネスクラスの
サービスを紹介する。まず、QFはビジネスクラスで
は成田空港に専用ラウンジを用意している。窓越し
にQF機材が見られる位置に広がるスペースは164席
あり、無線LANが完備。夜行便に備えたシャワー
ルームもある。
機内では、頭部が覆われるコクーン型のスカイ
ベッドが特徴的だ。オーストラリア人デザイナー、
マーク・ニューソンがデザインしたもので、リクラ
イニングも最大172度とほぼフラットになるシート
は全長199.4センチ、足、背中など部分ごとの調整
もできる。機内食はニール・ペリーが監修しており、
ニューソンがデザインした食器でサービスされる。
ワインはオーストラリア全土から年間400種類を厳選
し、ビジネスクラスの場合機材ごとに4種類前後を
用意している。
アメニティのオリジナルパジャマは客室乗務員の制服
と同様、オーストラリア人デザイナーのピーター・モリッセーによるもの。アンチ
エイジングに優れたスキンケアが入ったキットケースもニューソンのデザイン。なお、
ビジネスクラスの預入手荷物は総重量で30キログラムまでとなる。
一方、ワンワールドのエメラルド会員はシドニー、メルボルンにあるファースト
クラス用のラウンジが使用できる。マーク・ニューソンが設計を担当したラウンジ
エリアまでのアプローチにはフランスの植物学者パトリック・ブランによる垂直庭園
といわれる緑の壁が広がる。自然光がふんだんに入るゆったりしたスペースに、
ライブラリなども設けられ、レストランエリアではニール・ペリーによるアラカルト・
メニューが提供される。スパではシャワー付きのトリートメントルーム3室、リラク
ゼーションルームが2室あり、緑が一面に広がる空間で20分から50分の施術が受けられる。取材協力:オーストラリア政府観光局、カンタス航空
取材:平山喜代江