現地レポート:モンゴル 日本人旅行者3倍増へ、官民あげて誘致強化
潜在する大きな観光資源と強い熱意
今後に期待がかかるモンゴル観光
モンゴルはどこまでも続く広大な草原、民族衣装に身を包んだ遊牧民、旅情たっぷりのゲルといった、旅行者の心を掻き立てるビジュアル・インパクトのある観光素材に恵まれている。モンゴルは現在、観光業を主要産業のひとつとして海外から観光客の誘致に乗り出しており、日本からは現在の約3倍となる5万人の誘致をめざしている。モンゴル旅行業協会(MTA)が9月下旬、日本支部開設後初めて実施したFAMツアーには、日本からは基本的にモンゴル旅行の取扱いが初めてとなる日本旅行業協会(JATA)会員の旅行会社を中心に、マスコミなど全19名が参加。「モンゴルはパンフレットを作りやすいデスティネーション。受け入れ態勢が整っていれば送客できる」と期待しての訪問となった。
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◆日蒙観光振興にはビザ緩和やインフラ整備を−モンゴルFAMツアーで意見交換(2009/10/26)
◆モンゴル旅行業協会、日本で初のFAMツアー実施、旅行先としての認知向上へ(2009/09/04)
ツーリストキャンプかホテルか
顧客の違いで好みの分かれるアコモデーション
日本からモンゴルへは、ミアットモンゴル航空(OM)の直行便が就航しており、成田/ウランバートル間の所要時間は約5時間30分。モンゴルの観光ではウランバートルを起点に目的地へ移動し、ウランバートル以外では基本的に宿泊施設は外国人観光客向けのツーリストキャンプになる。敷地内に複数のゲルが設置され、客室となるゲルのほか、レストラン棟、少し離れてシャワーとトイレの施設がある。近年ではラグジュアリーなツーリストキャンプもオープンしているほか、2008年にはウランバートルから約70キロ離れたテルレジ国立公園にモンゴル初の5ツ星ホテル「テルレジホテル」もオープンした。
ツーリストキャンプは、まさにゲル体験をできるのが魅力だ。だが、今回宿泊した3軒はいずれも水道設備がじゅうぶんに整っておらず、シャワーがあってもお湯が安定供給されるとはいい難い。暖は薪ストーブでとるが、夜間に2、3回、スタッフが各ゲルを回ってストーブに薪を追加するから、鍵を閉めて眠ることができない。ゲルは建て付けが悪いうえ、作業の物音もするため、これが気になるかならないかでゲルの快適度合いに個人差が生じる。「寒かったり暑かったり、温度が変わりすぎる」「人の気配が気になる」と眠れない夜を過ごした参加者がいる一方で、「草原の真ん中でこれだけ施設が整っていれば十分」「物音は特に気にならなかった」と、ゲル滞在を満喫した参加者もいた。今回は体験しなかったが、ゲルで遊牧民の日常生活を見たり、モンゴル文化のレクチャーを受けたり、馬乳酒やボーズといった遊牧民の料理を味わうという日帰りツアーでの体験もできるそうだ。「泊まらなくても、日帰りで良い」という声もあった。
一方、ラグジュアリーホテルに対しては「ホテルで安心して眠れる」「水回りが整っていてお湯もふんだんに出る」「日本人にはこちらの宿泊を薦めたい」とする声もあれば、「この価格を出せば、他国ではもっといいホテルに泊まれる」「モンゴルらしさがない」という声も。記者が取材したFAMツアーで、旅行会社の意見がここまで分かれたのは初めてだ。「快適な旅行」と「その国らしさ」のバランスをどこに取るか、それぞれの旅行会社が想定する旅行者により、評価は大きく異なった。
広大な国土の移動、インフラ整備を早急に求める参加者も
モンゴル国内の移動は、大型の4WDを使うかイズニス航空(ZY)をはじめとする国内航空会社を利用することになる。今回は、ウランバートルからカラコルム遺跡のあるハラホリンまでの移動でZYを利用した。所用時間は約1時間。陸路で移動する場合は6、7時間かかるので、空路を組み込めば大きな時間短縮ができる。ただし、観光需要が季節によって大きく変動するため、現在は定期便の運航は非常に少なく、運賃も高い。だが、「ZYは国内の主要観光都市を網羅しているのが強み。定期便が安定供給され、価格がこなれてくれば、国内線を使ったツアープランも考えられる」と参加者は期待を寄せる。
とはいえ今のところは、でこぼこの激しいオフロードを数時間かけての移動が多い。360度見渡せる地平線に向かって、広大な草原や点在するゲル、馬や牛、羊などの家畜を眺めるドライブは、モンゴル旅行の魅力のひとつだ。しかし、1日7、8時間近くもオフロードを移動するため、疲労から体調を崩す参加者が複数いた。ただし、現地ガイドによれば、今回は人数の関係で大型バスでの移動となったが、大型の4WDの方が快適で、ここまで移動に負担がかかることはないとのことだ。
また、ツアーを計画するにあたっては、少なくとも2時間に1回を目安に休憩をとる。しかし、めぼしい休憩スポットはなく、下水道が整備されていないため快適なトイレもない。「日本から送客するなら、道路の整備とトイレの設置が急務」とする参加者が多かった。JATA理事長の柴田耕介氏と、同常務理事でANAセールス取締役会長の北林克比古氏も、政府要人との会談やビジネスミーティングのスピーチで、道路や水回りのインフラ整備を強く訴えていた。
従来の観光素材に加え、新スポットも次々オープン
モンゴルへの日本人旅行者は、夏期に集中している。青々とした草原を疾走する馬や情緒溢れるゲルをイメージして訪れ、ツーリストキャンプを拠点に乗馬をしたり、テント泊で移動しながら乗馬トレッキングを楽しむ。これに加えて歴史好きなら世界遺産のカラコルム遺跡を組み込んだり、ゴビ砂漠でラクダキャラバンもできる。やはり、粗野ともいえるほど手つかずの雄大な自然がモンゴルの最大の魅力であることは間違いなく、これまでのツアーは自然をたっぷり味わうアドベンチャー的な度合いが高かった。
今回のツアーでは、カラコルム遺跡エルデニ・ゾー大寺院、モンゴルにしか生息していない野生馬タヒを見られるホスタイ国立公園といった、従来の主要な観光地のほか、新しい観光地も2ヶ所訪れた。トゥブ県エルデネソムにある13世紀村は、モンゴル帝国時代の生活文化を再現したというモンゴル初のテーマパークで、2006年6月にオープン。88ヘクタールの広大な敷地に、現在は「王侯貴族の宮廷」や「シャーマンの村」「遊牧民の集落」など6つのアトラクションが稼働していて、5年計画で13テーマの集落が建設される予定だ。それぞれの施設は山陰や谷間にあり、他のアトラクションからは見えない位置にある。
もう1ヶ所は高台にそびえるチンギス・ハーン騎馬像だ。騎馬像内部をエレベーターで上がり、地上40メートルの高さから広がる大地を眺められる。周辺には数百棟の宿泊用ゲルを建設予定で、将来的には大テーマパークになるという。13世紀村へのルート上にあり、ウランバートルからテルレジ方面への移動の際に立ち寄ったり、2ヶ所を組み込んだ昼食付きの日帰りツアーでの観光も可能だ。
とにかくモンゴルの観光スポットはどこも広くて、その分移動に時間がかかる。たとえば13世紀村へは、メインロードの案内板に従ってオフロードに入ってから30分、門番のいるアトラクションを過ぎてから次のアトラクションが見えてくるまで、ゆうに10分はかかる。「各アトラクションが離れすぎて、かえって不便」「唐突に出現する巨大な騎馬像は、むしろ景観を損なっている」とする声もあれば「これはこれで、日本とは遠近感が違い過ぎておもしろい」「これもモンゴルの文化」と、参加者の意見が分かれた。
熱意と潜在力に大きな評価
今回の訪問先は治安に問題ない場所を選んだこともあり、参加者は治安の良さに安心したようだ。特にウランバートルではスリや置き引き、窃盗は懸念される事項だが「今回訪れたホテル、観光客向けのレストランやその周辺なら問題ない」とする参加者が多かった。食事も観光客向けには生野菜なども用意され、衛生も安心できるものだった。しかし、今回は視察用の旅程であったこともあって、長距離の移動による疲労と油脂分の多い料理の影響で、残念ながら参加者の半数以上が最終日までに何らかの体調不良となってしまった。
海外からの観光客誘致には民間も熱心で、FAMツアー中でのビジネスミーティングにはMTA会員の旅行会社40名以上が出席。熱い討論を交わし、モンゴルの旅行会社からは「インフラの整備というが、舗装路でツーリストキャンプに行くのが本当に魅力的か」「不便さも含めてモンゴルの魅力」との発言があった。また「欧米の旅行者は大自然を楽しみに来る。インフラ整備を求めるのは、日本人旅行者がまだ成熟していないからで、成熟するように日本の旅行会社も努力してほしい」という意見も寄せられた。ちなみに、FAMツアー中は日本人旅行者に出会うことはなかったが、欧米の旅行者にはところどころで出会った。
日本側は、現在の訪問している日本人の1万7000人は冒険好き、秘境好きな旅行者と想定。モンゴル側が目標とする5万人の誘致には、ホテルでは安定してお湯が出て、トイレとシャワーを客室に設置するなど、一般旅行者向けのインフラの整備が外せないことで意見が一致した。ただし、各局面に対してどう捉えるかで評価は変わり、日本側にも「エコツーリズムが注目されている時代。モンゴルの自然は極力残すべき」とは考えている。
モンゴルは広大で、観光客が訪れるのはごく一部。多くの地域は手つかずのまま、潜在力を秘めて眠っている。例えば砂漠ツアーなども考えられるだろう。民間旅行会社の熱意は高く、これから観光業は急成長していきそうだ。MTAと同日本支部は民間旅行会社の情熱を追い風に、夏に集中していた観光客の平準化をはかり、多彩なデスティネーションを提案して、日本人訪問者数5万人を数年で実現したいという。
今後に期待がかかるモンゴル観光
モンゴルはどこまでも続く広大な草原、民族衣装に身を包んだ遊牧民、旅情たっぷりのゲルといった、旅行者の心を掻き立てるビジュアル・インパクトのある観光素材に恵まれている。モンゴルは現在、観光業を主要産業のひとつとして海外から観光客の誘致に乗り出しており、日本からは現在の約3倍となる5万人の誘致をめざしている。モンゴル旅行業協会(MTA)が9月下旬、日本支部開設後初めて実施したFAMツアーには、日本からは基本的にモンゴル旅行の取扱いが初めてとなる日本旅行業協会(JATA)会員の旅行会社を中心に、マスコミなど全19名が参加。「モンゴルはパンフレットを作りやすいデスティネーション。受け入れ態勢が整っていれば送客できる」と期待しての訪問となった。
▽関連記事
◆日蒙観光振興にはビザ緩和やインフラ整備を−モンゴルFAMツアーで意見交換(2009/10/26)
◆モンゴル旅行業協会、日本で初のFAMツアー実施、旅行先としての認知向上へ(2009/09/04)
ツーリストキャンプかホテルか
顧客の違いで好みの分かれるアコモデーション
日本からモンゴルへは、ミアットモンゴル航空(OM)の直行便が就航しており、成田/ウランバートル間の所要時間は約5時間30分。モンゴルの観光ではウランバートルを起点に目的地へ移動し、ウランバートル以外では基本的に宿泊施設は外国人観光客向けのツーリストキャンプになる。敷地内に複数のゲルが設置され、客室となるゲルのほか、レストラン棟、少し離れてシャワーとトイレの施設がある。近年ではラグジュアリーなツーリストキャンプもオープンしているほか、2008年にはウランバートルから約70キロ離れたテルレジ国立公園にモンゴル初の5ツ星ホテル「テルレジホテル」もオープンした。
ツーリストキャンプは、まさにゲル体験をできるのが魅力だ。だが、今回宿泊した3軒はいずれも水道設備がじゅうぶんに整っておらず、シャワーがあってもお湯が安定供給されるとはいい難い。暖は薪ストーブでとるが、夜間に2、3回、スタッフが各ゲルを回ってストーブに薪を追加するから、鍵を閉めて眠ることができない。ゲルは建て付けが悪いうえ、作業の物音もするため、これが気になるかならないかでゲルの快適度合いに個人差が生じる。「寒かったり暑かったり、温度が変わりすぎる」「人の気配が気になる」と眠れない夜を過ごした参加者がいる一方で、「草原の真ん中でこれだけ施設が整っていれば十分」「物音は特に気にならなかった」と、ゲル滞在を満喫した参加者もいた。今回は体験しなかったが、ゲルで遊牧民の日常生活を見たり、モンゴル文化のレクチャーを受けたり、馬乳酒やボーズといった遊牧民の料理を味わうという日帰りツアーでの体験もできるそうだ。「泊まらなくても、日帰りで良い」という声もあった。
一方、ラグジュアリーホテルに対しては「ホテルで安心して眠れる」「水回りが整っていてお湯もふんだんに出る」「日本人にはこちらの宿泊を薦めたい」とする声もあれば、「この価格を出せば、他国ではもっといいホテルに泊まれる」「モンゴルらしさがない」という声も。記者が取材したFAMツアーで、旅行会社の意見がここまで分かれたのは初めてだ。「快適な旅行」と「その国らしさ」のバランスをどこに取るか、それぞれの旅行会社が想定する旅行者により、評価は大きく異なった。
広大な国土の移動、インフラ整備を早急に求める参加者も
モンゴル国内の移動は、大型の4WDを使うかイズニス航空(ZY)をはじめとする国内航空会社を利用することになる。今回は、ウランバートルからカラコルム遺跡のあるハラホリンまでの移動でZYを利用した。所用時間は約1時間。陸路で移動する場合は6、7時間かかるので、空路を組み込めば大きな時間短縮ができる。ただし、観光需要が季節によって大きく変動するため、現在は定期便の運航は非常に少なく、運賃も高い。だが、「ZYは国内の主要観光都市を網羅しているのが強み。定期便が安定供給され、価格がこなれてくれば、国内線を使ったツアープランも考えられる」と参加者は期待を寄せる。
とはいえ今のところは、でこぼこの激しいオフロードを数時間かけての移動が多い。360度見渡せる地平線に向かって、広大な草原や点在するゲル、馬や牛、羊などの家畜を眺めるドライブは、モンゴル旅行の魅力のひとつだ。しかし、1日7、8時間近くもオフロードを移動するため、疲労から体調を崩す参加者が複数いた。ただし、現地ガイドによれば、今回は人数の関係で大型バスでの移動となったが、大型の4WDの方が快適で、ここまで移動に負担がかかることはないとのことだ。
また、ツアーを計画するにあたっては、少なくとも2時間に1回を目安に休憩をとる。しかし、めぼしい休憩スポットはなく、下水道が整備されていないため快適なトイレもない。「日本から送客するなら、道路の整備とトイレの設置が急務」とする参加者が多かった。JATA理事長の柴田耕介氏と、同常務理事でANAセールス取締役会長の北林克比古氏も、政府要人との会談やビジネスミーティングのスピーチで、道路や水回りのインフラ整備を強く訴えていた。
従来の観光素材に加え、新スポットも次々オープン
モンゴルへの日本人旅行者は、夏期に集中している。青々とした草原を疾走する馬や情緒溢れるゲルをイメージして訪れ、ツーリストキャンプを拠点に乗馬をしたり、テント泊で移動しながら乗馬トレッキングを楽しむ。これに加えて歴史好きなら世界遺産のカラコルム遺跡を組み込んだり、ゴビ砂漠でラクダキャラバンもできる。やはり、粗野ともいえるほど手つかずの雄大な自然がモンゴルの最大の魅力であることは間違いなく、これまでのツアーは自然をたっぷり味わうアドベンチャー的な度合いが高かった。
今回のツアーでは、カラコルム遺跡エルデニ・ゾー大寺院、モンゴルにしか生息していない野生馬タヒを見られるホスタイ国立公園といった、従来の主要な観光地のほか、新しい観光地も2ヶ所訪れた。トゥブ県エルデネソムにある13世紀村は、モンゴル帝国時代の生活文化を再現したというモンゴル初のテーマパークで、2006年6月にオープン。88ヘクタールの広大な敷地に、現在は「王侯貴族の宮廷」や「シャーマンの村」「遊牧民の集落」など6つのアトラクションが稼働していて、5年計画で13テーマの集落が建設される予定だ。それぞれの施設は山陰や谷間にあり、他のアトラクションからは見えない位置にある。
もう1ヶ所は高台にそびえるチンギス・ハーン騎馬像だ。騎馬像内部をエレベーターで上がり、地上40メートルの高さから広がる大地を眺められる。周辺には数百棟の宿泊用ゲルを建設予定で、将来的には大テーマパークになるという。13世紀村へのルート上にあり、ウランバートルからテルレジ方面への移動の際に立ち寄ったり、2ヶ所を組み込んだ昼食付きの日帰りツアーでの観光も可能だ。
とにかくモンゴルの観光スポットはどこも広くて、その分移動に時間がかかる。たとえば13世紀村へは、メインロードの案内板に従ってオフロードに入ってから30分、門番のいるアトラクションを過ぎてから次のアトラクションが見えてくるまで、ゆうに10分はかかる。「各アトラクションが離れすぎて、かえって不便」「唐突に出現する巨大な騎馬像は、むしろ景観を損なっている」とする声もあれば「これはこれで、日本とは遠近感が違い過ぎておもしろい」「これもモンゴルの文化」と、参加者の意見が分かれた。
熱意と潜在力に大きな評価
今回の訪問先は治安に問題ない場所を選んだこともあり、参加者は治安の良さに安心したようだ。特にウランバートルではスリや置き引き、窃盗は懸念される事項だが「今回訪れたホテル、観光客向けのレストランやその周辺なら問題ない」とする参加者が多かった。食事も観光客向けには生野菜なども用意され、衛生も安心できるものだった。しかし、今回は視察用の旅程であったこともあって、長距離の移動による疲労と油脂分の多い料理の影響で、残念ながら参加者の半数以上が最終日までに何らかの体調不良となってしまった。
海外からの観光客誘致には民間も熱心で、FAMツアー中でのビジネスミーティングにはMTA会員の旅行会社40名以上が出席。熱い討論を交わし、モンゴルの旅行会社からは「インフラの整備というが、舗装路でツーリストキャンプに行くのが本当に魅力的か」「不便さも含めてモンゴルの魅力」との発言があった。また「欧米の旅行者は大自然を楽しみに来る。インフラ整備を求めるのは、日本人旅行者がまだ成熟していないからで、成熟するように日本の旅行会社も努力してほしい」という意見も寄せられた。ちなみに、FAMツアー中は日本人旅行者に出会うことはなかったが、欧米の旅行者にはところどころで出会った。
日本側は、現在の訪問している日本人の1万7000人は冒険好き、秘境好きな旅行者と想定。モンゴル側が目標とする5万人の誘致には、ホテルでは安定してお湯が出て、トイレとシャワーを客室に設置するなど、一般旅行者向けのインフラの整備が外せないことで意見が一致した。ただし、各局面に対してどう捉えるかで評価は変わり、日本側にも「エコツーリズムが注目されている時代。モンゴルの自然は極力残すべき」とは考えている。
モンゴルは広大で、観光客が訪れるのはごく一部。多くの地域は手つかずのまま、潜在力を秘めて眠っている。例えば砂漠ツアーなども考えられるだろう。民間旅行会社の熱意は高く、これから観光業は急成長していきそうだ。MTAと同日本支部は民間旅行会社の情熱を追い風に、夏に集中していた観光客の平準化をはかり、多彩なデスティネーションを提案して、日本人訪問者数5万人を数年で実現したいという。
取材協力:モンゴル旅行業協会、ミアットモンゴル航空
取材:江藤詩文