産業観光の視点生かす京都の未来 「知恵博」でフォーラム開く

 産業観光の観点から京都の伝統文化、産業を生かした観光振興を考える「知恵と力の京の文化・産業観光フォーラム」が10月12日、京都市東山区の祇園甲部歌舞練場で開かれた。観光庁の本保芳明長官や全国産業観光推進協議会副会長の須田寛さんが京都観光への期待、可能性を語り、京都ならではの新しい観光のあり方を考えた。

 10月10日−12月20日まで実施する「京都知恵と力の博覧会」のオープニングを記念し、京都府や京都市、京都商工会議所などでつくる同博覧会推進協議会が開いたもので、市民や観光関係者ら約900人が参加した。

 記念講演として登壇した本保長官は、インバウンドの推進に向けた京都への期待を話した。「欧米から人気の京都は大きな存在。結果を求めるにはぜひ伸ばしたい地域だ。関西が頑張らないと観光大国にはなれないと考えており、京都にリーダーシップを取ってもらいたい」と話し、日本が国際観光大国を目指すために京都を戦略的拠点にしたい意向を示した。

 その上で「京都が持つ、これまで隠されていた魅力をオープンにし、外国人に伝統のよさを伝えることも必要ではないか。京都とコラボレーションすることで、結果として日本全体の観光向上につなげたい。ご協力を」と要望した。

 須田さんは、京都の歴史文化を生かした産業観光の可能性について講演した。

 なかでも琵琶湖疏水については「京都の近代化の歴史がたどれる壮大な産業観光資源で、まさに京都の知恵と力の結集。全国的にも例がなく、学習、体験観光に大きな可能性がある」と力説し、「疎水を中心に京都の観光ネットワークを見直せば新しい京都観光の実現につながる」と説いた。

 そのほか、パネルディスカッションでは、京料理「瓢亭」の主人・高橋英一さんと、みやこの女将の会会長の西村明美さん(柊家旅館女将)が「京のものづくりとおもてなし」について意見を交わした。京舞井上流五世家元の井上八千代さんによる祝舞「老松」も披露された。

 主催者あいさつで、山田啓二京都府知事は「観光面から京都の未来、京都が持つ本当の力について考え、さらなる発展につなげたい」と話した。


情報提供:トラベルニュース社