松山市への修学旅行数が増加 地域資源生かし誘致推進

 松山市は近年、修学旅行の誘致に力を入れている。道後温泉、自然、歴史文化と豊富な魅力を教育に生かした体験メニューを揃え、着々と参加校数を伸ばしている。

 本格的に誘致を始めたのは2007年から。道後温泉を有し団体旅行に強いため手つかずの分野だったが、市の「坂の上の雲」を軸にしたまちづくりや、中島など離島が市町村合併で加わったことを契機に、松山の幅広い魅力を生かそうと活動を開始した。

 モデルコースや体験メニューを設定し、地元旅館ホテルとも折衝を重ね受入体制を整えるなど地域ぐるみで質の高い修学旅行づくりを推進。全国の学校や旅行会社へPRを展開したところ、参加校は06年度の4校から08年度は25校、09年度は約30校にまで増え、取り組みが実を結んでいる。

 体験学習メニューは松山の文化と自然を中心に多彩なラインナップ。歴史学習は「坂の上の雲」ゆかりの地を巡り明治時代に触れる。中島ではみかん収穫や釣りなど島文化との交流や、環境学習も用意。道後温泉では旅館で日本料理の食べ方や作法など料理長や女将から和文化を学ぶ。正岡子規ゆかりの地での吟行体験や、しまなみ海道での自然体験も。

 また、修学旅行のメッカ・広島と結ぶチャーター船の利用を提案。スーパージェット、高速艇、フェリーの3種を用意し人数や旅程に合わせた利用を可能にした。広島から松山に船で訪れ、瀬戸大橋などを渡り京阪神へ向かう「ゴールデンルート」の定着を目指す。

 そのほか、道後温泉本館では「分湯場」を修学旅行に限り特別公開。松山城では登城太鼓打ちや鎧の試着が体験できるほか、坂の上の雲ミュージアムの無料観覧など特典も設けている。

 中村時広・松山市長は「松山は『坂の上の雲』。学校教育であまり触れられない明治時代の扉を開くことができます。これと島文化を組み合わせた異質な空間が、松山オリジナルの修学旅行の魅力です」と話している。


情報提供:トラベルニュース社