第1回「観光甲子園」 グランプリに隠岐島前高校と横浜市立みなと総合高校

 高校生の熱い戦いが繰り広げられた本家、甲子園から20キロほど離れた神戸市の神戸夙川学院大学で第1回「観光甲子園」が開かれた。全国各地の高校生による観光プランのコンテストで、予選を通過した10校の生徒が8月23日、オリジナルプランをプレゼンテーションした。選考の結果、グランプリに当たる文部科学大臣賞に隠岐島前高校(島根県)、観光庁長官賞に横浜市立みなと総合高校(神奈川県)が選ばれた。

 文部科学大臣賞に選ばれた隠岐島前高校は「ヒトツナギ〜人との出会いから始まる君だけの島前三島物語」と題したプランを発表した。都会の高校生と島の高校生がペアになって隠岐の暮らしを一緒に体験するという内容で「いわゆる観光名所には立ち寄らず、隠岐の人たちこそが最高の観光」というもの。プレゼンテーションは、島の良さに気づかない地元高校生と引きこもりがちな都会の高校生が畜産農家でのお手伝いなどを通じて、隠岐のこと、島の人が好きになり、互いに無二の親友として認め合うというドラマ仕立て。若者が流出し人口減少や高齢化が進む島の現状や、生徒数が減って存続が危ぶまれる自分たちの学校の課題を見据えてプランを練った。

 大会組織委員会の委員長で審査委員長も務めた石森秀三・北海道大学観光学高等研究センター長は「隠岐島前高校は、魂のこもったプレゼンでありプランになっていました。交通アクセスなどにより、旧来の観光ではハンデを背負っている隠岐ですが、若い人をターゲットにした高校生であればこその内容でした」と評価した。

 観光庁長官賞の横浜市立みなと総合高校は「あなたもスターに! ヨコハマ・シネマ・スター・ツアー」というプラン。石森さんは「横浜が持つ観光素材をうまく活用し、フィルムツーリズムという新しい視点を取り入れていました」とした。

 準グランプリは那須高校(栃木県)、新居浜南高校(愛媛県)、釧路工業高専(北海道)だった。

 講評で石森さんは「グランプリに選ばれた2校は、人に焦点を当てたという点で高い評価を得ました。常識的な観光資源ではなく、新しい旅のあり方が示唆されていました」と話していた。

 「観光甲子園」は、高校生が地域の観光資源を生かした商品化を目指せる観光プランを4月から募り、全国69校から157プランの応募があった。斬新性や地域性、採算性などを観点に審査し、この日までに10校に絞っていた。


情報提供:トラベルニュース社