観光から考えるユニバーサルデザイン 神戸市が交流会開く

 神戸市都市計画総局民間活力創造室は6月25日、神戸市役所で「こうべユニバーサルデザイン(UD)都市づくり交流会」を開いた。5回目となる今回は「観光の最前線から考えるユニバーサルな街」をテーマに、地元観光関係者らが意見を交わした。

 同市は、市民や来訪者が安心して快適に過ごせるまちを目指し、UDにまつわる取り組みを進めており、交流会もその一環。毎回、神戸市内の主要施設の事業者やUDに取り組む団体、市民などが参加し、UDの取り組み事例の紹介や情報交換を行っている。

 この日は、神戸港で観光クルーズ船「コンチェルト」を運航する神戸クルーザー社長の南部真知子さんが事例を紹介。

 南部さんは、船は設備面でUDの導入が難しく苦労した経験からUDへの理解を深め「限られた状況の中ではソフトで対応するしかない」と考え、利用者への接遇面で従業員教育を徹底したという。「幸せを感じてもらえるためにどうするか。これはすべてのお客に対して同じことで、感謝や立場への理解などを考えて接遇するべき」と考えを語った。

 続いて、南部さんとバリアフリー旅行ネットワーク副代表の北見貴志さん(夢ツーリストきたみ)が対談。参加者との意見交換も行われた。

 北見さんは、バリアフリー旅行を企画、実施してきた実績を紹介。ユニバーサルな旅行とは「受入側が何でも決めつけず旅行者の意識を尊重し自然体で対応するべき。受入、旅行会社、旅行者の意識が同方向に向くことが大切ではないか」との考えを披露した。

 コーディネーターを務めた神戸芸術工科大学の相良二朗教授は、両氏の話から「サービス業として、いかにしてお客に幸せを与えられるか、を軸に考えることが共通している。今日の話を参考にUDに取り組む上でのヒントを見つけてもらいたい」と話していた。


情報提供:トラベルニュース社