VWC、ヨーロッパ旅行調査報告会実施−在日観光局、航空会社の代表者が参加

  • 2009年7月6日
 日本旅行業協会(JATA)VWC2000万人推進室は7月3日、ヨーロッパ旅行需要の掘り起こしをテーマにヨーロッパ旅行調査報告会を実施、ヨーロッパ方面の在日観光局と航空会社を中心に、代表者ら計15名が参加した。VWCは事業戦略の柱の一つとして「調査・市場開発」を掲げており、前年度の「若者の海外旅行離れ」に引き続き、2009年度はヨーロッパ市場に取り組む。VWC推進室長の澤邊宏氏は冒頭、「ヨーロッパは日本の海外旅行市場にとって、最も重要なデスティネーションの一つ」と述べた上で、近年低迷する日本人のヨーロッパ旅行に懸念を示し、「これが我々にとって2つ目の課題、または挑戦である」と挨拶した。

 今回の調査は、ブラッセルにあるETC本部と財団法人日本交通公社(JTBF)の協力により実現。「なぜ日本の海外旅行市場は低迷しているのか」、「日本人のヨーロッパ旅行を促進するためにはどうしたら良いのか」について、消費者動向調査(B2C)だけでなく、旅行会社やランドオペレーターを対象にした調査(B2B)も実施、2つの局面に分けて分析したという。JTBF主任研究員の黒須宏志氏は、報告内容を大きく3つのテーマに分け、低迷する日本の海外旅行市場の構造および要因、ヨーロッパ旅行に関する分析結果と今後の可能性、ステークホルダーへの提案事項を説明した。

 このうち、ヨーロッパ旅行については、海外旅行経験者に注目すべきと強調。過去10年間、日本からヨーロッパへの旅行者のうち、海外旅行を10回以上経験している人の数は各世代で増加しているのに対し、海外旅行経験が10回未満の人の数は各世代で減少しているという。さらに黒須氏は、「ヨーロッパ全体をひとつのデスティネーションとして考えれば、状況はそれほど悪くない」と説明。今後はメジャーなデスティネーションから、地方の町や村など他のデスティネーションへの誘導をはかることで、新たな可能性を見いだせるのではないかと提言した。

 約2時間の報告会では参加者からの質問や意見が飛び交い、調査結果に示されている言葉の定義そのものに対する疑問や、複数の調査結果の間に生じる矛盾点などを指摘する声も挙がったが、改めてこの問題への参加者の関心の高さがうかがえるものとなった。報告会終了後、一部の参加者からは「良くまとめられていた」、「もし今回の結果が本当ならば、戦略を見直す必要もある」などの声が寄せられた一方で、「色々な疑問が残る」、「既に分かっていることが多く、その先が知りたかった」という意見も多く聞かれた。VWCは参加者にE-mailでのコメント送付を依頼、今後の活動に反映させていくという。