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TA、インフルエンザへの影響「大きな痛手」−旅行見本市「ATE」を開催

  • 2009年6月15日
 (メルボルン発:本誌 高橋絵美)オーストラリア政府観光局(TA)が6月12日からメルボルンで開催しているインバウンド旅行見本市「オーストラリア・トラベル・エクスチェンジ(ATE)」のオープニングにオーストラリア政府観光大臣のマーティン・ファーガソン氏が出席、新型インフルエンザの話題に触れ「オーストラリアは常にビジネスを受け入れる姿勢がある」とコメント。新型インフルエンザの影響により、教育旅行を中心に多数のキャンセルが出ていることについて、「打撃が拡大しないよう、政府間での話し合いを持つ」と語り、そして「(教育旅行の実施を)キャンセルではなく、延期に促す対応を検討したい」と述べた。TA本局局長のジェフ・バックレー氏によると、新型インフルエンザの影響によりキャンセルした教育旅行に参加する予定だった学生数は約8万人になると予測。日本の教育旅行のキャンセル数は7月までに約2万人になると予測していることから、全キャンセル数の約25%、そして日本人渡航者数全体の約5%になる計算で「大きな痛手」と述べた。

 TA日本・アジア統括本部長のリチャード・ビアー氏によると、このような現状に歯止めをかけるために、TAでは、学校や旅行会社、教育関係機関に向けて週に1回から2回、現状の正しい情報を発信するほか、学校関係者とも密にコミュニケーションを取り、キャンセルではなく延期という対応を取ってもらうよう対応に努める方針だ。

 また現在オーストラリアの全州で、メキシコ、アメリカ、カナダ、日本、パナマからの訪問に際し、入国後7日間は学校機関に登校しないよう義務付ける受入措置を実施しているが、ビアー氏は「この件は、公衆衛生に関する措置であって、観光ではなく保健を担当する省庁が所管している」と説明。その上で、日本旅行業協会(JATA)が先ごろこの件に関し要望書を提出したことにより、豪政府間で話し合いが持たれたことを紹介し、こうした活動に謝意を表明した。そして、観光大臣も受け入れには積極的な姿勢を示していることから、「政府をはじめ、関係各署の話し合いに期待する」とし、この措置がオーストラリアの観光産業に与える影響の大きさから、早期解決に向け「至急検討してもらいたい」と語った。

 修学旅行や語学研修も含めた教育旅行は、学校側の判断でキャンセルになる場合がほとんどだが、TA日本局長の堀和典氏によると、学校側がキャンセルした場合でも、生徒個人が抱くオーストラリアへの教育旅行の期待やニーズが高いとのこと。その需要を獲得するため、TAでは大手旅行会社と協力して「リカバリー対策」として、個人ベースのホームステイプログラムなどの商品開発を強化していく考えだ。すでに、JTB地球倶楽部などが商品を造成しており、学生の夏休み中の需要を取り込む。


▽ATE、インフル影響も昨年と同規模を維持、参加者からも有意義との声

 「オーストラリア・トラベル・エクスチェンジ(ATE)」には日本からも36名の旅行会社、現地ツアーオペレーターが参加し、商談会を行った。新型インフルエンザの影響もあり参加のキャンセルが懸念されたが、日本も含め全体の参加者数も約2000名と、昨年と同規模を維持している。日本の旅行会社の参加者からも「いつもメールや電話でやり取りをしている担当者と直接会え、新しい商品のアイディアが浮かんだ」、また「最近暗い話題が多かったが、実際に現地に来てサプライヤーの熱意を感じ、頑張って商品を作ってみようと思った」など、参加に対しての前向きなコメントが多く聞かれた。