JTB、新中計は「Next Global Challenge」、100周年に向け3つの成長シナリオ

▽「地域交流事業、グローバル事業、ウェブ事業」で成長
具体的な計画としては、地域交流事業、グローバル事業、ウェブ事業の3事業での成長シナリオを描く。地域交流事業は「交流文化領域の中核を担う戦略事業」として位置づけ、グループの営業力と専門性を発揮するほか、「デスティネーション・マネージメント・カンパニー(DMC)」機能での新事業やコンテンツの開発を進める。
グローバル事業とウェブ事業は成長事業としての位置付け。グローバル事業については、「強力な事業基盤をてこにグローバルに展開するメガエージェント、ITを基軸とする新興企業が多数あるが、JTBとしても、グローバル領域での事業基盤、経営基盤の構築を強力に推進する」と意気込む。
ウェブ事業は、今後IT分野がさらに続伸し、ユビキタス社会が到来するとの予測から、消費者の購買行動の変化を踏まえて経営資源を重点投下し、「宿泊などのeコマース市場での存在感を高めたい」という。また、店舗やコールセンターなど既存の機能とのクロスチャンネル戦略も強化する方針だ。
▽ブランド確立など経営戦略−品質向上にも取り組み
これらの成長シナリオを支えるグループ経営戦略としては、CSR活動の推進によるグループブランドの確立、人材確保と育成、長期的なITシステムに基づいた基幹システムの開発などを掲げる。また、当面の環境の厳しさから「量の拡大は困難。体質強化のチャンスと捉え、質の充実を進める」方針だ。すでに経営品質向上プロジェクトを立ち上げており、内部体制の充実、経営の質的向上、商品やサービスの質的向上などに向け施策を重点的に実施する。田川氏は、これらの取り組みについて「状況が好転した際に、よりしなやかで緊密な企業体質を実現」することが目標と説明した。
数値計画としては、期間中に「安定的に連結経常利益200億円を確保できる体制」をめざす。ただし、経営環境の先行きが不透明なため、現段階では2009年度の目標値のみ設定。売上高は2.5%増の1兆3080億円、営業利益は79.8%減の24億円、経常利益は26.2%増の80億円、最終損益は10億円の黒字化をめざす。一方、投資計画では、2009年度内に26.9%減の154億1000万円を計画している。2010年度と2011年度の具体的数値は2009年11月ごろまでに策定する予定だ。