ハワイ・マーケットトレンド:モクレレ航空の登場で拡充した離島間フライト

ハワイ離島の利便性を考えて、参入

アロハ航空の旅客便停止後、離島を結ぶジェット機の路線は以前から4割程度落ち込み、ハワイアン航空(HA)と、ゴー・エアライン(YV)の2社の選択肢になっていた。そんな状態に、ボイヤー氏は「今のハワイにはもっと選択肢が必要である」と市場の活性化に乗り出した。アロハ航空の元社員を積極的に採用し、彼らの経験を活用すると同時に、短期間での就航にも成功。リパブリック・エアウェイズから3機のジェット機を借りる契約を結び、2008年11月にはホノルル/リフエ線、ホノルル/コナ線を就航。09年2月1日にはホノルル/カフルイ線を就航し、ジェット便として3路線の運航にいたった。
リバプリック・エアウェイズの子会社として再出発

まずダーギン氏が着手したのが、路線の見直し。セスナ機を3機減らし、ラナイ/カパルア線など、利益が低い路線を一時休止させた。これにより運航便数は157便から84便にまで縮小したことになる。一方で、5月1日にはホノルル/ヒロを就航し、「セスナ機は減らしていったが、ジェット機はこれからも増やしていきたい」と意欲を見せる。
米本土への認知向上、オンライン旅行会社、航空会社との提携すすめる

各航空会社とのアライアンスにも力を入れる。ダーギン氏の就任前はアラスカ航空(AS)とウエストジェット・エアラインズ(WS)とのアライアンスのみであったが、4月23日にはコンチネンタル航空(CO)、5月にはフィリピン航空(PR)とのアライアンスを締結。「現在日本のキャリアを含む8つの航空会社とのアライアンスを進めている」と力強く話す。「日本はアメリカに次いで2番目に大切な市場。航空券は現在、ウェブあるいは電話での申し込み受付であるが、ハワイにある日系旅行会社と契約を結べるように全力を上げている」という。料金面については現在、ホノルル/カフルイ間、ホノルル/コナ間ともに片道39米ドルから。「不況のこの時期、低料金体制はしばらく続くと思う。社内のコスト削減に努め、利益を確保していきたい」とダーギン氏は語る。
「一番愛される航空会社に」

ジェット機を見て、まず目がいくのが尾翼に描かれたカパルアリゾートのロゴマーク。実はこの部分は広告として使用しており、マウイ島のカパルアリゾートが広告スペースとして使っているのだ。ジェットの中を覗くと広々とした空間で、座席間のスペースもゆったりしている。新しいジェット機だけあり、シートの座り心地もよい。
ジェット機は「エンブラエル170」で、フライトアテンダントが2名乗務。座席は2−2列の配列で、合計70名を収容できる。セールス&ディレクターのイポ・モスマン氏は「通常のボーイングより燃費がよく、乗り心地もスムーズで、静か」とジェット機の利点をアピール。前の6席はファースト席となっており、コンプリメンタリーとしてサービスされるミネラルウォーター、アイランドジュース、コーヒー以外にコーラ、ビールも提供する。またファーストクラスの乗客向けのラウンジ「ali’i Club」が空港内にあり、コーヒー、お茶のほかに簡単なスナックも提供し、なかなか快適な空間となっていた。
見学中はキャプテンクルー、キャビンアテンダント、そしてそのほかのスタッフたちが非常に活き活きと、そして和やかに働いていたのがとても印象的だった。「HAに次いで業界2位をめざしていますか」とスタッフに問うと、「一番愛される航空会社になりたい」と話す姿に、今後のモクレレ航空の成長に期待したい。

取材:堀内章子
