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南アフリカ、ムプマランガ州への送客が好調−日本語ガイド研修も検討

  • 2009年5月26日
 南アフリカ観光局(SAT)日本地区代表ブラッドリー・ブラウワー氏が5月8日、日本におけるムプマランガ州のマーケティングとプロモーション活動による同州への貢献に対し、ムプマランガ州観光公園局(MTPA)から表彰された。2007年に日本地区代表に着任したブラウワー氏は、日本での南アフリカツアーがパターン化されており選択肢がないとの見解から、同年、新しいデスティネーションの提案としてムプマランガ州の観光プロモーションを開始。同州をすすめてきた理由としてブラッドリー氏は、「サファリのほかに、多くの滝やブライデリバーキャニオンのような渓谷、ジャカランダの花など日本人好みの自然がある同州は日本マーケット向け」と話す。ツアー造成が難しかった状況から、2008年にはFITやハネムーンでクルーガー国立公園に訪れる人が増え、ツアー数も増加した。2008年に同州への日本人訪問者数は「前年比でおよそ300%の伸び」を示しているという。「日本からムプマランガ州へのチャーター便を運航し、直行便の就航につなげるのが最終目標」とブラウワー氏は語る。

 「ニューゴールド」と呼ばれるムプマランガ州は、南アフリカにおける注目の観光デスティネーション。世界から約130万人が訪れる同州には、2008年は南アフリカで3番目に多くの観光客が集めた。観光業は州の域内総生産(Gross Geographic Product=GGP)の4%を占め、13万人の雇用を生み出す産業に成長している。MTPAの最高責任者チャールズ・ヌダベニ氏は、「2016年までに観光業がGGPの8%、年間270万人の観光客、30万人の雇用を生み出すことが目標」と話す。

 ムプマランガ州が日本マーケットを重要視するのは、世界観光機関(WTO)の予測にもとづくもので、「2020年に世界の旅行者数は現在の2倍の16億人になる。それを牽引するのが、日本、中国、インド、ロシア、ブラジルなどの国々」という。さらに、ワールドカップ開催によるキャンプ地招致への期待もある。その上で課題となるのが、クルーガー・ムプマランガ国際空港への航空座席の供給数だ。国際空港ながら南アフリカ航空(SA)の地方路線、エアリンク(Airlink,4Z)が中心となっており、発着便数が限られている。ヌダベニ氏は、「現在ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)と格安航空会社(LCC)のクルラ航空を運営するコムエアーと、同州への就航に向けた話し合いをしている」と述べ、座席供給量の増加に期待を示した。

 南アフリカへはアフリカ南部を巡る周遊ツアーなどで訪れることが多く、2008年はジンバブエの危険度が上がった影響もあり、南アフリカへの日本人訪問者数は前年比13.3%減の2万7621人となった。南アフリカを訪れる日本人の約80%はパッケージツアーでの参加で、ムプマランガ州への送客増加のためには、ツアーに組み込むことが重要となる。また、日本人観光客の半数が60歳以上のシニア層ということもあり、日本語ガイドの設置も課題だ。MTPA最高マーケティング責任者のゾレルワ・ムコゾ氏によれば、「ブラッドリー氏の要請により、州の経済発展計画局が日本語ガイド研修を計画中」という。