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シルバーシー、日本市場に期待、新造船の早期予約も好調−船内見学会開催

  • 2009年5月21日
 シルバーシー・クルーズはシルバー・シャドーの92日間の環太平洋クルーズの横浜寄港にあわせ、5月14日と15日に旅行業界、およびプレス関係者を対象にした船内見学会を開催した。これにあわせエグゼクティブ・バイス・プレジデント&COOのケン・ワトソン氏、アジアパシフィック筆頭副社長のスティーブ・オデル氏が来日し、同社のアピールとともに日本市場への強い期待を示した。オデル氏には見学会の前にインタビューをし、ラグジュアリークルーズ市場の動向と、今後の方針を聞いた。   


▽船内見学会 ワトソン氏、「日本は成長のカギを握る市場」

 見学会ではワトソン氏が壇上に立ち、「アジア・太平洋地域を高く評価しており、特に日本は大切。潜在性ある市場で成長のカギを握る」と述べ、日本市場への期待とともに、今後、さらに日本へ寄港する意欲を示した。また、自らシルバーシーの特徴を説明。乗客構成を引き合いに、一般的にアメリカが半数から8割を占める客船が多いが、同社は40%程度と半数以下で、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアなどの乗客も多く「船上の雰囲気が違う」という。このほか、運航時期の旬にあわせた配船で世界中を運航し、1000泊以上のクルーズ経験者も多いという顧客の多様な旅のニーズに応えており、「ラグジュアリーセグメントのクルーズのなかでもユニーク」とアピール。一方で、「先読みするサービスに努めている」と、サービス志向のクルーズであることも強調した。

 なお、同社では2008年に探検船「プリンス・アルベールII」を配船し、2009年12月には乗客定員がシルバー・シャドーの1.4倍となる540名の新造船「シルバー・スピリット」を就航。これら2船が加わることでキャパシティが53%増加する。今後の日本寄港としては2010年、シルバー・シャドーで9月にバンクーバー/東京間の16日間のクルーズ、東京/上海11日間のクルーズを計画しており、函館や仙台、長崎などの寄港も予定されている。


▽インタビュー、オデル氏「2010年の日本市場はポジティブ」

■日本市場の現状は

 08年後半からの世界的な経済悪化にともない、クルーズ市場全体の傾向として予約期間が短くなっている。国際市場は予約が早く、6ヶ月から1年前の予約が主流であったが、1ヶ月前からの予約が増えた。08年は全体をみればそこまで悪い結果ではないが、09年はアジア太平洋地域では15%減となると見込んでいる。

 ただし、日本市場は円高の追い風があり、今年は今までにない送客が見込めると期待している。既に今年は大手旅行会社によるチャーターが実現したほか、新造船のシルバー・スピリットを中心に2010年の早期予約が入っている。キャパシティが増える上、客室の中で3番目に広い「シルバー・スイート」の予約が好調で、一人あたりの単価が増額するだろう。


■この状況下での集客について、どのような戦略を立てているか

 景気が悪化しても、ラグジュアリー層の旅行を求めるニーズはある。しかし、メディアのネガティブな情報が彼らの消費を抑えることがある。弊社はその時々の状況や市場特性にあわせて戦略を立てており、現在はシルバーシーの良さを知っている既存顧客に集中してマーケティングをしている。会員組織「ベネチアン」向けのDMやイベントの開催のほか、ラグジュアリー層をターゲットとする異業種パートナーとのコラボレーションも考えられる。ブローシャーやウェブサイトなど、顧客が手に取ったり視認するもので質の良さが伝わるように努めている。


■MICE、チャーターはどうか

 景気の影響で需要は下がるだろう。しかし、MICEやチャーターはもともと2、3年の先を見た早期予約が必要であり、現在は先々のプロモートをするビジネスチャンスと捉えている。既に2011年や12年にシンガポールやオーストラリアで、MICEのチャーター予約が入っている。今でもアクティブに活動することが大切だ。






■航空会社が日本市場でもゼロコミッションをはじめたが、コミッションについての考えは

 コミッションを変えることは考えられない。これからも現状を維持していく。しかも、弊社は食事や飲み物、チップを含むオールインクルーシブに対するコミッションとなる。また、クルーズは顧客の3分の2がリピーターであり、旅好きな良い客が多く、クルーズ会社と旅行会社はもっとWin-Winな関係になれるはず。旅行会社にはぜひ、現状以上にクルーズ・ビジネスに着手し、日本市場でのクルーズ客を育成してほしいと思う。


ありがとうございました