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インタビュー:マレーシア観光大臣のン・イェンイェン氏

  • 2009年5月12日
「日本の旅行業界と、同じゴールをめざしていきたい」
マレーシア第2の重要産業である観光を成功へ


 本年度のビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)で重点デスティネーションに選ばれたマレーシア。多様な文化やアクティビティが豊富で、通常の観光旅行のみならず、修学旅行やロングステイの旅先としても人気が高い。先月の就任後、早々に来日した観光大臣のン・イェンイェン氏に、マレーシア観光の現状とセールスポイント、今後のターゲットなどについて聞いた。




−今回の来日の目的は

ン・イェンイェン氏 4月10日に観光大臣に就任したばかりです。ですから各国を歴訪中で、まずは、非常に重要な市場である日本の旅行会社の方々への挨拶とこれまでのマレーシア観光に対する感謝を伝えたいと思っていました。新しいプロモーション方針を説明し、マレーシアをより強くアピールするのが、来日の目的です。今回は2泊の滞在ですが、できる限り多くの場所を訪問したいと思っています。


−マレーシアにおける日本人観光客の動向はどのようなものでしょうか

ン・イェンイェン氏 日本人訪問者数は毎年増えており、現在は年間約40万人規模になっています。特に学生の教育旅行やロングステイに注目が集まっており、マレーシアのよさを評価していただいているのだと感じています。

 特に1週間から3週間と長期間滞在するロングステイの場合、滞在費が安く、日本に比べてとても贅沢な生活ができるのが利点ですね。リピーターも多く、長期滞在ビザを取得し、マレーシアを第2の故郷として家を購入して過ごされる方もいらっしゃいます。実際、月1500米ドル程度で、環境の良い地域にある広くてきれいなマンションで暮らすことが可能です。ガソリンも1リットルあたり50セントほどです。日本食レストランも多いですし、ジャスコやそごう、紀伊国屋書店など日系の店舗もありますから、日本人には大変住みやすい環境だといえるのではないでしょうか。


−日本市場でのプロモーションは、今後どのように展開されますか

ン・イェンイェン氏 教育旅行、ロングステイのほか、今後はSITの獲得を引き続き、めざしていきます。マレーシアにはスペシャルなアクティビティが充実しており、これを活かして誘致がねらえるものです。

 なかで最も人気があるのはダイビングですね。マレーシアには1000以上の島々がありますから、ダイビングポイントがとても多く、海水も温かい。ファミリーからシニアまで、誰にでも楽しめるアクティビティです。

 次に人気があるのはゴルフです。マレーシアは小さな国ですが、207のゴルフコースがあり、1ラウンド100米ドルほどでプレイできます。しかもランチとキャディ付きです。こちらはリタイアしてこれからの余暇を楽しむ人、「Golden Age」と呼んでいますが、こういう人たちにはパラダイスといえるでしょう。この層の誘客の際には、シニア層への需要を喚起するだけでなく、彼らの子供にも両親へのプレゼントにマレーシア旅行が適していると訴えていきたいと考えています。

 それから、「SSSG」。 「Smart Super, Shopping Girls」です(笑)。ブランド品や化粧品、香水などなど少ない金額でたくさんの商品のショッピングが楽しめるのです。大きなショッピングモールもたくさんありますし、買物のあとはスパやネイルサロンでくつろぐこともできます。だから日本の“SSS”なOLさんたちに最適な旅先であると強調したいですね。


−今年は日本の海外旅行の需要喚起策であるVWCでマレーシアが重点デスティネーションに選出され、一方で観光庁の「Visit Japan Campaign」(VJC)でも新興市場として名があがっています。ツーウェイ・ツーリズムの意義についてお考えをお聞かせください

ン・イェンイェン氏 まず、VWCの中心である日本旅行業界(JATA)にはマレーシアを優れた旅先として認めてくださったことに感謝します。相応の数の旅行者がマレーシアにきているという結果だと思います。

 それから、旅行とは多くの人々が互いに出会うということですよね。アジアの国々は友好を深めなくてはなりませんが、ツーリズムはその最も有効な手段です。ですから、より多くのマレーシア人が日本を訪れることが望まれます。

 いままでのところ、マレーシア人が訪れる日本の都市は東京、京都、札幌が中心になっています。しかし、例えば京都近辺では奈良も素晴らしい都市です。今後はこうした周辺都市でもマレーシアの人々にとっての様々な魅力を打ち出せるでしょう。


現在起こっている新型インフルエンザは世界の旅行業に大きな影響を与えていますが、マレーシア観光省ではどのような対応をお考えですか。

ン・イェンイェン氏 経済的に大きな影響を及ぼすでしょう。しかし、保健省と連携して常に情報をモニターしており、なにか起こればすぐに対応できるようにしてあります。私たちは苦い経験から学んでおり、今回の新型インフルエンザでは以前のような事態にはならないでしょう。

 1950年代、1970年代に起こったパンデミックではマレーシアは大変なダメージを受けました。さまざまな産業、交通、もちろん人にも、そして観光にも影響しましたね。特に先に起こったSARSでは大変苦い経験をしています。ですから、国をあげて今回の事態に対処する準備ができているのです。


−日本の旅行業者へのメッセージをお願いします。

ン・イェンイェン氏 マレーシア政府はマレーシアにおける観光産業の発展を促進していますし、成功を確信しています。マレーシアにとって観光は第2の重要な産業です。だからこそ、必ずしも成功させたい、させてなくてはならない。日本の旅行業界にもまた、そのように努力していただき、同じゴールをめざしていきたいと強く願っています。


−ありがとうございました