シリーズ地旅:全国の民謡が一堂に、はいやくまもと2009

 熊本市で7月19日−20日、民謡の祭典「はいやくまもと2009」が開かれる。熊本県牛深市で生まれた民謡「はいや節」にちなんで2年1度開催されているもので、今年で2回目。牛深はいや節を基に、北前船などによって同系統の民謡は全国に広まった。佐渡おけさ、阿波踊りなどもはいや節系民謡だという。祭典には全国から民謡の愛好家らが集まる見込みで、主催者は「北海道のよさこいソーラン祭りと並び称されるような、民謡の祭典として定着させたい」とし、さらに参加者を募っている。

 はいやくまもとは、熊本市の旅行会社アースランド観光の帆足秀樹社長が会長を務める「ふるさとの夢と文化を育てる会」が主催。2011年に九州新幹線・鹿児島ルートが全通し、熊本県が通過型観光地になってしまう危機感から企画した。はいや節系民謡をテーマに全国各地と相互交流を図ることが目的で、帆足会長が理事を務める熊本県旅行業協会も共催し、着地型旅行素材としてもアピールする。実際、2年前の第1回開催時には広島県などからのバスツアーに組み入れられたという。

 牛深はいや節は、沖縄のエイサーや奄美諸島の民謡が変形したものだと言われる。天草の最南端に位置する牛深は古くからの港町で、潮待ちや嵐が過ぎるまでの間、船乗りたちは「新銀取り」と呼ばれる女性を相手に酒を飲み大騒ぎするしかなかった。その酒席で生まれたのが牛深はいや節で、江戸時代になって、独特の熱狂的なリズムと踊りは北前船を通じて全国に広まっていった。はいや節は、歌詞とリズムを変えながら伝わっていき、はんや、やっさ、おけさ、甚句など各地で個性的な歌や踊りへと発展していったという。

 はいや節の流れを汲む主な民謡は、江差餅搗き囃子(北海道)、新潟おけさ、五箇山はいや(富山県)、石見浜田節(島根県)、潮来甚句(茨城県)、伊豆下田節(静岡県)、阿波おどりなど全国に多数存在している。

 7月19日は、熊本市街の商店街や熊本城で全国から参加した踊りのコンテストが行われる。20日は市民会館で表彰式がある。見物客も一緒に踊ったり、全国各地の物産市の開催も予定している。現在、先着50団体をメドに参加者を募っているほか、はいやくまもとの見学ツアーの造成を全国の旅行会社に呼びかけている。


情報提供:トラベルニュース社