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旅行各社の社長が入社式で訓示―「厳しい時こそチャンス」

  • 2009年4月2日
 4月1日、旅行大手各社の2009年度入社式が実施され、各社社長が新入社員に訓示した。各社ともに、現在の旅行業界を取りまく厳しい環境に言及しつつ、難局こそ変革期でありチャンスと訴えた。

 ジェイティービー(JTB)グループのうち、JTB首都圏の入社式では、4月1日付けで代表取締役社長に就任した野口英明氏が「皆さんとは同期入社」と語り、「JTB首都圏にとっても新しい中期3ヶ年計画がスタートする」と強調。その上で、首都圏地区の多くの旅行会社との競争に勝ち抜くには、社員一人ひとりが知恵を出し合う必要があると説明。社会人生活の心構えとして、「夢を持ち続けること」、「自分磨きをすること」、さらに「元気よく率先して挨拶すること」が重要と語った。

 また、昨年4月1日に就任したエイチ・アイ・エス(HIS)代表取締役社長の平林朗氏は、「スタートに立つことはゴールを目指して進むこと」と言及。全員が同じように基本的なことばかりを担当するとしても、それぞれのゴールをイメージしながら取り組んで欲しいと訴えた。また、現在の環境については、「世界経済は劇的に変化した。その時々の変化に対応するためには自ら変化し挑戦し続けるしかない」とし、「世界のHIS」に向けて「失敗をおそれず挑戦し、成功するまで継続して取り組んでほしい」と訴えた。

 近畿日本ツーリスト代表取締役社長の吉川勝久氏は、「KNTの一番の強みは人。KNTの社員には無謀とも思われるほどの『挑戦力』、業界で非常識だと思われることでも果敢に取り組む強い『発想力』がある」と強調。その上で、「多様性が求められる現代こそ『発想力』がKNTの武器になる」とし、厳しい環境だからこそ「新しいことに立ち向かっていく『想像力』が大切。若い皆さんの力に大いに期待している」と語った。

 日本旅行代表取締役社長の丸尾和明氏は、「皆さんは大変厳しい時期に入社された」としつつ、「むしろこうした変革期に入社されたことをチャンスと捉え、新たな気持ちでスタートを切ってもらいたい」と要望。社会人として心がけるポイントとして、「常にお客様の目線に立って行動する」、「向上心を持って積極的に行動する」、「努力は必ず報われる」の3点を挙げた。

 阪急阪神交通社ホールディングス代表取締役社長の小島弘氏は、「『いつも上昇志向』であって欲しい」、「何事にも誠実であれ」と語りかける。そして、「旅行事業も国際輸送事業もかなり大きな影響を受けている」と認めつつ、これまでにも9.11やSARSなど苦難の時期はあったとし、「あくまで品質管理をしっかりして良質なサービスを提供することでお客様の満足と信頼を頂く。この基本線を確実に守ることで苦境を必ず克服できる」と語った。


▽日系航空会社2社

 日本航空(JL)代表取締役社長の西松遙氏と全日空(NH)代表取締役社長の伊東信一郎氏は、いずれも「安全」の重要性を強調した上で、航空業界の将来は明るいと予測。西松氏は、「日本経済のグローバル化」、「日本の消費者の物離れによる消費行動の変化」、「アジアの経済成長」の3点がビジネスチャンスになると言及。このうち、「物離れ」は内際ともに「旅行」の需要につながるとの考えで、「潜在需要は極めて大きい」と分析した。

 また、社会人として人生を充実するためのヒントとして、西松氏は「実務知識・技量の習得」、「自分の持ち場・職場の視点からだけでなく、どうするのが会社全体にとって最も良い方法かなど、常に横のつながりを意識した判断」、「常に1つ2つ上のランクの職位になったつもりで物事を俯瞰的にとらえる」ことが重要と語った。

 一方、伊東氏は「お客様の声を積極的に聞き、気持ちを察し、期待以上の対応をして差し上げる」ことが感動を生み出すと説明。座席や食事などのサービスは他社に追随されることが多いなか、「人が提供するサービスは簡単には追随できない。サービスに魂を入れるのは、皆さん一人ひとりの『お客様の満足、そして幸せを願う心、気持ち』」であると説いた。