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観光まちづくりの創造力 近畿運輸局が勉強会

 国土交通省近畿運輸局が3月9日に開いた「第2回観光関係勉強会」で、第2部は京都府立大学の宗田好史准教授が「観光まちづくりの創造力」をテーマに講演した。

 宗田さんは、「いずれも達成はきびしい」として観光立国推進基本計画の数値目標や、日本人の消費活動、生活時間の変化などをマクロ的に捉え(1)観光消費額は低迷している(2)欧米と比較しても休日は多く、これ以上は増やせない(3)人口は減少し高齢化が進んでいることから「従来型のバブル期リゾートのような観光振興は意味がない」と断じた。

 そのため「地域は、観光振興ではなく観光事業の振興を図るべきなのです。それは施設整備ではありません。地域の中で何を売り、誰が観光消費を支えるのかを明確にしなければなりません。だから、マーケティングが必要なのです」。「観光地でもないのに観光振興をする地域にはダメ出しをしましょう。個性的の地域づくりは、個性的な事業者を育てることから始まるのです」と強調した。

 宗田さんは「京都市観光がなぜ伸びているのか」として日常と非日常の違いがないことを紹介した。「ちょっとお洒落なレストランは観光客も市民も利用して消費しています」とし、京都は都市型消費構造に対応している数少ない観光地であるとした。都市型消費構造とは女性化する消費活動に対応することであり、宗田さんは大分県別府市が「オンパク」の取り組みで女性客の誘引に成功したことや、イタリア・フィレンツェが芸術都市のイメージを大切にまちの創造力を発揮したことを話した。

 「観光振興だけでは、地域経済を豊かにしません。多くは『国も観光立国と言っているし、とりあえず観光振興をやっておこう』というような行政のアリバイ的な無策です。国も勝ち馬にしか乗りませんし、負け組みは支援しません。売るものがないのに人を呼ぶようなことはせず、観光を地域経済の中に位置づけ、ちゃんと事業として振興しましょう」と呼びかけた。


情報提供:トラベルニュース社