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まちづくり観光の突破力、近畿運輸局が勉強会

 国土交通省近畿運輸局は3月9日、大阪市北区の大阪国際会議場で「第2回観光関係勉強会」を開いた。近畿運輸局企画観光部が今年度から独自に始めた勉強会で、自治体や観光関係事業者ら約200人が出席した。

 第一部の基調講演は、現在放映中のNHK朝の連続テレビ小説「だんだん」のロケコーディネーターでまちづくり観光研究所の門脇修二主任研究員が「まちづくり観光の突破力」と題して、島根県内の事例を中心に話した。

 門脇さんは、昨年春まで島根県観光誘客プロモーター務め、その間に県内の様々な地域で旅行商品化や地域活性化に取り組んだ。このうち、松江市内の商店街でツアー化に成功した「和菓子屋・茶屋老舗めぐり」は2004年、門脇さんの働きかけで東京の旅行会社がツアーに組み込み、半年間で約5千人を集客した。ただ、この時は旅行会社へ送客手数料を支払う商習慣を門脇さんはあえて知らせず「一度ツアーから外してもらった」という。観光客が来るのは当たり前ではなく、地元側でも受け入れ態勢を整え努力しなければならいことを伝えたかったからだ。

 その後、老舗5軒で会を作り、旅行会社に手数料を支払うシステムを導入、会費も出し合い県外へ誘客活動も始めた。現在では50社ほどと取り引きがあり、年間1万人前後が来るようになった。門脇さんは「マンネリに陥らないよう、お客様アンケートをとり店同士で意見交換を行っています。結果として、商店街の酒屋さんや額縁屋さん、蒲鉾屋さんにもお客様が流れるようになり、経済効果が見られるようになりました」。

 また、自らアドバイザーを務めるNPO法人松江ツーリズム研究会の「ゴーストツアー」については「観光庁のニューツーリズム創出流通促進事業に選定され、昨年夏から始めました。当初は、こんなの受けるかなという感じだったのですが、松江に暮らした小泉八雲の代表作『怪談』に徹底的にこだわり、この法人の山本理事長がガイドの案内で松江の魅力を伝えたいという思いがお客様に伝わったようです。11月までの11本の催行で363人が参加してくれました」と紹介した。「主催者側のお客様に感動を与える」という意気込みを門脇さんは首都圏でセールスし、複数社が松江宿泊プランのオプショナルツアーとして採用するに至った。

 2007年7月にNHKのプロデューサーと出会ったことから始まった「だんだん」への関わりについて、門脇さんは「島根でロケをして良かったと思っていただきたい」一点で取り組んだと話した。今年2月に隠岐・知夫里島であったロケでは全島民700人が俳優、スタッフを歓待。「出演者の1人、吉田栄作さんは今月中旬にプライベートで再度、知夫里島に行くことになっています。私のやってきたことは、すべて縁から始まり、縁を結ぶことだと思っています。観光はすぐに結果が出るわけものではなく、結果にいくまでの過程が重要だと考えます。あそこに面白い奴がいるから行ってみようと言えるような“熱い人”を周りがバックアップし、その力を継続させていく。そして皆で知恵を出し合い、賛同してくれるネットワークを広げていく。それが『まちづくり観光』だと思うんです」。


情報提供:トラベルニュース社