産官学連携を探る 神戸夙川学院大がシンポ開く

 神戸夙川学院大学(神戸市中央区)は2月12日、観光文化シンポジウム「観光における産官学地域連携を考える」を開いた。観光関係者など約200人が参加し、同大が取り組む地域の観光連携事業の発表から、地域と産官学の連携のあり方を探った。

 第1部では、同大が観光パートナーシップ協定を結んでいる地域での連携事業の成果を報告。学生が現地でのフィールドワークや調査研究を行った結果を紹介し、観光施策を提案した。

 島根県松江市では、現地でのモニターツアーやインターンシップを通して、観光施設の料金プランの見直しや堀川遊覧船の有効活用を提案。中海遊覧の就航に向けた計画案も発表した。

 和歌山県串本町のカヌーなどアウトドア体験を含めた民泊型修学旅行、兵庫県宍粟市の森林が持つ「癒し」効果の実証研究のほか、国交省神戸運輸監理部と連携した「みなと神戸連携講座」の成果として神戸市須磨区のまちおこしなど、学生がパフォーマンスを交え、事業の成果、地域の魅力をアピールした。

 そのほか、京都府和束町、兵庫県香美町小代区、香川県琴平町、京都府・天橋立の観光振興への取り組み、兵庫デスティネーションキャンペーン(DC)のまち歩きコース造成事業の報告が行われた。
 
 第2部のパネルディスカッションでは、コーディネーターを同大教授の吉島一彦さんが務め、神戸運輸監理部総務企画部企画課長の伊藤政美さん、松江観光協会で観光文化プロデューサーを務める高橋一清さん、兵庫DC推進協議会事業広報部長の今福政彦さん、串本町観光課副課長の浜地弘貴さんをパネリストに、産官学と地域の連携、観光への地域のあり方について議論した。

 高橋さんは「最近の観光は体験や産業観光が盛んになり、 “学ぶ”スタイルになってきた。今後は文化がカギになると思うので、文化振興を怠ると地域観光の足元が揺らぐだろう。行政は観光にもっとウェイトを持たせるべき」と指摘。

 また、浜地さんは民泊体験事業の経験から「地域の人の目が輝いていたのを見て、地域の絆の再生を実感した。経済効果も大切だが、もっと大切なものを手に入れたという点で地域活性化につながった」と大学との連携の意義を語った。

 地域が観光へどう取り組むかについて、今福さんは「素材を磨き、生かし方を考えるべき」と旅行会社との連携に言及。伊藤さんは「勝ち残る観光地は地域愛があることと、リピーター獲得へ戦略を持つことが重要。人材、役割分担、連携を3つの軸に、試行錯誤を重ねることが必要だ」と話した。


情報提供:トラベルニュース社