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世界のユニーク・フェスティバル(3) バレンシアの火祭り(スペイン)

  • 2009年1月15日
 鞍馬の火祭りや吉田の火祭りなど、日本には数多くの火祭りがあるが、海外の火祭りで特によく知られているのは、スペイン第3の都市バレンシアで行われる火祭り「ファヤス」だろう。これは「サン・ホセの火祭り」とも呼ばれ、「パンプローナの牛追い祭り(サン・フェルミン祭)」「セビーリャの春祭り」とともに、スペイン3大祭りに数えられている。

 祭りの期間は毎年3月12日から1週間。広場などに張り子の人形「ニノット」やニノットの集合体「ファヤ」が展示され、人気投票が行なわれる。期間中、市庁舎広場では爆竹が鳴らされ、パレードや花火大会などのイベントが目白押しだ。最終日の19日は「サン・ホセの日」と呼ばれ、夜には「ファヤ」に点火。燃え上がる炎の中、祭りは熱狂的なクライマックスを迎える。

 「ファヤ」は大きなもので高さ30メートルにもなり、展示される数は600にもおよぶ。地区ごとにある組合が、木組みと紙、紙粘土を用いて制作したもので、投票数が最も多い「ニノット」は、燃やされずに町の火祭り博物館に永久保存される。2008年には90万ユーロ(約1億1200万円)を費やした史上最高予算の「ファヤ」が優勝。しかし、「ニノット」は2等のファヤに含まれるものが優勝し、火祭り博物館に保存されることになった。

 この火祭りの起源は、サン・ホセ(聖ヨセフ・イエスの父)の日に、バレンシアの大工たちが木屑や古道具を燃やしたという古い習慣にある。それが幾多の変遷を経て、現在のように芸術性の高い祭りに発展してきた。バレンシアの人々は燃え盛る火に無病息災と豊穣の願いを込め、本格的な春の訪れを感じ取る。

 世界的にも有名なこの祭りは訪れる人も多く、町は毎年かなりの人出がある。日本の各旅行会社がツアーを発売しており、ホテルの確保は早めにしておきたい。スペイン政府観光局では「大変に混雑するので、手荷物などは少なめに、スリや置引きには注意して」と、祭りの楽しみだけでなく、鑑賞時の注意も呼びかける。旧市街地のほぼ全体が歩行者天国となり、タクシーなどは捕まえにくくなるので、歩きやすい服装や靴で出かけるとよいそうだ。サン・ホセの日に点火される「ファヤ」を見るため、市庁舎前の広場などは2時間前から待っている人もいるという。「市庁舎前以外の場所の点火も同じような迫力があるので、ほかの『ファヤ』への点火を見るのも一案」とのこと。

 ちなみに、バレンシア市観光局は2009年1月から、「ファヤ」に関するユニークなキャンペーン「マイニノット・コンクール」を実施している。これは自分の顔写真を使って、ウェブ上でオリジナルの「ニノット」を作るゲームで、最優秀作品の制作者には2009年バレンシアの火祭りの旅がペアでプレゼントされるという。さらに現地バレンシアでは、最優秀作品の「ニノット」を実際に作成、展示する。自らの顔写真入りの張り子人形がバレンシアで見られると想像すると、気分も大いに盛り上がるだろう。応募期間は2月15日まで。祭りの前から楽しめるキャンペーン、ぜひ旅行者に紹介したい。


▽スペイン政府観光局 バレンシアの火祭り
http://www.spain.info/JP/TourSpain/Reportajes/0/Fallas%20de%20San%20Jose?bSys=Events

▽バレンシア市観光局 マイニノット・コンクール
http://www.visitvalencia.com/


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