ハワイ体験レポート:“最もハワイらしい島”モロカイ島ツアーに参加
“最もハワイらしい島”モロカイ島ツアーに参加
「最もハワイらしい島」と称されるモロカイ島。しかし、日本に流通するツアーには滞在を含む商品は少なく、オアフ発のオプショナルツアーでさえ、情報量の少なさから対応しきれない旅行会社もあるようだ。今回は「モロカイ・クラブ」の日帰りツアーに参加し、カウアイ島とともにフラ発祥の地ともいわれるモロカイ島で、素朴さの中に想像以上の旅行素材の多さと可能性を目のあたりにした。(取材:フジタ佳子)
モロカイ・ツアーは上空鑑賞にも醍醐味あり
モロカイ・クラブは、ホノルル空港とモロカイの私有地に個人滑走路を持つツアー会社。参加人数を8名までの少数に限り、日本人コーディネーターが専属で「お客様を家族の一員として」もてなすことから、「モロカイVIPツアー」と呼んでいる。
ツアーはホノルル空港を出発し、モロカイ島へ向かう。晴天なら、眼下にパールハーバーやパンチボウル、ダウンタウン、アラモアナ、ワイキキのホテル群、ダイヤモンドヘッド、ハナウマ湾など、有名な観光スポットが次々と現れる。普段は地上からの景色になじみのあるオアフ島も、上空から見ると都市と自然が調和した世界有数のリゾートであることを改めて実感する。
離陸後、約15分でモロカイ島の西側が視界に入ってくる。マウイ島とラナイ島が並列する景観を横目に島の上空に到達すると、所要時間約40分のモロカイ島遊覧飛行がスタート。島の東側は雨の多い山岳地で、島の半分は草原地帯であり、雨期である冬場にはそのコントラストが鮮明だ。
島の北部はカウアイ島を思わせるような断崖が続く。映画「ジュラシックパーク3」の撮影場所ともなったカラウパパ半島だ。猛々しい断崖と波、海の青さが美しい。続いて、古代ポリネシアの人々が渡ってきた後に住みはじめたハラワ渓谷が現れた。神々しい渓谷とそびえ立つ絶壁から無数の滝が流れる。そしてハワイ州で一番長いといわれる全長約525メートルのカヒワ滝や、通称「エンジェルの滝」の前を通過。ハワイ王家のみ食用が許された魚を養殖していた池をところどころ見つけながら、島の中心部のカウナカカイを過ぎ、モロカイ島へ降り立った。
モロカイ島の豊かさを実感する農園めぐり
島内観光は専用車で出発。信号がなく、交通渋滞とも無縁の赤茶けた路面と緑豊かな丘の光景が続き、古き良きハワイを思い起こさせる。路上では野生の鹿に出会うこともあるという。
まずはコーヒー農園「コーヒーズ・オブ・ハワイ」へ。モロカイ・コーヒーは愛好家やコーヒー通でなくても、その芳醇な香りと味に魅了されるという。同農園ではコーヒーの栽培に加え、販売ショップ、カフェなどがある。また、栽培、摘み取り体験やミュール(ラバ)に乗って農園内を散策するツアーも実施している。
次に訪れたのは「バルディ・マカデミアナッツ農園」。80本ほどのマカデミアナッツを栽培しており、来園者は木から実を取って、試食できる。ここのマカデミアナッツは、機械を使わず自然に落ちた成熟した実だけを使うため、風味と味わいが濃く、これにハワイアン・ソルトをまぶすとその味がより引き立つそうだ。規模は小さいが、園内ではマカデミアナッツ以外にも、ヤシの木、グアバ、アボカドなどのハワイに植生する植物を鑑賞できる。
ハワイの素顔、圧巻の自然を体感
ツアーの後半は、モロカイ島の自然と景観がメイン。まず訪れたのは、古代ハワイで子宝に授かると祀られたファリック・ロックと世界最長の高低差を持つ断崖が見られるカラウパパ展望台だ。ファリック・ロックへ続く林は特に「スピリチュアルな大気が濃い」と地元の人々に評判で、入口から10分ほどの道のりを歩いているうちに旅行中に体調を崩した人の気分が回復に向かうこともあったとか。確かに、濃い緑の自然の鋭気がそう感じさせるのかもしれない。
クライマックスは、ハワイ州で最長のビーチ「パポハク・ビーチ」へ向かう。サンセットを求めて車を走らせたが、到着したのは残念ながら日没後。しかし、その時刻でも美しい白砂が浮き上がるように見えた。珊瑚でできた滑らかな丸い砂は、荒々しく打ち寄せる波によって作られたもので、以前はワイキキビーチにも運ばれていたという。島の深い静寂の中、波の音だけがとどろき、さえぎるものが一切ない。太古のままの雰囲気に触れられる圧巻のビーチだ。モロカイは通常の高度で最も星空が美しく見える場所のひとつといわれている。この日は満月に近く、認識できる星の数は少なかったが、深い夜空を仰ぎながら、モロカイ島の手つかずの大自然のなかにいることをしみじみと実感できた。
モロカイ・クラブによると、参加者の多くが新しいハワイの体験を求めるリピーターや、神秘的で自然の多い場所を求める人が多いという。オアフ島で挙式するハネムーナーや、ロングステイのシニア層にも勧められる観光地だ。また、最近のハワイのインセンティブ・ツアーでは、前半の滞在先は参加者ごとの希望にあわせモロカイ島やカウアイ島などの隣島から選択を可能とし、後半はオアフ島で集合してイベントをするという企画も見られる。モロカイ島では、今年3月末に「モロカイ・ランチ」が業務を終了しているが、「ホテル・モロカイ」がホテルとして宿泊施設があるほか、コンドミニアムが東モロカイに11軒、西モロカイに20軒、セントラルには2軒ある。モロカイ・クラブでは積極的な観光開発や受入客数の増加をめざす方針ではないが、旅行者のニーズに応えるため、大手旅行会社との契約に向けて準備しており、宿泊プランの造成を検討しているという。宿泊施設の状況を踏まえつつ、「音のない」大自然での体験をレジャーでは家族の絆を深め、インセンティブではチーム・ビルディングに活かした企画も考えられそうだ。
「最もハワイらしい島」と称されるモロカイ島。しかし、日本に流通するツアーには滞在を含む商品は少なく、オアフ発のオプショナルツアーでさえ、情報量の少なさから対応しきれない旅行会社もあるようだ。今回は「モロカイ・クラブ」の日帰りツアーに参加し、カウアイ島とともにフラ発祥の地ともいわれるモロカイ島で、素朴さの中に想像以上の旅行素材の多さと可能性を目のあたりにした。(取材:フジタ佳子)
モロカイ・ツアーは上空鑑賞にも醍醐味あり
モロカイ・クラブは、ホノルル空港とモロカイの私有地に個人滑走路を持つツアー会社。参加人数を8名までの少数に限り、日本人コーディネーターが専属で「お客様を家族の一員として」もてなすことから、「モロカイVIPツアー」と呼んでいる。
ツアーはホノルル空港を出発し、モロカイ島へ向かう。晴天なら、眼下にパールハーバーやパンチボウル、ダウンタウン、アラモアナ、ワイキキのホテル群、ダイヤモンドヘッド、ハナウマ湾など、有名な観光スポットが次々と現れる。普段は地上からの景色になじみのあるオアフ島も、上空から見ると都市と自然が調和した世界有数のリゾートであることを改めて実感する。
離陸後、約15分でモロカイ島の西側が視界に入ってくる。マウイ島とラナイ島が並列する景観を横目に島の上空に到達すると、所要時間約40分のモロカイ島遊覧飛行がスタート。島の東側は雨の多い山岳地で、島の半分は草原地帯であり、雨期である冬場にはそのコントラストが鮮明だ。
島の北部はカウアイ島を思わせるような断崖が続く。映画「ジュラシックパーク3」の撮影場所ともなったカラウパパ半島だ。猛々しい断崖と波、海の青さが美しい。続いて、古代ポリネシアの人々が渡ってきた後に住みはじめたハラワ渓谷が現れた。神々しい渓谷とそびえ立つ絶壁から無数の滝が流れる。そしてハワイ州で一番長いといわれる全長約525メートルのカヒワ滝や、通称「エンジェルの滝」の前を通過。ハワイ王家のみ食用が許された魚を養殖していた池をところどころ見つけながら、島の中心部のカウナカカイを過ぎ、モロカイ島へ降り立った。
モロカイ島の豊かさを実感する農園めぐり
島内観光は専用車で出発。信号がなく、交通渋滞とも無縁の赤茶けた路面と緑豊かな丘の光景が続き、古き良きハワイを思い起こさせる。路上では野生の鹿に出会うこともあるという。
まずはコーヒー農園「コーヒーズ・オブ・ハワイ」へ。モロカイ・コーヒーは愛好家やコーヒー通でなくても、その芳醇な香りと味に魅了されるという。同農園ではコーヒーの栽培に加え、販売ショップ、カフェなどがある。また、栽培、摘み取り体験やミュール(ラバ)に乗って農園内を散策するツアーも実施している。
次に訪れたのは「バルディ・マカデミアナッツ農園」。80本ほどのマカデミアナッツを栽培しており、来園者は木から実を取って、試食できる。ここのマカデミアナッツは、機械を使わず自然に落ちた成熟した実だけを使うため、風味と味わいが濃く、これにハワイアン・ソルトをまぶすとその味がより引き立つそうだ。規模は小さいが、園内ではマカデミアナッツ以外にも、ヤシの木、グアバ、アボカドなどのハワイに植生する植物を鑑賞できる。
ハワイの素顔、圧巻の自然を体感
ツアーの後半は、モロカイ島の自然と景観がメイン。まず訪れたのは、古代ハワイで子宝に授かると祀られたファリック・ロックと世界最長の高低差を持つ断崖が見られるカラウパパ展望台だ。ファリック・ロックへ続く林は特に「スピリチュアルな大気が濃い」と地元の人々に評判で、入口から10分ほどの道のりを歩いているうちに旅行中に体調を崩した人の気分が回復に向かうこともあったとか。確かに、濃い緑の自然の鋭気がそう感じさせるのかもしれない。
クライマックスは、ハワイ州で最長のビーチ「パポハク・ビーチ」へ向かう。サンセットを求めて車を走らせたが、到着したのは残念ながら日没後。しかし、その時刻でも美しい白砂が浮き上がるように見えた。珊瑚でできた滑らかな丸い砂は、荒々しく打ち寄せる波によって作られたもので、以前はワイキキビーチにも運ばれていたという。島の深い静寂の中、波の音だけがとどろき、さえぎるものが一切ない。太古のままの雰囲気に触れられる圧巻のビーチだ。モロカイは通常の高度で最も星空が美しく見える場所のひとつといわれている。この日は満月に近く、認識できる星の数は少なかったが、深い夜空を仰ぎながら、モロカイ島の手つかずの大自然のなかにいることをしみじみと実感できた。
モロカイ・クラブによると、参加者の多くが新しいハワイの体験を求めるリピーターや、神秘的で自然の多い場所を求める人が多いという。オアフ島で挙式するハネムーナーや、ロングステイのシニア層にも勧められる観光地だ。また、最近のハワイのインセンティブ・ツアーでは、前半の滞在先は参加者ごとの希望にあわせモロカイ島やカウアイ島などの隣島から選択を可能とし、後半はオアフ島で集合してイベントをするという企画も見られる。モロカイ島では、今年3月末に「モロカイ・ランチ」が業務を終了しているが、「ホテル・モロカイ」がホテルとして宿泊施設があるほか、コンドミニアムが東モロカイに11軒、西モロカイに20軒、セントラルには2軒ある。モロカイ・クラブでは積極的な観光開発や受入客数の増加をめざす方針ではないが、旅行者のニーズに応えるため、大手旅行会社との契約に向けて準備しており、宿泊プランの造成を検討しているという。宿泊施設の状況を踏まえつつ、「音のない」大自然での体験をレジャーでは家族の絆を深め、インセンティブではチーム・ビルディングに活かした企画も考えられそうだ。
モロカイ島の観光素材
モロカイ島はオアフ島から約40キロメートル離れた場所にあり、ハワイ州の6島のうち
5番目の大きい島である。面積は約673平方キロメートルで、島の人口は約7000人。その
うち中心部のカウナカカイに約1000人が住む。観光的な開発は少なく、素朴でハワイら
しい姿に触れられるのが最大の魅力だ。
今回のツアーでは訪れなかったが、最もモロカイ島らしい場所とされる「カプアイア
・ココナッツ・グローブ」がある。ここは、1860年代にカメハメハ5世によって植えら
れた1000本以上のココナッツ林だ。このほか、ハイキングやトレッキングの場所も多く、
パラアウ州立公園、ハラワ渓谷などではモロカイ島らしい自然の醍醐味を楽しむ体験が
できるだろう。
また、「ホノルワイ・タロ芋園」では、伝統的ハワイ料理に使われるタロ芋の栽培が
見学でき、ハワイ文化として継承されていることを実感できるだろう。モロカイ島なら
ではのイベントもあり、その代表が発祥の地とされるフラ関連のもの。フラの誕生を祝
った「カ・フラ・ピコ・フェスティバル」がパポハク・ビーチパークで毎年5月に開催
される。また、10月にはモロカイ島からワイキキまでアウトリガー・カヌーを漕いで競
う「モロカイ・ホエ・カヌーレース」もある。