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名作映画で巡るニューヨーク(4)−『めぐり逢えたら』

  • 2008年12月18日
 セントラル・パークとならび、ニューヨーク観光で外せない場所にエンパイア・ステート・ビルがある。世界貿易センタービルの崩壊後、ニューヨークで一番高いビルだ。ニューヨークの摩天楼のシンボルであるこのビルが建てられたのは1931年。今から80年近く前に102階建てのビルが建設され、それが今も現役で世界中から観光客を集めているのだから、本当に驚きだ。現在は周辺にもたくさんの高層ビルが建てられているが、1933年公開の『キングコング』を観ると、周辺にまだ高いビルが少なく、その存在感は圧倒的である。

 さて、人気のクリスマス映画でしばしば上位にあがる『めぐり逢えたら』。実家のクリスマス・イヴ・パーティの帰り、メグ・ライアン演じるアニー・リードが車の中でラジオを聴いていると、トム・ハンクス演じるサム・ゴールドウィンが電話相談の番組で亡き妻について語っているというところから始まるラブストーリー。サムが西海岸のシアトル、アニーが東海岸のボルティモアと、主役の2人はアメリカの両端に住んでおり、その2人がいつ「めぐり逢える」のかがこの映画の「キモ」だが、その舞台となるのが「エンパイア・ステート・ビル」だ。

 この映画の下敷きとなり、映画の中でアニーが何度も観ているビデオは1957年の名作映画『めぐり逢い』だ。ニューヨーク行きの船の中で出会ったケイリー・グラントが演じるニッキー・フェランテとデボラ・カーが演じるテリー・マッケイだが、それぞれ婚約者がおり、すぐには一緒になれない。すべてを清算した一年後に、エンパイア・ステート・ビルの展望台での再会を約束する2人だが、テリーは待ち合わせの場所へ急ぐ途中に交通事故にあってしまう・・・。いろいろあるが、最後はクリスマスにすべての誤解が解けるという、すれ違いメロドラマの古典だ。
 
 この映画でエンパイア・ステート・ビルの展望台は一躍有名になった。『めぐり逢えたら』でも、閉館時間に駆け込んできたアニーが「どうしても探さなければならない人がいる」と言うと、エレベーターの係員が「ケイリー・グラント?」と言ってエレベーターに乗せてくれる。

 ニューヨークには高層ビルが沢山あるが、観光客が入れる展望台はほとんどない。長い間、このエンパイア・ステート・ビルと崩壊してしまった世界貿易センタービルだけだったが、2005年11月からロックフェラー・センター内GEビルの70階にある「トップ・オブ・ザ・ロック」が20年ぶりにリニューアルオープンされた。エンパイア・ステート・ビルの屋外デッキは北西の角に行くことができないが、このトップ・オブ・ザ・ロックは360度周囲を見渡すことができ、「眺めはこちらのほうが上」、という声もある。エンパイア・ステート・ビルからは見えないセントラル・パークが見渡せ、夜景だけでなく昼間の景色も楽しめる。時間に余裕があるお客様には、両方の展望台に登って、景色を比べてみることを提案してはいかがだろうか。


 ▽スポット・データ
■エンパイア・ステート・ビル(Empire State Building)
展望台の営業は8:00〜2:00(最終エレベーターは1:15)。年中無休。ただしクリスマス前後は時間変更あり。セキュリティチェックがあり、カメラやビデオはOKだが三脚の持ち込みは不可。その他手荷物はひとつまでなど、制限があるので注意。
http://www.esbnyc.com


■トップ・オブ・ザ・ロック(Top of the Rock)
展望台の営業は8時30分〜0時(最終エレベーターは23時)、年中無休。ただしクリスマス前後は時間変更あり。チケットの購入はウェブ上でも可能。こちらもセキュリティチェックあり。
http://www.topoftherocknyc.com/


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