総額表示の対応に相違、各社の思惑様々−燃油サーチャージの急落で
来年上期商品のパンフレットで、燃油サーチャージをどう表示するか――。燃油価格の急落を受けて、旅行各社の動きが分かれはじめている。国土交通省は、6月30日の改正通達で「燃油サーチャージは旅行代金に考えるべき」と定め、「当面の間」は燃油サーチャージの目安額を旅行代金の近くに表示する「近接表示」を認めつつ、一義的には旅行代金に含めて表示する「総額表示」を求めた。これに対して、エイチ・アイ・エス(HIS)は11月から全商品を総額表示に統一し、ジェイティービー(JTB)と近畿日本ツーリスト(KNT)は来年上期からの導入を決定、日本旅行も導入をめざす方針を明示している。
一部報道では、こうした大手の動きが総額表示への流れを作る、と予想されている。しかし、名鉄観光サービスや西鉄旅行、トラベル世界などでは、来年上期からの導入を見送る方針、あるいはその方向で検討中という。各社は、燃油サーチャージが下落し、4月からの廃止も期待されるなかで、総額表示のメリットが縮小し、代わりにデメリットが目立つと指摘。例えば、燃油サーチャージが上昇局面の場合は、表示額との差額を徴収する必要がないため、わかりやすさがメリットとして考えられるものの、下落した場合は返金する必要がなく近接表示に比べて価格競争力が劣ってしまう。また、旅行代金が膨らむことは販売店へのコミッション増加を意味する。コミッション支払いを従来並みに抑えるためには全販売店と契約しなおさなければならない可能性があり、労力とコストを敬遠したい考えも見られた。
また、阪急交通社や阪神航空、クラブツーリズム、エヌオーイーでは、現在のところ明確な方針は未定。阪神航空は「ホールセラーとして他社の動きを見つつ、来週にも決定しなければならない」と、早期の決着を検討しているが、「ルールを決めているわけではなく、現在は両方の商品がある」というクラブツーリズム、方面や商品の性質によって使い分けているという阪急交通社など、今後も状況に応じて展開する方針の旅行会社もある。
各社がそれぞれの思惑で動く背景には、国土交通省の通達で「当面の間」の期日が明示されていないことも一因のようだ。ある会社は「次の通達が出るまでは導入しない」とコメントしたが、観光庁によると現時点で再度の通達発出は考えていないという。
なお、こうした流れのなかで、先鞭をつけたJTBとHIS、KNTは、「消費者へのわかりやすさ」を最重視したとの説明で一致。JTB広報室では、「海外旅行の需要が落ちている中で、燃油サーチャージのわかりにくさの改善に消費者から要望があれば、その期待に応えるのが使命」と強調。デメリットについても、「ホテルや航空座席も変動するもので、これまでやってきたことの延長」と説明。また、HISでも、「パンフレットを1ヶ月ごとに更新しており、懸念されているデメリットとは無縁」としている。コミッションについては、JTBは代理店ごとの交渉により設定しているため、総額表示を理由にする見直しの予定はないが、KNTではフライトの距離や航空会社によって燃油サーチャージの額が異なることから、販売店へのコミッションを方面別に再設定する案を検討している。
一部報道では、こうした大手の動きが総額表示への流れを作る、と予想されている。しかし、名鉄観光サービスや西鉄旅行、トラベル世界などでは、来年上期からの導入を見送る方針、あるいはその方向で検討中という。各社は、燃油サーチャージが下落し、4月からの廃止も期待されるなかで、総額表示のメリットが縮小し、代わりにデメリットが目立つと指摘。例えば、燃油サーチャージが上昇局面の場合は、表示額との差額を徴収する必要がないため、わかりやすさがメリットとして考えられるものの、下落した場合は返金する必要がなく近接表示に比べて価格競争力が劣ってしまう。また、旅行代金が膨らむことは販売店へのコミッション増加を意味する。コミッション支払いを従来並みに抑えるためには全販売店と契約しなおさなければならない可能性があり、労力とコストを敬遠したい考えも見られた。
また、阪急交通社や阪神航空、クラブツーリズム、エヌオーイーでは、現在のところ明確な方針は未定。阪神航空は「ホールセラーとして他社の動きを見つつ、来週にも決定しなければならない」と、早期の決着を検討しているが、「ルールを決めているわけではなく、現在は両方の商品がある」というクラブツーリズム、方面や商品の性質によって使い分けているという阪急交通社など、今後も状況に応じて展開する方針の旅行会社もある。
各社がそれぞれの思惑で動く背景には、国土交通省の通達で「当面の間」の期日が明示されていないことも一因のようだ。ある会社は「次の通達が出るまでは導入しない」とコメントしたが、観光庁によると現時点で再度の通達発出は考えていないという。
なお、こうした流れのなかで、先鞭をつけたJTBとHIS、KNTは、「消費者へのわかりやすさ」を最重視したとの説明で一致。JTB広報室では、「海外旅行の需要が落ちている中で、燃油サーチャージのわかりにくさの改善に消費者から要望があれば、その期待に応えるのが使命」と強調。デメリットについても、「ホテルや航空座席も変動するもので、これまでやってきたことの延長」と説明。また、HISでも、「パンフレットを1ヶ月ごとに更新しており、懸念されているデメリットとは無縁」としている。コミッションについては、JTBは代理店ごとの交渉により設定しているため、総額表示を理由にする見直しの予定はないが、KNTではフライトの距離や航空会社によって燃油サーチャージの額が異なることから、販売店へのコミッションを方面別に再設定する案を検討している。