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Marriott Bonvoy

上海市、「ツアーの内容で勝負して」−万博前に「新しい上海」をアピール

  • 2008年12月9日
 上海市旅游局日本市場首席顧問の岡本義正氏は12月8日、旅游局開催の業界向けのセミナーで、「旅行会社の努力次第で必ず『良かった』と言ってくれるデスティネーション。旅行商品の価格ではなく、内容で勝負して欲しい」と参加者に呼びかけた。岡本氏は、常に変化を遂げる上海には様々な新しい魅力があるが、「特定の会社を除いて、この数年間パンフレットの中身に大きな変化がなく、上海のワクワク感が伝わっていない」と説明。この傾向は特に大都市圏の旅行会社に強く、旅游局が10月と12月に日本全国の19都市でセミナーを開催したところ、地方都市では路線維持の観点もあって「旅行会社が熱心で、実績も挙げているようだ」という。

 この背景として岡本氏は、「上海が旅行会社にとって難しいのは、在留日本人が多く、ミニコミ誌などの発達で旅行者のほうが旅行会社よりも詳しい場合があること」と推察しつつ、「こうした旅行者は売りにくい相手だが上海の理解者であり、彼らの意見を取り入れて商品造成すれば結果に結びつく」と強調した。旅行商品が見逃しがちなポイントとしては、例えば蘇州までの交通手段に新幹線を使えば、バスの場合混雑すると片道2時間以上かかる可能性があるところを40分間で移動可能で、運賃も1等で40元(約600円)と安価。上海市街北部の「M50」や日本人租界地区の「1993」などの新スポットや、古い町並みを再利用して開発された「田子坊」、400年程前の雰囲気をのこす水郷の村なども紹介した。なお、12月31日のカウントダウンの旅行商品を造成した会社では1000名を集客しているといい、「様々なマーケットがある。こまめにマーケティングして、違う土俵で勝負するべき」と訴えた。

 旅游局としては、2010年の上海万博に向けてプロモーションを強化しており、全国紙での全面広告や、日経ビジネス誌の特別版14万部での露出も予定。中国国家観光局(東京)首席代表の范巨霊氏は、「これからもいろいろと形を変えて、認知度向上のためアピールを強めていくと聞いている」と紹介した上で、「万博を契機に、業界関係者全員で力を合わせて盛り上げていきたい」と強調した。


▽JATA、日中交流推進事業として桜の植樹など企画

 日本旅行業協会(JATA)では、日中交流推進特別委員会の討議の結果、2009年春以降について、中国旅行の販売促進や桜の植樹、友好訪問団の募集などを検討している。このうち植樹は、2007年に日中国交正常化35周年を記念して訪問した19都市を対象としており、友好訪問団もこれらの都市に向けて企画する方針。特に、四川省と成都、上海、北京、西安、大連、青島については各社全体で取り組み、植樹の費用や交流夕食会のアトラクションはJATA負担とするという。また、四川省と成都では、小学校への図書の寄贈もJATAが負担して実施する考え。そのほか、天津や南京、杭州などの都市については各社負担となるが、都市ごとの状況によってはJATAが一部負担することもあるという。12月11日開催予定の日中交流推進特別委員会で今後の方向性を固める方針だ。