HIS、ATBを清算、店舗・顧客対応・従業員を継承−スケールメリットでも「利」

  • 2008年11月25日
 エイチ・アイ・エスは11月21日に開催した取締役会において、100%出資の連結子会社のATBを12月31日付けで解散、清算することを決議した。ATBは1981年にマップ・インターナショナルとして創業、格安航空券の全盛時代の一翼を担ってきた。同社は2000年12月にHISの子会社となり、HISのグループ内で独自色を保ちながら経営を進めてきていた。過去4期の決算では、2006年9月期に売上高154億5200万円、営業利益1300万円を計上し、その後も安定的な黒字化を目指していたものの、2007年9月期、2008年9月期と売上高が減少し、営業赤字がかさんでいた。特に、HISが子会社化した以降は、2001年のテロ、2003年のSARSと市場が厳しい環境に変化したこと、格安航空券市場の競争激化も加わり、最近では海外旅行市場の停滞もあり、知名度の高さなどでも集客力にかげりもあったと見られる。さらに、航空会社のゼロ・コミッションの導入に代表されるように、流通の環境変化も進む中で、ATBが独自性を保った経営に限界があると判断されたようだ。

 HIS経営企画室では、「(HISとATBが)それぞれ独自に運営することで効果が出せるのか、業界再編が進む中で一体となることでスケールを追求することもひとつ」とコメントし、HISとして拡大を目指す方向の中での判断という方向であるという。このため、ATBとして会社を清算するものの、1月1日付けで店舗をHISとするほか、従業員の雇用をそのまま引き継ぐ。また、ATBで予約した消費者の対応をHISが引き継ぐほか、取引先との債務等も履行する。なお、HISは連結業績予想において、ATBの減損損失を織り込み済みで、影響は軽微としている。