有馬温泉のまちづくり学ぶ、近畿運輸局が観光カリスマ塾開催

 国土交通省近畿運輸局は11月12―13日、兵庫県有馬温泉で観光カリスマ塾を開いた。観光カリスマの金井啓修さん(陶泉御所坊)が塾長を務め、同温泉の観光活性化によるまちづくりを語った。

 金井さんは、旅館経営の傍ら、有馬温泉のまちづくりに取り組み、地域住民の意識改革にも貢献したとして観光カリスマに認定されている。

 今回は「有馬温泉での販売戦略」をテーマに、泊食分離やまちの景観整備のほか、兵庫県の賑わい創出事業に採択されたまちづくりプランを紹介。泉源の整備や廃業施設跡地の活用法といった温泉地の基盤固めから、芸妓をはじめとする既存文化の振興、他温泉地や周辺地域、大学との連携まで、まちづくりの基本戦略を披露した。

 この中で、特に食については、11月に「有馬美食倶楽部」を発足させるなど力が入る。最近の旅行者の食への意識の高さに目を付け、「食の有馬」を売り出そうと企画。第1弾として兵庫・浜坂港と連携して松葉ガニを有馬で味わえるようにした。金井さんは「有馬には目立った食の生産物はないが、腕の良い料理人が集まる土壌があります。腕を競わせることで料理人のやる気を高め、ソフトを磨くことも狙いです」。

 また、地域で第3種旅行業登録を取得し、周辺地域と連携して着地型旅行商品を造成する展望も。
事業範囲は広範にわたるが、金井さんは「すべて行うことで有馬の将来の全体像が見えてくる、という思いで頑張っています」とまちづくりへの心構えを話していた。

 今回はそのほか、同温泉観光協会副会長の弓削敏行さんが阪神大震災からのまちづくりの経緯を紹介。温泉街散策や、新しい魅力となっている手作り灯り体験も行った。

 観光カリスマ塾は、観光による地域活性化のノウハウを学び、地域の観光振興の人材を育成しようというもの。今回は関西や東京、山陰などから観光関係者14人が受講した。


情報提供:トラベルニュース社