ハワイ体験レポート:11月はフラ満載、ハワイ発世界に広がる文化の輪

  • 2008年11月18日
第17回ワールド・インビテーショナル・フラ・フェスティバル
ハワイ発、世界に広がるフラの輪


 11月のハワイは1年のなかでも日本からの渡航者数が少ない月といえる。そこで日本航空(JL)は「ココロもカラダも満たされるハワイ旅行へ」のキャンペーンの一環として、「JALフラ・ウィーク2008 オータム」を展開。ローカルのフラのイベントや独自に企画したハアイアン・カルチャー体験といったイベント参加型の販売を促進している。まずは11月6日から8日に開催された第17回「ワールド・インビテーショナル・フラ・フェスティバル」を取材した。(取材:横堀淳)



硬派なフラ競技会

 「ワールド・インビテーショナル・フラ・フェスティバル」は今年で17回目の開催を迎える。ほかのフラのイベントと違うのは、大会主催者からの招待者だけが参加できること。また、世界的な広がりを見せるフラが本来の正しい姿で継承されていくことにも、主催者側は強いこだわりをもっている。そのため「ワールド・インビテーショナル・フラ・フェスティバル」はいい換えれば、「とても硬派なフラの競技大会」だといえるだろう。

 ここで今一度、フラといっても、大きく分けて古典フラ(カヒコ)と現代フラ(アウアナ)があることを確認しておきたい。前者のカヒコは古代ハワイアンからの継承を忠実に表現するもの。衣装、音楽、その舞踊スタイルも、伝統にのっとったものだ。伴奏はイプと呼ばれるひょうたんの太鼓やハワイアン・ドラムなどの非近代的な打楽器と、チャントと呼ばれるハワイ語の詠唱で、原始的かつ厳粛な印象を受ける。それに対してアウアナは、コスチュームからして色鮮やかで音楽も現代的。舞踊スタイルもカヒコとは全く異なる。演舞中は笑顔を絶やさないのも、アウアナの特徴であるといえる。現在、日本やその他の国で普及しているフラはアウアナが中心だと思って、まず間違いない。

 さて、今回の大会では、ハワイ以外からの参加として、日本、カナダ、米国本土、フランス、メキシコ、などのハラウ(フラ教室)が集まった。ワールド・インビテーショナル・フラフェスティバルは参加者の半数を地元のハワイから、残りを世界各国からと定めており、採点はハワイとそれ以外の地区に分けて評価。参加者は団体、もしくはソロでパフォーマンスを披露し、21名の審査員によって厳正にジャッジされる。その項目は、文化(言語、歴史、伝統継承)、テクニック(演技における技術)、クリエイティブ(オリジナリティ)、時間配分、衣装、レイ・装飾品、そして音楽の7項目におよぶ。



日本人参加者のダンスに会場が沸く

 ワイキキ・シェルが夕暮れに染まるころ、競技会がスタート。日本からは大阪、東京、沖縄の参加者がパフォーマンスを披露した。大阪から参加したフルカワ・タカコさんはソロで現代フラを披露。東京から参加のヤベ・ミユキさんはクムフラ(師範)によるひょうたんの打楽器「イプヘケ」の演奏にあわせ、本格的な古典フラをハワイ語のチャントと共に踊りうたい、会場を沸かせた。沖縄から参加したタカギ・マサオさんはソロで、脚の動きが巧みな現代フラを披露。また、パリからの参加ハラウは団体でアウアナを踊り、パリらしい独特の優雅な雰囲気で、大きな拍手を浴びていた。

 終了後、参加者には審査員による採点表のコピーが渡される。それは今後の精進のための「バイブル」となるそうだ。同イベントのエグゼクティブ・プロデューサーであるポウリー・ケアケアラニ・ジェニングス氏は、「フラがハワイから世界各国に向けて普及されている今、それが正しく継承されることが任務だと考えている。フラというハワイの文化を通じてアイデンティティを確立するとともに、世界の人々にアロハの心を理解してもらいオハナ(ハワイ語で「家族」の意)になれることを願っています」と笑う。「ワールド・インビテーショナル・フラ・フェスティバル」は第10回大会に次いで、2009年も日本での開催を計画しているという。フラブームの現在、実現すればさらにハワイ旅行へのアピールになりそうだ。








会場のブースでもハワイらしさを体験
−カヴァの作り方

 会場の「ワイキキ・シェル」は屋外型コンサート・ホ
ール。会場にはフラに特化した商品の販売から飲食屋台
などもある。そのブースのなかに、ハワイの伝統的な飲
み物「カヴァ」を見つけた。名前は聞いたことはあった
が、ハワイでも実際に味わえる店はほとんどない。ロミ
ロミ・マッサージ師の資格をもち、ポリネシア文化に造
詣が深いデレックさんに、特別にカヴァを作る行程を間
近で見せてもらった。

 カヴァは、ハワイ語で「アヴァ」と呼ばれる胡椒科の
植物の根から採れるエキスを水と混ぜたもの。古代ポリ
ネシアでは神聖な飲み物として儀式で飲まれていたそう
で、鎮静作用があるという。頭痛や不眠症にも有効らし
く、アルコール分はないのに、お酒に酔ったようなリラ
ックス感で体と心を解きほぐしてくれる。

 作り方は豪快でシンプル。粉末状の「アヴァ」を2枚重
ねたストッキングの中に入れ、その端を軽く結ぶ。木製
のボールにミネラル・ウオーターを入れ、ひたすら袋を
揉むと、見る見るうちにアヴァからエキスがあふれ、ボ
ールの中は泥水のような色に変わった。ある程度揉んだ
ら、ミネラル・ウオーターで割れば完成だ。

 デレックさんによると、南ポリネシアの儀式ではカヴ
ァを飲む前と飲んだ後に3回手をたたき、次の人にまわす
のが正式な飲み方だそうだ。ハワイを含む北ポリネシア
では、昔から薬として使われており、喘息や乳ガンの治
療にも使ったことがあるという。味はけっして美味では
ないが、喉越しに「しびれ」を感じるのが良いカヴァで、
悪いのは飲んだ瞬間にヒリヒリと喉が焼けるように感じ
るのだという。臭みがあるので初めての人は、オーガニ
ックの砂糖を混ぜると飲みやすい。会場ではカヴァを購
入した後、デレックさんのロミロミ・マッサージも受け
ていた日本人男性がいた。きっとかなりのハワイ通に違
いない。