JATA、ゼロコミッションでアンケート実施−対等な取引関係を求める声集まる

  • 2008年11月4日
 日本旅行業協会(JATA)は、日本航空(JL)が2009年4月から国際航空券の発券手数料を廃止することを受け、会員旅行会社を対象にアンケートを実施した。回答があったのは35社で、海外旅行委員会の12社と関東支部14社、関西支部2社、中部支部7社。アンケートの回答では、「手数料を収受していない現行の商習慣の中、『フィービジネス』が浸透するか懐疑的」とする声もあった一方、「JATA、航空会社の連携で所定の取扱料金が必要となる旨の周知を積極的に行ってほしい」、「航空会社、観光庁、マスコミが『ゼロコミッション』の事実を広く知らしめる」など、ゼロコミッションを前提に問題点を指摘する意見が多く、特に旅行会社と航空会社の対等な取引条件を求める回答が寄せられた。

 取引条件については、「航空会社の直販にも販売手数料を徴収すべき」との声が上がったほか、「直販は良しとしても、最低限WEB割は無くすべき」とする声もあった。また、「現行のリファンド手数料やリブック手数料、ADM/ACM手数料など旅行会社が作業を行っているにもかかわらず、航空会社が徴収するこれらの手数料も廃止すべき」、あるいは「コミッションカットの前に、航空会社へBSPのNET清算への移行を求めるべき」との意見もある。さらに、現在は旅行会社が代理徴収している燃油サーチャージも、航空会社が直接徴収すべきだ、との指摘もあった。

 また、「航空会社は日本市場の特殊性から旅行会社の存在を再認識し、発券手数料ではなく旅行会社への販売委託料と捉え、航空会社の必要経費と考えるべき」と、ゼロコミッション自体の再考を求める回答を寄せた会社があったほか、「一般消費者からの販売手数料収受は顧客と旅行会社との問題であり、ゼロコミッションとは分けて考えるべき」とし、ゼロコミッションが即時にフィービジネスに繋がるものではないとの見解も見られた。また、「発券実績に応じた相応のインセンティブは継続すべき」や、「CRS各社は旅行会社が負担する予約端末、備品使用経費などの軽減を検討してほしい」など、収益性の確保の道を探る回答もあった。

 フィービジネスについては、「手数料の価格設定は大きな課題」や、「旅行へのコンサルティングという基本に立ち返り、発券行為のみではなく、旅行相談料としての取扱料金をもらえるシステムを業界全体で考えるべき」と、そのあり方について言及する意見があった。また、「省庁には手数料という支出科目、概念がない」ことから手数料収受の困難さを指摘した回答もある。さらに、「消費者に対して国内線との整合性をどう説明するのか」と、国内線の発券手数料は残ることへの疑問も寄せられた。

 なお、「観光庁とJATAが業界の決めた徴収額基準を遵守させるようなある種の強制力が必要」とし、旅行会社同士の過当競争を懸念する回答も見られた。