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ハワイ体験レポート:フラ、ウクレレに次ぐ、注目の文化体験

  • 2008年10月30日
フラ、ウクレレに次ぐ、注目の文化体験
奥深いハワイに触れる糸口、ハワイ語レッスン


ハワイに深く触れたいと思う日本人旅行者が増えている。フラ、ウクレレ、ハワイアンキルトなど文化体験はおなみじみになりつつあるが、もっとディープにハワイと関われるものといえば、その国や地域の文化や習慣を背景に生まれ、それを伝える言語だろう。ハワイをとことん知りたいというリピーターはもちろん、ハワイ文化の愛好家や知的好奇心の旺盛なシニア世代、そしてありきたりの体験では満足しないようなハードリピーターにも、ハワイ語レッスンはおすすめのアクティビティになるだろう。(取材:フジタ佳子)



フラなどの文化継承者が使用

 最も親しまれているハワイ語といえば「Aloha(アロハ)」。宣教師によって19世紀の中頃から世界に広がってゆき、1920年代にハワイが本格的に観光地化されてからは、世界で最も知られている挨拶の一つになったといえるかもしれない。「アロハ」には「愛情」「愛」「平穏」「思いやり」「慈しみ」といった意味があり、まさにハワイの人々の精神が込められた言葉。ハワイ州のニック・ネームが「アロハ・ステート」と呼ばれることからも、アロハという言葉に対するハワイの人々の親しみや敬意が伝わってくる。

 また、感謝の意を表現する言葉「マハロ」、終わりを表現する「パウ」などは、旅行中にも聞く場面があるし、日本でのフラやウクレレなどのカルチャー・レッスンの受講時にも頻繁に使用されるので、知っている人も多いのではないだろうか。こうした挨拶や簡単な言葉は、ハワイ語の導入として誰もが楽しみながら使える。このほか、ハワイ州のほとんどの道路名、地名はハワイ語として残っているものだし、ハワイアン・ミュージックやフラの歌詞・チャント(詠唱)などでもそのフレーズに触れることができる。

 ハワイ語は、ハワイ諸島の先住民のポリネシア人であったハワイ人の、先祖代々から伝わる言葉で、現在も英語とともにハワイ州の公用語である。しかし、1959年にハワイがアメリカ合衆国の50番目の州になると英語の公用性が強まり、現在のハワイ語の話者数とされるのは1000名から2000名ほど。個人が所有し、外部からの来島が規制されているニイハウ島以外は、日常会話では使用されていない。さらに、話者の半数以上は70歳から80歳以上と高齢。次世代に受け継がれているのは、フラの師匠であるクムフラなどが、文化継承にあたって習得しているのが実際のようだ。そういう意味でハワイ語、フラ愛好家に対する「フラ+アルファの素材」としても注目できる文化体験ともいえる。

 1970年代に先住民文化の復興運動「ハワイアン・ルネッサンス」が活況となると、古典フラや古典歌謡の復興が進み、ハワイ語への関心が高まってきた。交通表示や公共施設の案内にもハワイ語の掲示が見受けられるようになったほか、ハワイ語を教える小学校も登場。子どもが学校で習い、その挨拶を家で披露することで家族もハワイ語に触れる、というような広がりもみられる。



ハワイ語だけですすむレッスン

 今回は、クムフラによるハワイ語レッスンを受講できる「ヒーリングアカデミーハワイ・バイ・リニュー」のハワイ語レッスンを紹介。ネイティブ・ハワイアンに属する子どもの学校「カメハメハスクールズ」の先生たちにハワイ語を教える、クウアロハヌイ・カウリア氏をメインの講師としてレッスンを開講している。クムフラでもあるカウリア氏は小石や小さな棒を使いながらハワイ語の基本を教えるほか、クラスのレベルによりチャント(詠唱)の伝授もあるという。

 この日のレッスンは同氏の弟子で、クムフラのマカナ氏が担当。何やらいくつかの茶封筒を持って登場し、受講者3名とテーブルを囲んで親しみやすい距離で授業が展開される。授業は全員がハワイ語初心者だというのに、そのほとんどがハワイ語で進む。はじめは驚いたが、マカナ氏の表現豊かなジェスチャーと表情がスムースなコミュニケーションへと導く。英語が苦手な日本人でも安心して受けられるレッスンといえるだろう。

 そうこうしているうちに、先ほどの茶封筒が登場。封筒には教材ツールが入っているようで、長・短さまざまのカラフルなスティックを卓上に取り出し、「ekahi(=1)」「elua(=2)」「ekolu (=3)」と、1つ1つ丁寧にハワイ語の数字をカウントする。これに「取る」「置く」「戻す」を意味する言葉を組みあわせて、受講者間でのスティックのやりとりをハワイ語で表現。レッスン開始から約40分後には「スティックを1つ取って、置いて」といった文章が話せるようになっている。

 数の習得が終わると、同じスティックでハワイ語での色のレッスン。「赤(=‘ula‘ula)」「オレンジ(=‘alani)」「黒(=‘ele‘ele)」「黄色(=melemele)」「紫(=poni)」「白(=ke‘oke‘o)」などのハワイ語を繰り返し、慣れてきたところでいよいよ先ほど覚えた「数」とのコンビネーションで、受講者同士で会話レッスン。終了時間に近づくにつれ、「緑のスティックを2つ取ってください、1つ戻してください」といった表現ができるようになる。また、子音のオキナ「‘」は声門閉鎖音であるが、その発音は喉に手を当てそのバイブレーションで発音を確認してゆくことを教えてくれる。

 今回の受講者は在ハワイ歴15年以上の皆さんで、残念ながら日本人旅行者はいなかった。しかし、ハワイ語は初心者だし「ハワイ文化に関心があった」「フラの教室に通っていてチャントでなじみがあり、習ってみたかった」と、動機は旅行者の場合と大差がないようだ。同アカデミーではロミロミなどのヒーリング系のレッスンを中心にハワイの伝統を伝える目的でフラの授業も実施しており、これらに参加した人が興味を持ち、次のハワイ旅行でリピーターとして参加するといったパターンもあるようだ。

 ちなみに、ハワイ語は日本人になじみやすいといわれる。発音はa、e、i、o、uの5つの母音と、p、k、m、n、w、l、h、‘(オキナ)の8つの子音からなり、日本人が不慣れなf、r、vがないのだ。「歌うような」「小鳥がさえずるような」といわれるハワイ語のやさしいフレーズを話しやすいというポイントも覚えておきたい。



ハワイでの現地語レッスン

 ハワイ語をレッスンするクラスは、気軽に楽しめるものから本格的なレベルまで、選
択の幅が広く用意されている。ショッピング・センターからアカデミーまでの数多くの
受講場所のなかから、幾つかを紹介しよう。

・ビショップ・ミュージアム
 ハワイと太平洋諸島、ポリネシア全域の文化に関する200万点以上のコレクションを
視察しながら、ガーデン・ツアーやほかのハワイ文化の体験プログラムとともにレッス
ンが可能。教育旅行などのグループの受け入れもOK
http://www.bishopmuseum.jp/group.php

・ワイキキ・ビーチ・ウォーク
 土曜日以外の毎日、無料のレイ・メーキング、ウクレレ、フラ・レッスンなどを実施。
ハワイ語は「マナ・ハワイ」ショップ内でおこなっている。1時間のレッスンで予約不
要なため、気軽にハワイ語の初歩的な言葉や地名などを学ぶにはぴったり。
http://www.waikikibeachwalk.com/play_details.aspx?playid=24

・ヒーリングアカデミーハワイ・バイ・リニュー
 ハワイ語講座は2008年8月からスタート

http://www.healingacademyhawaii.com/workshopHawaiianCulture.html



▽ハワイ州観光局HP ハワイ講座
http://www.gohawaii.jp/workshop/index.html