全日空、プレミアムクラスの広告で排除命令、4月5月は新型座席の利用不可で

  • 2008年8月26日
 全日空(NH)は4月1日からサービスを開始した国内線の「プレミアムクラス」の広告表示について、8月25日、公正取引委員会から排除命令を受けた。該当するのは、2月1日から3月28日まで新聞8紙に掲載した広告の内容。公取委は、広告で隣の席から顔が見えないようなしきりのある新型の座席の写真を掲載し、下方に“ANAの国内線「プレミアムクラス」4月1日から全国でスタート”と記載したことで、「プレミアムクラス」では同型の座席が利用できるとの印象を与えたが、実際には4月から5月までの期間は新型の座席が設置されている便がなく、大部分の便で従来の座席をそのまま使用するか、シートピッチの変更や生地の張替えをした座席の提供であったことを、違反事実として指摘している。

 そのため、公取委は排除措置として(1)一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものである旨を公示すること、(2)再発防止策を講じ、役員と従業員に周知徹底すること、(3)今後、同様の表示をおこなわないこと、とし、その措置について文書での提出を求めた。また、国土交通省航空局も前田隆平局長の氏名で、広告表示の改善についてとの文書を通知し、講じた措置についての文書での報告を求めている。

 NHでは、「広告ではブランド感や雰囲気、『プレミアムクラス』の名称を伝えるのが目的で座席使用を伝える意図ではなかったが、結果として誤解を与える形になった」と説明。今回の排除命令の前にも利用者からの指摘に対応し、4月30日にはNHのホームページ上で、新型の座席はボーイングB737-800型機に搭載するもので、座席使用は機材によって異なることを表示しているという。さらに5月2日には予約画面で、搭乗予定の機材のシート使用や設備の確認を可能にするなど、対応を強化していた。排除命令に対しては真摯に受け止め、再発防止策として(1)宣伝責任者向けの事例共有と再教育、(2)各支店の広告制作担当者に対する教育、(3)グループ各社に対するコンプライアンス教育で事例共有と教育を実施することを表明している。


▽関連記事
全日空、国内線プレミアムクラスの体験キャンペ−基幹路線は利用率90%も(2008/07/25)
NH、「プレミアムクラス」を伊丹・札幌・福岡から順次導入、70路線で展開へ(2007/10/25)