豪・観光大臣、「一貫性」もつメッセージを継続して−需要創出の役割も

  • 2008年8月6日
 オーストラリア資源・エネルギー大臣兼観光大臣のマーティン・ファーガソン氏が来日、現在の日本発オーストラリア行きのアウトバウンド需要について、「一貫性のあるメッセージを出し続ける」と強調した。ファーガソン氏は「観光は50万人弱の雇用を創出し、経済面で国、地域にも重要との認識から、閣僚ポストがある」とオーストラリア国内での重要性を説明。なかでも約57万人を数える日本の旅行者は「質の高い経験を求めている」と理解を示しつつ、昨年から着手する世界遺産キャンペーンを継続展開し、「オーストラリアの豊かな文化、遺産を経験してもらいたい」と語った。

 長期的な観点では、特に若い世代を重視しており、「修学旅行ではじめてオーストラリアの文化に触れる、あるいは若年層がワーキングビザを取得して各地を旅行し、地域の人たちと交流することで、日本とオーストラリアのつながりが強化される。これは、長期の友好関係を築き、観光だけにとどまらず大きな意味を持つ」という。このうち特に、修学旅行では「(旅行する)生徒には新しい経験を積んでもらいたい」としつつ、その両親にも「安全は重要な項目。オーストラリアは安全で、国としても責任を持つ」と今後の訪問の増加にも期待を示す。これはキャンペーンで伝える「世界遺産」でもアボリジニー、アウトバックの食、ワイン、沿岸地域のライフスタイルなど、文化や旅をする楽しさと共通し、日本市場で伝えるメッセージであるとの考えだ。


▽原油高騰で航空のビジネスモデル変化−観光局は需要創出を

 大臣の来日は、オーストラリア側の日本発のアウトバウンドに対する新たな期待とも受け取れる。ファーガソン氏は「原油市場が世界的に高騰するなか、航空各社の経営も厳しく、合理化が進んでいるところ。一方で、航空路の持続性も重要」との考えで、個々のビジネスは民間企業が取り組むべき課題としつつ、日本/オーストラリア間の路線、供給量の確保には大臣としても一定の責務があるとの考えだ。また、「観光客が増えることは歓迎すべき」とし、ビジネス、レジャー、あるいは修学旅行やワーキングホリデーなど、市場の複合性が重要であり、国としては結果的に消費者が満足する「質の高い」旅行の実現を支援していく考え。

 また、オーストラリア政府観光局(TA)日本・アジア統括本部長のリチャード・ビアー氏は航空需要について、「現在は80%から85%がレジャー需要。この数年はピークから7割ほどに落ちてきており、長期的な持続性を航空会社が学んでおり、新たなモデルの構築には旅行業界とともに経験を積んでいる」と現状を分析。さらに航空会社のサービスもフルサービスから格安航空会社(LCC)と揃い、「消費者が選択できることが重要」といい、そのなかで旅行業界と航空業界が利益を得ていくかたちになればよいとの考え。TAとしては、「航空会社は従来の供給増による需要創出から、需要がなければ供給がないとの考えに変わってきている。観光局は、需要を創出していく役割がある」と語り、キャンペーンの展開で市場を活性化する考えを示した。