Marriott Bonvoy

厦門、安全性と新世界遺産を前面に打ち出す−中国方面の回復へ期待

  • 2008年8月18日
 中国の福建省厦門市は、治安や環境の良さや、今年新たに世界遺産に登録された「福建土楼」を打ち出し、日本人観光客の増加をめざす。8月13日には、厦門市旅游局副局長の陽方根氏や、福建土楼のある龍岩市旅游局副局長の林剣明氏らが来日し、旅行業界向けセミナーを開催。安全性や親日的な人々などの特徴を説明した上で、世界遺産や食事、文化体験、ゴルフ、温泉、ショッピングなどの魅力をアピールした。

 陽氏は、「厦門は経済特区で政治的に安定している。衛生面や環境保護、観光、住みやすさの点で国内外から高く評価されている」と強調。日本からもトヨタや丸紅、富士通などの大手企業が多数進出している。2007年の日本人訪問者数は約15万人で、海外からの訪問者数113万人のうち最多となった。2008年はこれまでのところ約20%減で推移しているものの、「北京オリンピック後の盛り上がりと新世界遺産で増えていく」と期待を寄せる。

 世界遺産となった福建土楼は、12世紀から20世紀にかけて客家人によって、土や砂利、竹などの材料で建てられた建物で、円筒形または四角形の建物の内部は複数階に分かれ、大きいものでは400室もの部屋を備えている。場所は福建省南西部の龍岩市をはじめ、厦門から100キロメートルほどの距離にある。セミナーでは、福建省にあるもう一つの世界遺産「武夷山」とコロンス島の観光を3泊で組み合わせたモデルコースを例示し、売りやすさをアピールした。

 また、観光需要の増加に向けて、厦門線を運航する日本航空(JL)と全日空(NH)の3氏に「厦門宣伝代表」を委任。そのうちの一人、NH営業推進本部中国室室長の日野隆久氏は自身の厦門駐在時代を振り返り、「10月から4月がベストシーズン。住んでいて心地よい街で、食事はあっさりした日本人好みの味。治安は良く、人柄ものんびりしており、台湾との人的往来も盛んなため親日家が多い」と説明した。一方、課題として、知名度の低さを挙げ「NHとしても宣伝していかなければならない」と語った。

 来場した商品企画・造成担当者からは、低迷する中国方面の回復に向けて、「いいイメージが打ち出せる」との声が聞かれた。オリンピック後の回復は期待が集まるところで、あるホールセラーでは、現在作成中のパンフレットで安心感の醸成を前面に打ち出す工夫をしているという。