ハワイ体験レポート(27)−発祥地で楽しむウクレレの祭典

  • 2008年7月31日
発祥地で楽しむウクレレの祭典
〜音色を聴きながら野外で思い思いに過ごす心地よい空間〜



ウクレレ発祥の地ハワイで7月27日、年に一度のウクレレの祭典「ウクレレ・フェスティバル」が開催された。入れ替わり立ち代りウクレレ・プレーヤーが演奏を繰り広げ、各メーカーのブースには様々なウクレレが並ぶ、ウクレレ好きにはたまらない1日。会場がダイアモンド・ヘッドをのぞむ広大なカピオラニ・パークで、ハワイらしい雰囲気を存分に味わえる野外フェスティバルというのも、ウクレレファンならずとも気になるイベントといえるだろう。しかも、入場は無料というのもうれしいところ。日本でも人気が高まりつつあるウクレレを存分に楽しめるイベントを実際に体験してみた。(取材:Nui)


▽シリーズ
ハワイ・ライフ&カルチャー:ウクレレのルーツと音色の秘密(2008/07/17)
ハワイ・ライフ&カルチャー:ハワイアン・ウクレレができるまで(2008/08/07)


メーカー各社が集うブースエリアでお気に入りの1本を探してみる

 開催直前にシャワーのような雨が降ったのが嘘のように、カピオラニ・パークの空は真っ青の快晴。朝9時30分、司会者が元気にオープニングを告げる。まずはウクレレのブースエリアをチェック。6つのブースが並んでおり、どのブースにも早くもウクレレ好きが群がっている。どこから回ろうか考えていると、行列を発見。何事かと先頭へ行くと、後ほどステージでおこなわれるウクレレ抽選会に応募している人達だった。

 今回、出展した6つのブースはワイキキのショップ「ウクレレ・プアプア」のほか、カマカ、コアロハ、Gストリング、カラ、カニレアというハワイアン・ウクレレ5ブランドで、それぞれ軒を連ねている。おなじみのメーカーたちだが、ひとつだけ「カニレア」というのは目新しい。ブースにいたオーナーに聞いてみると、オアフ島東部のカネオヘに工房を持っており、このフェスティバルに出店するのは2回目だそうだ。新しいハワイアン・ウクレレ・ブランドが増えるのは嬉しい限りだ。




ウクレレを普及させた立役者、ロイ・サクマ氏に会える

 今年で第38回目を迎えるウクレレ・フェスティバルを主催するのは、ロイ・サクマ氏。現在のハワイにおけるウクレレの浸透ぶりは、彼の長年の努力によるところが大きい。オアフ島の各地にある彼のウクレレ教室「ロイ・サクマ・ウクレレ・スクール」は、いつも地元の子供たちでいっぱいだ。ここから巣立ってプロのウクレレ・プレーヤーになったミュージシャンも数多く、そんなアーティストのプロデュースをするミュージック・プロダクション、そしてCDレーベルも運営している。まさにウクレレ一筋の人、サクマ氏を探しステージ裏へ行くと、サイン攻めにあっていた。ハワイではその顔もよく知られている有名人なのだ。








ハワイらしい「ゆるい」雰囲気で、音色に酔いしれる

 円形ステージ「カピオラニ・バンドスタンド」へ向かうと、半円型のバンドスタンドを囲むように並ぶベンチシートの座席が観衆ですっかり埋まっている。その後ろに広がる広場もゴザやテントを広げてくつろぐ老若男女のローカルたちでいっぱいだ。ステージではカリフォルニアから来たウクレレ・グループが演奏している。引退して趣味でウクレレを楽しんでいるご高齢の仲間たちのようで、ウクレレを抱え弾いている姿は本当に楽しそう。ステージもゆるいが、観客もゆるい雰囲気だ。なんと目の前のテントではグリルで肉を焼き、バーベキューを楽しんでいるのだ。しかも、その手にはウクレレが握られている。

 そんな姿に驚いていると、司会が東京からやってきたゲストグループをステージに招いた。ミュージックスクールでウクレレを習っている生徒の団体と紹介され、数曲を披露すると会場からあたたかい拍手が贈られた。






各国からウクレレを愛するプレーヤーが集結、中には「神様」も

 開放的な野外フェスティバルは気持ちいいが、日本と同様にハワイも真夏。何しろ陽射しが強いので、木陰のスポットがおすすめだが日焼け止めや帽子は必須だ。パラソルを差している人も多い。腕がジリジリと焼けるのを感じながら、目当てのアーティストがステージに立つのを待つ。

 今回出演したアーティストのなかで注目の3組を紹介しよう。ウクレレの神様「オータサン」ことハーブ・オータが、名器マーチン・ウクレレでため息ものの円熟プレイを聴かせた後は、大きな身体に小さなウクレレで歌う、歌声がすばらしいと人気を誇る新進アーティストのポーラ・フーガが、800人もの子供ウクレレ・オーケストラを従えての弾き語りを披露。続いて若手フラ・ミュージックバンドのホルナペの登場。ウクレレ&ボーカル担当のカマは、ロイ・サクマ・ウクレレ・スクールの出身だそうで、デビュー・アルバムもサクマ氏のプロダクションからリリースした。彼らの演奏にも子供のオーケストラが参加し、バックアップしていた。

 フェスティバルには、ハワイの有名ミュージシャンはもちろん、アメリカ本土やカナダ、グアム、そして日本からもウクレレ・グループが参加していた。それぞれがステージで演奏を楽しみ会場を盛り上げたが、観客や出演者が本当の主役とおもっているのはロイ・サクマ・ウクレレ・スタジオが育てるウクレレを愛してやまないハワイの子供たち。ウクレレの魅力を次の世代へ引き継いでもらいたいと見守るようなやさしさが、会場にあふれていた。そんな温かくてゆるいウクレレ・フェスティバルは、来年も7月最終日曜日に開催を予定している。この時期にハワイを訪れるなら、ぜひここでウクレレの世界に浸ってみてはほしい。