ル・ムーリス、ファミリー層の取り込みを進める−改装でハネムーナーも増加

  • 2008年7月7日
 ドーチェスター・コレクションが所有、経営するパリの「ル・ムーリス」は、ファミリー層の取り込みを強化する。これは新しい顧客層の開拓を目指し、子連れで泊まりやすいことをアピールし、子連れや三世代の旅行を取り込んでいくもの。鈴木氏は「日本人は、パラスホテルと聞くと、子連れでは泊まれないと考えてしまう」といい、ある程度のしつけができていることを前提に、ミシュラン3ツ星のメイン・ダイニングも子連れで入店ができることなど、泊まりやすい環境を説明していく。子供用のアメニティでも工夫をしており、モナリザの塗り絵やクイズでパリを楽しみながら学べる「MY PARIS PASSPORT」を完成すると、ホテルのロゴにも描かれる犬のぬいぐるみをプレゼントするほか、スリッパやバスローブ、傘、バスタブ用のアヒルなどを用意している。

 他ホテルとの差別化は、ロケーションの良さやエッフェル塔を眺めることができる客室が多いことに加え、特に富裕層に対して、コネクティング・ルームではなく「ル・ムーリスの2ベッドルーム・スイートに泊まる」ことをアピールする。また、ウェブサイトの内容は充実しているものの、年齢層が高いほどオンライン決済に不安を抱くことから、「これまで常に旅行者とホテルの間に立ってきた旅行会社は重要」とし、「ホテルのニュースの伝達や滞在後のケアなど、ホテルでできることにも限界がある」ことから、旅行会社での販売を重視していく。

 なお、客層の拡充では、先ごろに実施したロビーとレストランの改装にあわせ、日本でメディア露出を展開。サブプライム問題や燃油サーチャージの高騰と逆風があるものの、2008年4月から6月の期間は日本人宿泊者数が前年を上回っており、特に、ハネムーナーなど若い宿泊者が増加。空間デザイナーのフィリップ・スタルク氏により、従来の伝統的なイメージにシックさが加わり、レストランの予約が取りにくくなるなど、現地でも好評を得ているという。鈴木氏は、日本でも「クラシックとモダンを融合したデザイン性がメディアで紹介されたことが増加につながった」と分析している。