ル・ムーリス、ファミリー層の取り込みを進める−改装でハネムーナーも増加
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他ホテルとの差別化は、ロケーションの良さやエッフェル塔を眺めることができる客室が多いことに加え、特に富裕層に対して、コネクティング・ルームではなく「ル・ムーリスの2ベッドルーム・スイートに泊まる」ことをアピールする。また、ウェブサイトの内容は充実しているものの、年齢層が高いほどオンライン決済に不安を抱くことから、「これまで常に旅行者とホテルの間に立ってきた旅行会社は重要」とし、「ホテルのニュースの伝達や滞在後のケアなど、ホテルでできることにも限界がある」ことから、旅行会社での販売を重視していく。
なお、客層の拡充では、先ごろに実施したロビーとレストランの改装にあわせ、日本でメディア露出を展開。サブプライム問題や燃油サーチャージの高騰と逆風があるものの、2008年4月から6月の期間は日本人宿泊者数が前年を上回っており、特に、ハネムーナーなど若い宿泊者が増加。空間デザイナーのフィリップ・スタルク氏により、従来の伝統的なイメージにシックさが加わり、レストランの予約が取りにくくなるなど、現地でも好評を得ているという。鈴木氏は、日本でも「クラシックとモダンを融合したデザイン性がメディアで紹介されたことが増加につながった」と分析している。