ハワイ体験レポート(26)−ハワイの歴史的背景に触れる旅

  • 2008年7月3日
ハワイの歴史的背景に触れる旅
〜ダウンタウン・歴史散策ツアー〜



 「グルメ」「ショッピング」「アクティビティ」・・・。旅行には欠かせない要素が多いが、今、重視されているもののひとつが「カルチャー」だ。世界遺産に代表されるように、建築物や遺跡を見て回りながらその土地固有の文化的・歴史的背景にふれる旅先での過ごし方に注目が集まっている。今回は、オアフ島のダウンタウンで歴史散策ツアーに参加してみた。(取材/加藤明子)




 オアフ島の観光といえばショッピング一辺倒になりがちだったが、最近ではオアフでも、文化や歴史にポイントを置いたツアーが注目されている

 2007年6月からスタートした「ダウンタウン歴史散策ツアー」も、そのひとつ。ハワイ市庁舎が建つキングストリート近辺を徒歩でまわりながら、1810年のカメハメハ大王によるハワイ統一から1959年にアメリカ50番目の州に選出されるまでの変遷を学ぶことができる。

 ツアーを主宰するのは、現地在住の日本人のロバートさゆりさん。ハワイを訪れる日本人観光客のほとんどが2度、3度と通うリピーターであるにも関わらず、ハワイの歴史はあまり知らないという姿を見て、独自でツアーを企画。みずからガイド役もこなす。8月末までは毎週火曜日、日本人ガイドとの2人体制で催行、9月からはさゆりさん1人で毎月第1、第3火曜日に催行する。



カメハメハ大王の時代から
アメリカ50番目の州になるまで


 まずはハワイ市庁舎で集合。このハワイ市庁舎は、毎年12月のクリスマスの時期に、ツリーやサンタクロースが飾られることを見た方も多いだろうが、実は歴史地区の中心的な建物であるのだ。貴重な記録写真を使いながら、さゆりさんが丁寧に、分かりやすくハワイの歴史の基礎を解説してくれる。その後、市庁舎4階にあるエグゼクティブルームへ移動。ハワイ州知事が記者会見をする場所で、普段から一般開放されているが、実際に足を運ぶ観光客は少ないだろう。部屋の奥に展示された円形のオブジェは50州選出の際に作られたもので、「UA MAU KE EA O KA AINA I KA PONO(大地の生命が正義によって守られる)」という言葉が刻まれている。

 市庁舎を出たあとはいよいよ、歴史をさかのぼるようにダウンタウンを回る。リリウオカラニ女王が幽閉されたワシントンプレイス、カメハメハ4世が建立したセント・アンドリュース教会へ向かい、旧ハワイアンホテルやアリイオラニ・ハレなど、カラカウア王時代に建てられた荘厳な建築物を訪れる。そしてツアーの幕を閉じるハイライトは、ハワイ王朝の栄華の舞台となった、アメリカ唯一の宮殿「イオラニ宮殿」だ。

 さゆりさんの解説は、史実や歴代王族の紹介のみならず、ハワイの伝承物語や宗教、建築様式、イコノロジーなど多岐にわたる。これまで見過ごしていた文様やオブジェにもハワイの歴史を読み解くヒントが隠れていることに気付かされ、そのひとつひとつからハワイが辿ってきたドラマを思い起こさせる。ハワイを何度も訪れているリピーター、ひいてはハワイ専門の旅行関係者さえも驚くような、知られざるハワイの一面を見ることができ、新鮮な感覚を覚える人もいるだろう。ショッピング三昧の旅行に飽きた大人の旅行者には、ぜひとも体験してもらいたい。