インタビュー:オリエント・エクスプレス営業統括副社長 ディビット・ウィリアムズ氏
日本市場での営業を強化−ホテル取扱増に対応、日本での展開も視野
オリエント・エクスプレス・ホテルズ・トレインズ&クルーゼズ日本事務所は今年2月、セールスおよびマーケティング業務をアビアレップス・マーケティング・ガーデンに委託した。この日本市場での体制変更の意図と現在のビジネス環境について、ロンドン本社から来日したオリエント・エクスプレス営業統括副社長のディビット・ウィリアムズ氏に聞いた。(聞き手:編集長 鈴木次郎)
−現在の日本市場の状況はどのように推移しているか
ディビット・ウィリアムズ氏(以下敬称略) ディビット・ウィリアムズ氏(以下敬称略) 日本市場では鉄道とクルーズという従来から展開している部門に加え、ホテル部門の取扱いが拡大している。鉄道の取扱い規模は安定的に推移し、過去2年間はほぼ同規模で推移。それに対し、ホテルは同時期に大きく伸びており、バリ島、ラオス、カンボジアなどに新規オープンし、日本からの送客が増加している。そのほか、南米はクスコ、リマのホテルと鉄道を利用したマチュピチュをめぐる行程などの需要も増えている。ホテル部門の日本市場のシェアは全世界の5%のシェアであったが、現在は8%に拡大しており、成長している市場のひとつだ。
−このほど日本での営業体制を変更した。その主たる理由は
ウィリアムズ 日本を含め、韓国、オーストラリアにオフィスを展開しており、近く中国にも開設を予定している。こうした中で、日本は主要マーケットであり続けるが、その営業体制を構築する過程での体制変更だ。
変更の大きな理由は、ホテルの取扱いが伸び、日本市場の重要度が高まりつつあることから、その体制強化を考えたためだ。ホテル部門を本格化しはじめた5年前は、各ホテルが独自に営業を展開することが多かったが、今は「オリエント・エクスプレス」のブランドの下にセールス、マーケティング活動を展開している。ロンドンの本社と日本のセールス、マーケティング担当者が連携して活動をしており、その連携を強化していく上での決定だ。特に、オフィスにかかわるコストをかけるより、実際の営業活動に注力できる環境の方が良いと判断した側面も強く、費用対効果を重視した。
−日本市場での新たな取り組みはどのように進捗しているのか
ウィリアムズ 日本語サイトを開設して約3ヶ月がたち、この効果は予想以上だ。日本語サイトは日本居住者だけでなく、世界各地に居住する日本人がアクセスしており、その効果は単なる「日本市場」という以上の規模を実感している。セールス面でも鉄道、ホテルへの効果も高いと見ており、営業面でのプラスの効果に期待をしている。
ホテル部門はさらにポートフォリオを拡大していく。2011年にはニューヨークに150室のラグジュアリー・ホテルを建設、開業する計画がある。そのほか、イタリア、ブラジル、オーストラリア、カンボジアでさらなるホテルの展開を考えている。新ホテルの展開では、日本も候補のひとつだ。世界遺産と関係する土地で、ラグジュアリー、かつユニークな展開ができることを重点において、候補を探していく。そうした意味でも、日本市場は重要だ。日本からのアウトバウンド需要を獲得する場合、日本で「オリエント・エクスプレス」ブランドのホテル展開はプラスに働くことが大きいからだ。
−日本市場だけでなく、世界的にも景気後退がささやかれているが、ラグジュアリー・ブランドに影響は無いのか
ウィリアムズ 経済状況はやや軟化しているとは考えているが、たとえばアメリカからの旅行者はペルーなど米ドルを基調とした地域、つまり為替の影響を受けないエリアへと旅行する。こうしたポートフォリオの多様化が成功をもたらしているといえるだろう。また、最近は日本語サイトをはじめとしたウェブサイトへの投資も重要な施策だ。
VIPの意識も少しずつ変わっている。MICEでも特に「I」のインセンティブの考えが変化しており、こうした需要よりも「セレブレーション」の需要を意識してきている。たとえば、結婚式の取扱いや記念日を祝うパーティ需要が頭角がでている。こうした点では、日本市場ではウェディングの取扱いが増えており、アメリカのケズウィック・ホールはひっそりとした「個」の空間が演出できることで、人気が高まっている。今後は、セレブレーションの需要が大きな存在になっていくだろう。
スパ体験も重要な要素で、これはそれぞれの地域にあったメニューをそろえている。セレブリティは、ブランド志向よりも自分の求める最上の経験を明確に持ち、それを体験するという方向に近づきつつあり、こうしたトレンドに対応している。さらに、料理体験、ヨット搭乗、フランスではワイン試飲など、単なるリラックスだけでなく「学び」につながる時間のすごし方が重要になりつつある。こうしたプログラムはホテル独自に開発しており、各ホテルの特徴につながるとともに、顧客満足度が高まっていくだろう。
ありがとうございました
オリエント・エクスプレス・ホテルズ・トレインズ&クルーゼズ日本事務所は今年2月、セールスおよびマーケティング業務をアビアレップス・マーケティング・ガーデンに委託した。この日本市場での体制変更の意図と現在のビジネス環境について、ロンドン本社から来日したオリエント・エクスプレス営業統括副社長のディビット・ウィリアムズ氏に聞いた。(聞き手:編集長 鈴木次郎)
−現在の日本市場の状況はどのように推移しているか
ディビット・ウィリアムズ氏(以下敬称略) ディビット・ウィリアムズ氏(以下敬称略) 日本市場では鉄道とクルーズという従来から展開している部門に加え、ホテル部門の取扱いが拡大している。鉄道の取扱い規模は安定的に推移し、過去2年間はほぼ同規模で推移。それに対し、ホテルは同時期に大きく伸びており、バリ島、ラオス、カンボジアなどに新規オープンし、日本からの送客が増加している。そのほか、南米はクスコ、リマのホテルと鉄道を利用したマチュピチュをめぐる行程などの需要も増えている。ホテル部門の日本市場のシェアは全世界の5%のシェアであったが、現在は8%に拡大しており、成長している市場のひとつだ。
−このほど日本での営業体制を変更した。その主たる理由は
ウィリアムズ 日本を含め、韓国、オーストラリアにオフィスを展開しており、近く中国にも開設を予定している。こうした中で、日本は主要マーケットであり続けるが、その営業体制を構築する過程での体制変更だ。
変更の大きな理由は、ホテルの取扱いが伸び、日本市場の重要度が高まりつつあることから、その体制強化を考えたためだ。ホテル部門を本格化しはじめた5年前は、各ホテルが独自に営業を展開することが多かったが、今は「オリエント・エクスプレス」のブランドの下にセールス、マーケティング活動を展開している。ロンドンの本社と日本のセールス、マーケティング担当者が連携して活動をしており、その連携を強化していく上での決定だ。特に、オフィスにかかわるコストをかけるより、実際の営業活動に注力できる環境の方が良いと判断した側面も強く、費用対効果を重視した。
−日本市場での新たな取り組みはどのように進捗しているのか
ウィリアムズ 日本語サイトを開設して約3ヶ月がたち、この効果は予想以上だ。日本語サイトは日本居住者だけでなく、世界各地に居住する日本人がアクセスしており、その効果は単なる「日本市場」という以上の規模を実感している。セールス面でも鉄道、ホテルへの効果も高いと見ており、営業面でのプラスの効果に期待をしている。
ホテル部門はさらにポートフォリオを拡大していく。2011年にはニューヨークに150室のラグジュアリー・ホテルを建設、開業する計画がある。そのほか、イタリア、ブラジル、オーストラリア、カンボジアでさらなるホテルの展開を考えている。新ホテルの展開では、日本も候補のひとつだ。世界遺産と関係する土地で、ラグジュアリー、かつユニークな展開ができることを重点において、候補を探していく。そうした意味でも、日本市場は重要だ。日本からのアウトバウンド需要を獲得する場合、日本で「オリエント・エクスプレス」ブランドのホテル展開はプラスに働くことが大きいからだ。
−日本市場だけでなく、世界的にも景気後退がささやかれているが、ラグジュアリー・ブランドに影響は無いのか
ウィリアムズ 経済状況はやや軟化しているとは考えているが、たとえばアメリカからの旅行者はペルーなど米ドルを基調とした地域、つまり為替の影響を受けないエリアへと旅行する。こうしたポートフォリオの多様化が成功をもたらしているといえるだろう。また、最近は日本語サイトをはじめとしたウェブサイトへの投資も重要な施策だ。
VIPの意識も少しずつ変わっている。MICEでも特に「I」のインセンティブの考えが変化しており、こうした需要よりも「セレブレーション」の需要を意識してきている。たとえば、結婚式の取扱いや記念日を祝うパーティ需要が頭角がでている。こうした点では、日本市場ではウェディングの取扱いが増えており、アメリカのケズウィック・ホールはひっそりとした「個」の空間が演出できることで、人気が高まっている。今後は、セレブレーションの需要が大きな存在になっていくだろう。
スパ体験も重要な要素で、これはそれぞれの地域にあったメニューをそろえている。セレブリティは、ブランド志向よりも自分の求める最上の経験を明確に持ち、それを体験するという方向に近づきつつあり、こうしたトレンドに対応している。さらに、料理体験、ヨット搭乗、フランスではワイン試飲など、単なるリラックスだけでなく「学び」につながる時間のすごし方が重要になりつつある。こうしたプログラムはホテル独自に開発しており、各ホテルの特徴につながるとともに、顧客満足度が高まっていくだろう。
ありがとうございました