インタビュー:ハワイ・ツーリズム・オーソリティー デイビッド・ウチヤマ氏
「日本の潜在性を確信している」
ハワイへの“足”から現地の魅力まで、日本人訪問者の誘致に向けた問題解決を開始
6月2日から4日にラスベガスで開催されたアメリカ旅行見本市「パウワウ」には、ハワイ関連企業が出展した。来場していた、ハワイ・ツーリズム・オーソリティー・ヴァイス・プレジデント、ツーリズム・マーケティングのデイビッド・ウチヤマ氏に、アメリカ本土から見たアメリカ発ハワイ需要の推移や、日本発需要との関連を聞いた。ウチヤマ氏は日本市場にも見識が深い。(聞き手:弊誌編集長 鈴木次郎)
−アメリカ発の需要はどのように見ているのか
デイビッド・ウチヤマ氏(以下敬称略) 航空運賃が上昇しており、西海岸からの需要は落ちている。その一方で、ドル安の為替相場から、ヨーロッパを旅行しようという需要は多い。そのため、アメリカ西海岸の4月は消費額が11%減、アメリカ本土全体では約10%減となっている。サブプライム問題があるものの、2009年、2010年のイベント、コンベンションの予約状況はまずまずのところ。北米に限らず、世界各地からの医学学会で、多くの人が参加する会議を獲得しおり、足元の1、2年はミーティング、コンベンション、イベントを固めていく。また、大きなイベントとしては今年の6月と11月に日本航空(JL)のフラ・イベントがあり、約3000名は訪れると見ている。
−アロハ航空(AQ)の運航停止は北米にも影響を及ぼしているのでは。日本発でも減便があったが、その影響をどう考えているか
ウチヤマ 日本市場もそうだが、北米市場でも航空座席は要となる問題だ。この4月、イールド、市場の需要の潜在性をはじめ、航空会社と実質的な話し合いをできる専門家が加わった。アメリカ西海岸はAQの代替便の就航を航空会社に働きかけていくときに、需要だけでなく、機材の話にもなる。そのとき、この専門家がいることで、具体的に突っ込んだ話ができる。
同じことは日本についても言える。日本は地方都市発の定期便がなくなって数年が立つが、国内線で移動して成田発の便を案内するか、チャーター便を利用するかの選択がある。地方発のチャーター便の就航を依頼する場合でも、航空需要やイールドに詳しい専門家の分析は必要で、こうした点で、もっとも重要な「足」の問題に取り組んでいる。
−アメリカが弱くなると日本の重要度が高まる、という意見もあるが、どう思うか
ウチヤマ 日本市場は消費額の高さという点で、常に非常に重要な市場である。さらに、日本は成熟した市場になっている。つまり、ハワイで新たな体験を提供していくことが必要なのではないかと強く思っている。たとえば、ローカルの人と密度の濃い時間を過ごすこと、たとえばフラやウクレレ体験をはじめハワイの伝統文化に触れることが大切だ。これは旅行者の日本人だけでなく、現地に住むローカルのコミュニティにとっても交流という意味で重要なことだろう。
ロイヤルハワイアンショッピングセンターで、フラ、ウクレレのデモンストレーションを実施しているが、ワイキキからノードストロームをオープンしたアラモアナ・ショッピング・センターの一帯も、触れあいができるイベント、機会が多く創出されている。それが日本で展開している「So much more Hawaii…」キャンペーンのアイデアでもある。
ただし、燃油費高騰の影響はあるだろう。しかし、ホテルでは3泊すると1泊を無料とする「1ナイトフリー」や、予約した客室をチェック・イン時にアップグレードするなど、(支払った額に見あう)満足していただけるような提案をしている。
−日本市場で重視して取り組んでいくことは何か?
ウチヤマ 日本旅行業協会(JATA)と4月に第1回日本ハワイ観光協議会(JHTC)を開催した。これは、デスティネーション側が日本市場に働きかける一例として、ビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)の取り組みでも大きな役割を果たすと確信している。
日本は大きな可能性を秘めている。日本でハワイへ行きたいという思いや、検討をしている人は多いのではないだろうか。日本とハワイの旅行業界のトップが話し合い、解決できることは解決していく、という環境は大切だ。日本からの訪問者の誘致にも、良い状況を作り出せると信じている。
ありがとうございました。
ハワイへの“足”から現地の魅力まで、日本人訪問者の誘致に向けた問題解決を開始
6月2日から4日にラスベガスで開催されたアメリカ旅行見本市「パウワウ」には、ハワイ関連企業が出展した。来場していた、ハワイ・ツーリズム・オーソリティー・ヴァイス・プレジデント、ツーリズム・マーケティングのデイビッド・ウチヤマ氏に、アメリカ本土から見たアメリカ発ハワイ需要の推移や、日本発需要との関連を聞いた。ウチヤマ氏は日本市場にも見識が深い。(聞き手:弊誌編集長 鈴木次郎)
−アメリカ発の需要はどのように見ているのか
デイビッド・ウチヤマ氏(以下敬称略) 航空運賃が上昇しており、西海岸からの需要は落ちている。その一方で、ドル安の為替相場から、ヨーロッパを旅行しようという需要は多い。そのため、アメリカ西海岸の4月は消費額が11%減、アメリカ本土全体では約10%減となっている。サブプライム問題があるものの、2009年、2010年のイベント、コンベンションの予約状況はまずまずのところ。北米に限らず、世界各地からの医学学会で、多くの人が参加する会議を獲得しおり、足元の1、2年はミーティング、コンベンション、イベントを固めていく。また、大きなイベントとしては今年の6月と11月に日本航空(JL)のフラ・イベントがあり、約3000名は訪れると見ている。
−アロハ航空(AQ)の運航停止は北米にも影響を及ぼしているのでは。日本発でも減便があったが、その影響をどう考えているか
ウチヤマ 日本市場もそうだが、北米市場でも航空座席は要となる問題だ。この4月、イールド、市場の需要の潜在性をはじめ、航空会社と実質的な話し合いをできる専門家が加わった。アメリカ西海岸はAQの代替便の就航を航空会社に働きかけていくときに、需要だけでなく、機材の話にもなる。そのとき、この専門家がいることで、具体的に突っ込んだ話ができる。
同じことは日本についても言える。日本は地方都市発の定期便がなくなって数年が立つが、国内線で移動して成田発の便を案内するか、チャーター便を利用するかの選択がある。地方発のチャーター便の就航を依頼する場合でも、航空需要やイールドに詳しい専門家の分析は必要で、こうした点で、もっとも重要な「足」の問題に取り組んでいる。
−アメリカが弱くなると日本の重要度が高まる、という意見もあるが、どう思うか
ウチヤマ 日本市場は消費額の高さという点で、常に非常に重要な市場である。さらに、日本は成熟した市場になっている。つまり、ハワイで新たな体験を提供していくことが必要なのではないかと強く思っている。たとえば、ローカルの人と密度の濃い時間を過ごすこと、たとえばフラやウクレレ体験をはじめハワイの伝統文化に触れることが大切だ。これは旅行者の日本人だけでなく、現地に住むローカルのコミュニティにとっても交流という意味で重要なことだろう。
ロイヤルハワイアンショッピングセンターで、フラ、ウクレレのデモンストレーションを実施しているが、ワイキキからノードストロームをオープンしたアラモアナ・ショッピング・センターの一帯も、触れあいができるイベント、機会が多く創出されている。それが日本で展開している「So much more Hawaii…」キャンペーンのアイデアでもある。
ただし、燃油費高騰の影響はあるだろう。しかし、ホテルでは3泊すると1泊を無料とする「1ナイトフリー」や、予約した客室をチェック・イン時にアップグレードするなど、(支払った額に見あう)満足していただけるような提案をしている。
−日本市場で重視して取り組んでいくことは何か?
ウチヤマ 日本旅行業協会(JATA)と4月に第1回日本ハワイ観光協議会(JHTC)を開催した。これは、デスティネーション側が日本市場に働きかける一例として、ビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)の取り組みでも大きな役割を果たすと確信している。
日本は大きな可能性を秘めている。日本でハワイへ行きたいという思いや、検討をしている人は多いのではないだろうか。日本とハワイの旅行業界のトップが話し合い、解決できることは解決していく、という環境は大切だ。日本からの訪問者の誘致にも、良い状況を作り出せると信じている。
ありがとうございました。