国交省、第3回観光に関する懇談会を開催−実務的な教育を求める

  • 2008年6月4日
 国土交通省は6月3日、第3回観光に関する懇談会を開催、人材育成と観光産業について意見が交わされた。東海旅客鉄道相談役で日本商工会議所観光専門委員会委員長でもある須田寛氏は、観光を学ぶ学生の傾向として専門学校で旅行業務取扱責任者などの資格を目指す専門的かつ技術的なケースと、総合大学で社会学的観点を学びたいとする哲学的なケースに分かれるとし、両者の中間の位置、つまり専門的な知識と観光の基本的な考え方を身につけた人材の育成が必要だとした。北海道大学観光学高等研究センター長の石森秀三氏は、「大学で観光関連の学科は増加傾向にある一方で、企業側は大学に期待していない。大学だけに任せるのではなく企業が連携して求めるものを強く訴えていかなければならない」とした。

 また、文化庁長官の青木保氏は、観光立国のためには地域の活性化が不可欠であり、例えば「観光士」といった国家資格を設け、事業所に保有者を置くようにするなど、資格を仕事に繋げることが重要だとした。観光におけるホスピタリティについてとりあげた委員も多く、道徳教育と同じように子供の頃から地域についての誇りや海外からの来訪者を喜ばせたいと感じられるような教育を国をあげて実施し、国民が観光は重要な産業であると実感できる環境を目指したいと意見がまとまった。

 なお、現在、消費者庁の設置に関連して、移管が検討されている旅行業法について、商船三井相談役で座長を務めた生田正治氏は、観光行政として責任を持って運用していかなければならないとの見解を示した。