南アフリカ、情報提供の充実で訪問者の増加へ−JATAのWGが初セミナー

  • 2008年6月3日
 日本旅行業協会(JATA)南アフリカ旅行拡大ワーキング・グループは5月30日、業界を対象とした販売スキルアップセミナーを開催した。これは2010年開催のワールドカップに向け、インフラの整備や治安の向上を進める南アフリカの観光の魅力と現状を伝えて商品販売の強化をはかるもので、ワーキング・グループがこのようなセミナーを主催するのは初めて。

 南アフリカ観光局によると、日本人訪問者数は昨年10月から12月まで減少したが、今年に入り増加に転じ、3月は前年比22%増で2500人を超えた。現在、訪問者の75%が初めての訪問者でリピーターは少ない。これに対し、既存のツアーがクルーガー国立公園やケープタウンなどのハイライトを回ることが多く、一度訪れて満足してしまうのではないかとみている。

 また、南アフリカについて、デスティネーションとしての認知度は29%あるが、商品購入の際の検討、情報の収集などの段階を経て、最終的に訪問するのはわずか2%に過ぎないという。これについてワーキング・グループでは渡航先として選択肢に入れた後の情報収集で十分な情報が提供できていないことが、実際の渡航に結びついていない原因のひとつとみている。そのため、訪問者の主要客層である50代60代のシニア層の主な情報収集源である旅行会社のパンフレットやカウンターでの説明、メディアへの露出に向け、積極的に情報提供をし、消費者と旅行会社に南アフリカの知識を高めてもらうことで販売に繋げたい考えだ。

 セミナーでは視察に基づく現地の観光スポットやホテル、移動など商品造成に役立つ情報を紹介。さらに、消費者から南アフリカツアーの販売時に問合せの多い質問と回答をカウンターでも利用できるよう、シートにまとめ配布した。このほか観光局は「フンディ」という南アフリカのエキスパートを目指すプログラムを案内したほか、認知度を高めるため、南アフリカツアーのパンフレットへのワーキング・グループのロゴの掲載、展開中のフォトコンテストへのリンクを掲載する旅行会社の募集などの取組みを紹介した。


▽ビクトリアフォールズにツアー催行

 阪急交通社およびクラブツーリズムは、南アフリカとの周遊で訪れるビクトリアフォールズについて、ジンバブエの渡航情報が引き上げられたことで、一度は反対側のザンビアのリビングストーンへ訪問地を移したが、現地の偵察や現地ガイドの情報により危険性がないと判断、現在は通常通り、ジンバブエのビクトリアフォールズを訪れているという。以前と大きく変わりはなく、その背景として、ビクトリアフォールズと首都のハラレは1000キロほどの遠距離にあること、その地域全体が観光で成り立っているため暴動などはマイナス要因となること、南アフリカとは友好関係にあるため航空便などのアクセスが絶たれる可能性が低いことを、判断材料の1つとしている。


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