08年度に開催地が決まる国際会議は92件、17件が日本の可能性強く−国交省調査

  • 2008年5月22日
 国土交通省によると、2008年度に開催地が決定する会議は、同省が現在で把握するもので合計92件であるという。それぞれを「日本への誘致可能性が極めて高いもの」「日本への誘致可能性が高いもの」「日本への誘致可能性があるもの」の3段階に分類しており、そのうち17件が「誘致可能性が極めて高い」と見ている。規模はそれぞれ異なるが、2014年に開催される医学系の会議が4000人から5000人規模で最も多い。また、「可能性が高い」ものには、7月に決定する3万人規模、9月から10月に決定する2万人規模というものもある。

 2007年の日本での開催実績は1014件、そのうち主要な会議(300人、5ヶ国、3日以上のもの)は181件であったが、2008年は現段階で4256件でそのうち主要会議が43件。これを観光推進基本計画で2011年までの5年間で07年比の5割増にすることを目標としている。5月21日に開催した「国際会議誘致会議重点会議」では国土交通省総合観光政策審議官の本保芳明氏は「(国際会議誘致で先進する)シンガポールやタイなどに比べ、国の観光が劣っているとは思わない。効率的、効果的な施策をたて、情報を共有して強調できるところは一緒に攻勢していきたい」と、参加した自治体やコンベンションビューローに呼びかけた。また、内閣官房副長官補佐内閣参事官の若林陽介氏は「(国際会議開催は)内需振興に役立つほか、日本の文化や生活を世界に発信することで、日本の国際地位の向上に役立つ」と、意義を強調した。

 開催数の増加に向け、国交省では今年度から、国際会議誘致活動の支援のための予算を創設。また、国際観光振興機構(JNTO)理事の登誠一郎氏は「(誘致には)情報の収集と活用が重要」と語り、国際会議データベース充実と強化をはかる。協賛団体用専用ウェブサイトと国際会議データベースを設け、利用者に提供していく。


▽コンベンション誘致には情報収集と人材育成が重要

 「国際会議誘致重点会議」で講演した、財団法人ちば国際コンベンションビューローの東條秀彦氏は、今後のコンベンション誘致には「体制の再構築とインフラ整備が必要」と述べた。東條氏は旅行会社勤務後、同団体に勤務し、日本コングレス・コンベンションビューロー活性化委員を務めたほか、韓国のソウルと大田コンベンションビューローが主催するコンベンション・アカデミーや観光学部のある霊山大学などの講師を務める。

 例えば、他国に比べて予算が高いことについて、日本ではカーペットを1次使用のみとしているが、韓国では1次から3次程度まで使い、それぞれに値段を設定して幅広い予算を用意している例を紹介。また、人材教育の遅れも指摘する。韓国では、コンベンション関係の学科のある大学や専門学校もあり、専門性の高い人材を育成する土壌ができているという。こうした視点から今後日本のコンベンションが活性化するには、情報とデータの活用による戦略と、産学官の連携による取組みの強化の必要性を示唆。また、日本のみならず、韓国など海外のコンベンションビューローなどとのネットワークの構築も有効だとアドバイスした。


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