成田空港、発着回数30万回も可能−環境、施設、運用など諸問題解消で50%増

  • 2008年3月26日
 成田国際空港(NAA)は3月25日、周辺自治体による「成田国際空港都市づくり推進会議」に対して、2本の滑走路の長さや運用時間を変えることなく、発着回数を現在の50%増となる30万回まで増加することが可能と説明した。施設、運用面での問題解消と騒音対策などが条件。アジア地域各国の大規模空港整備による競争力の低下なども訴えた。ただ、NAAでは、「首都圏の需要に応えることも大切だが、地域の理解が得られることが最重要」(NAA地域共生部)としており、地域の納得の上で最大限の拡大を果たしたい考え。

 NAAは、発着枠拡大の可能性について、発着回数は滑走路の長さではなく、時間当たりの処理能力(スロット)と運用時間で決まると解説。その上で、A滑走路(4000メートル)では運用面の制約解消により、現在の年間約13.5万回から約15万回に、B滑走路(2500メートル)でも誘導路などの整備をすることで、延伸せずに現在の年間約6万5000回から約15万回まで拡大可能とした。

 課題は、誘導路や航空機駐機スポット、ターミナルビルなどの整備と、空域および管制の問題の解決、地元の理解、騒音・環境対策など。誘導路などハード面はNAA主導の整備が可能だが、空域の見直しなど国に対する要望活動などは地元の協力が必要となる。空港の競争力強化による地域の活性化に加え、滑走路の長さや運用時間の据え置き、騒音・環境対策などデメリットの少なさを前面に打ち出し、理解を得たい考えだ。

 一方、自治体側からは「地域にとって発着枠拡大が何を意味するのか分からない」など、メリットが不透明との意見も出された。意見を取りまとめた成田市長の小泉一成氏は、「発着枠の拡大による、人口や交通量の増加などプラスの効果を調査する」とした。今後は推進会議としての基本構想を5月頃に策定し、2009年3月頃に基本計画を発表する方針だ。