取材ノート:旅行業は情報産業に脱却を−JATA経営フォーラム
2月26日に開催されたJATA経営フォーラムの分科会D「検証『旅行会社じゃないと出来ないこと!』」では、参加者を8つに分けた参加型のグループワークを実施し、活発な議論が行われた。モデレーターはツーリズム・マーケティング研究所の取締役マーケティング事業部長の高松正人氏、コメンテーターは日本政策投資銀行の地域振興部参事役の藻谷浩介氏、ホテル石風専務取締役の風間秀一氏、野村総合研究所経営コンサルティング部担当部長上席コンサルタントの森沢徹氏。
はじめに、コメンテーターが各自の旅行嗜好とともに、各人の立場から見た旅行業界の分析をコメント。このなかで、藻谷氏は旅行会社に頼まず、自分で手配しているという。「たとえ禁煙車でも隣に喫煙車があるのは嫌」というほどタバコが苦手なためで、「こだわりの強い人は旅行会社から離れ、こだわりのない人が旅行会社の客として残るが、その結果は代売業だけになる。私は要望を叶えてくれるなら月4万円の手数料も惜しくない」と述べ、量を稼ぎながらサイドビジネスでこだわりの強い客を取りこめられれば、収益が高まるのでは、と提案した。
▽「旅行会社じゃなくても出来ること」「旅行会社じゃ出来ないこと」に活路あり
3人のコメンテーターの意見を問題提起とし、グループワークでは(1)旅行会社じゃないと出来ないこと、(2)旅行会社でも旅行会社じゃなくても出来ること、(3)旅行会社じゃ出来ないこと、を話し合った。「2時間の分科会で結論が出るとは思わないが、考えるきっかけになる。会社に持ち帰り、意見交換していただければありがたい」(高松氏)がグループワークの趣旨だ。時間中、モデレーターとコメンテーターは席を回り、「旅行会社じゃないと出来ないこと以外に未来があるのでは」などとアドバイス。
発表では、「旅行会社じゃないと出来ないこと」として、旅行業法にのっとった旅程保証、手配、ツアー催行のほか、予約のギャランティ、添乗員の手配、プロによる保証された施設・観光地情報の提供のほか、ニーズにあった旅行提案やコンサルティング、ホスピタリティなどソフト面の案が多く出された。また、手間のかかる周遊型の最安値の航空運賃の提案や公示運賃を利用した安価な企画旅行も、旅行会社がまだ力を発揮する領域だとした。
一方、「旅行会社じゃなくても出来ること」では、プロモーションはメディアの方が得意、一般情報はブログなどクチコミもあるなどの意見が出た。また、「旅行会社じゃ出来ないこと」として、現在では無理だが、旅を活用した健康増進のアドバイスなど、他業種の専門を取り入れながらのアドバイスも有効ではないかとの提案もあった。
▽情報は、質の高いサービス提供と販促の武器になる
発表について、「ヒューマンタッチのサービスを提供しても、効果計測ができていない。欧米では実施しているが、日本は遅れている」(森谷氏)、「最近は食の安全の問題もある。旅行会社の過去の実績といった経験値で安心を示せることもあるのでは」(藻谷氏)、「来店者に記入してもらう情報だけでなく、お客様との話で得られたバックグランド、見た目で得られる情報もセールスに活用できるのでは」(風間氏)など、それぞれ意見や提案を述べた。
特に情報については、風間氏が「ホテルと宿泊
客の間に入る旅行会社が双方に連携することで
、実際にサービスを提供するホテル側の対応を変えることができ、よい旅行の提供につながる。これも旅行会社にしか出来ないこと」と述べた。また、藻谷氏は「旅行業界は縮小に転じて11年。従来の意識を変えることが大切」とし、「流通小売業から情報産業に脱皮しなくてはいけない」と述べた。その方法として、十分にケアした丁寧なサービスをした上で顧客からのフィードバックを取り、その情報を元に高い値段で販売をする。これら情報をデータベースにまとめて分析し、活かせる企業は生き残れる」と、情報活用の重要性を強調した。
▽関連情報
◆旅行業は複合企業化かM&Aへ、先手が有利−野村総合研究所・森沢氏(2008/02/27)
はじめに、コメンテーターが各自の旅行嗜好とともに、各人の立場から見た旅行業界の分析をコメント。このなかで、藻谷氏は旅行会社に頼まず、自分で手配しているという。「たとえ禁煙車でも隣に喫煙車があるのは嫌」というほどタバコが苦手なためで、「こだわりの強い人は旅行会社から離れ、こだわりのない人が旅行会社の客として残るが、その結果は代売業だけになる。私は要望を叶えてくれるなら月4万円の手数料も惜しくない」と述べ、量を稼ぎながらサイドビジネスでこだわりの強い客を取りこめられれば、収益が高まるのでは、と提案した。
▽「旅行会社じゃなくても出来ること」「旅行会社じゃ出来ないこと」に活路あり
3人のコメンテーターの意見を問題提起とし、グループワークでは(1)旅行会社じゃないと出来ないこと、(2)旅行会社でも旅行会社じゃなくても出来ること、(3)旅行会社じゃ出来ないこと、を話し合った。「2時間の分科会で結論が出るとは思わないが、考えるきっかけになる。会社に持ち帰り、意見交換していただければありがたい」(高松氏)がグループワークの趣旨だ。時間中、モデレーターとコメンテーターは席を回り、「旅行会社じゃないと出来ないこと以外に未来があるのでは」などとアドバイス。
発表では、「旅行会社じゃないと出来ないこと」として、旅行業法にのっとった旅程保証、手配、ツアー催行のほか、予約のギャランティ、添乗員の手配、プロによる保証された施設・観光地情報の提供のほか、ニーズにあった旅行提案やコンサルティング、ホスピタリティなどソフト面の案が多く出された。また、手間のかかる周遊型の最安値の航空運賃の提案や公示運賃を利用した安価な企画旅行も、旅行会社がまだ力を発揮する領域だとした。
一方、「旅行会社じゃなくても出来ること」では、プロモーションはメディアの方が得意、一般情報はブログなどクチコミもあるなどの意見が出た。また、「旅行会社じゃ出来ないこと」として、現在では無理だが、旅を活用した健康増進のアドバイスなど、他業種の専門を取り入れながらのアドバイスも有効ではないかとの提案もあった。
▽情報は、質の高いサービス提供と販促の武器になる
発表について、「ヒューマンタッチのサービスを提供しても、効果計測ができていない。欧米では実施しているが、日本は遅れている」(森谷氏)、「最近は食の安全の問題もある。旅行会社の過去の実績といった経験値で安心を示せることもあるのでは」(藻谷氏)、「来店者に記入してもらう情報だけでなく、お客様との話で得られたバックグランド、見た目で得られる情報もセールスに活用できるのでは」(風間氏)など、それぞれ意見や提案を述べた。
特に情報については、風間氏が「ホテルと宿泊
客の間に入る旅行会社が双方に連携することで
、実際にサービスを提供するホテル側の対応を変えることができ、よい旅行の提供につながる。これも旅行会社にしか出来ないこと」と述べた。また、藻谷氏は「旅行業界は縮小に転じて11年。従来の意識を変えることが大切」とし、「流通小売業から情報産業に脱皮しなくてはいけない」と述べた。その方法として、十分にケアした丁寧なサービスをした上で顧客からのフィードバックを取り、その情報を元に高い値段で販売をする。これら情報をデータベースにまとめて分析し、活かせる企業は生き残れる」と、情報活用の重要性を強調した。
▽関連情報
◆旅行業は複合企業化かM&Aへ、先手が有利−野村総合研究所・森沢氏(2008/02/27)