ビザまめ知識(7)−ビザトラブルを受ける要因(その1)

  • 2008年2月28日
今回から2回にわたり、ビザトラブルを受ける大きな要因について説明していく。

1.「米国を日本の延長線上で捉えてしまう」

 日本人にとって米国は非常に身近な国であるため、旅行などで行き慣れてしまうと外国であるという意識が薄れがちになる。特にハワイやグアムは日本から訪れやすく、現地でも日本語が通じる場所が多いなど、つい日本と同じような感覚がはたらいたり、勉強や滞在ができると錯覚しやすい。                                 

2.「日本や自己の常識で判断していた」

 ビザを取得できた人であっても、ビザの規定まで詳しく理解している人はほとんどいない。しかし、何か問題が起こってから「知りませんでした」では済まないのである。例えば、出張ビザであるB1ビザは、頻繁な短期出張がある場合に取得する可能性が考えられるが、B1ビザ規定の「米国への1回の滞在期間は最大6ヶ月」であるということを知らず、アパートを賃貸したり、大きな荷物を持ち込んだりと、米国で長期滞在しながら就労が可能なビザだと勘違いしてしまうケースがある。

3.「友人、知人、同僚は何の問題もなく入国が出来ている」

 友人が米国に問題なく頻繁に入国できているから、自分も大丈夫だと思い込んでしまいトラブルが起きるという例が多々ある。厄介な事にトラブルにあっても他の人が可能なのに自分だけどうしてダメなのかと、なかなか納得できずに相談に来られる場合もある。

 しかしながら、注意しなければならないのは友人や同僚がいくら頻繁に入国できたからといって、自分の状況がまったく同じであると素人考えで判断することは、非常に危険である。他国の入国に関することを専門知識もないまま安易に危険を冒す行為は、トラブルの原因となるので注意が必要だ。

4.「過去の経験にたよってしまう(米国に慣れすぎていた)」

 過去に学生ビザで米国留学の経験がある場合や、米国で長期滞在をしたことがある場合などは、その経験から米国について熟知していると錯覚しがちになる。特にビザの規定については理解している人が少なく、過去の留学経験と同じく就労ビザも簡単に取得できると勘違いしてしまい、却下されるといったケースも少なくない。



執筆:チャールズ・W・プレイ弁護士
(アルビスジャパン主任弁護士)

経歴:
前カナダ外交官
カナダ弁護士会会長(1997〜1998年)
CIPC議長

前カナダ外交官。現在は移民法専門事務所のアルビスジャ
パン主任弁護士として、多くの日本人のビザや永住権など
の取得サポート。米国移民弁護士協会(AILA)、やカナダ
弁護士協会(CBA)や国際弁護士協会に所属し、専門家、
企業や法人に対し米国、カナダ両国の移民に関する法的
サービスを行う国際移民弁護士。 現在、移民問題に関す
る記事を執筆し、移民政策に関してカナダの上級政府官僚
に定期的にアドバイスしている。


▽ビザまめ知識 シリーズ
ビザまめ知識(1)−9.11テロ事件以降、米国ビザに生じた変化(2007/11/22)
ビザまめ知識(2)−米国ビザ発給数の推移(2007/12/06)
ビザまめ知識(3)−ビザ申請却下の事例と注意(その1)(2007/12/20)
ビザまめ知識(4)−ビザ申請却下の事例と注意(その2)(2008/01/17)
ビザまめ知識(5)−ビザ申請却下を回避するには(2008/01/31)
ビザまめ知識(6)−ビザトラブルとは何か(2008/02/14)