ビザまめ知識(6)−ビザトラブルとは何か
ビザトラブルという言葉を聞きなれない人も多いだろう。ビザトラブルとは、米国への入国が困難であるか、入国できない状態になっていることを指す言葉。ビザトラブルは2002年以降から年々増加している。状況は大きく分けて下記の4つに分けることができる。
A.ビザ却下を受け、入国にリスクが伴った
B.入国時に移民審査官から警告を受けた(次の入国はビザが必要)
C.不法滞在、不法就労や逮捕歴を含む移民法規定違反を犯した
D.入国拒否および強制退去を受けた
ケースA
「ビザ申請却下を一度受けたら、入国リスクが伴うようになった」
ビザの申請却下を受けた場合、「まあ、いいや」「再度トライすればいいだろう」と軽く思う人もいるだろうが、実際はそれだけでは済まない。米国にビザなしで入国する者は、「I-94W」(入国審査カード)を全員記入しなければならないが、このカードには「過去に米国の査証発行を拒否されたことがあるか」という質問事項があるために、過去に一度でも申請却下を受けたことがあると、ここに「はい」と記入する必要がでてくる。申請却下された時期や入国の目的によっては米国に入ることできない場合もでてくる。就労ビザを申請して却下された直後、出張のためビザなしで入国しようとしたところ就労の疑いをかけられて入国拒否をされたり、学生ビザの更新を却下された直後に、荷物整理のためビザなしで入国しようとして拒否されるといったケースがおきているのだ。申請却下された直後の米国訪問は、トラブルになる危険性が高まるため注意が必要である。
ケースB
「入国時に移民審査官から警告や嫌疑を受けた」
2005年度のビザ発給数は9万件弱で過去最低を記録したが、その一方、企業ではビザを持たない(ビザウェーバー)出張が増加した。このような背景から、米国入国時に移民審査官からいろいろと質問をされるようになったり、ビザ申請を要請されたり、最悪の場合には入国拒否に遭うケースなどが多く見られるようになった。頻繁な渡米によって、米国で就労する恐れや住み着く恐れがあるとみなされるためである。たび重なる米国訪問や長期滞在は入国拒否の対象にあたり、目安としては年3回、合計90日を超えた米国訪問・滞在はトラブルに遭う危険性が高まると覚えておきたい。
ケースC
「不法滞在、不法就労や逮捕歴を含む移民法規定違反を犯した」
9.11テロ事件以降、最も厳しくなったのが違法行為者に対する審査である。過去の不法滞在や逮捕歴などが原因で、移民法規定違反になることもある。
具体例をあげると、留学時代に飲酒運転で逮捕されたAさんは、不起訴となり犯罪歴が消えたと当時の担当弁護士から聞かされていたので、自分に逮捕歴はないものと思いこんでいたが、最近ビザなしで米国に入国した際、過去の飲酒運転について指摘されたというケースがある。刑法上逮捕歴が消えたとしても、移民法上の逮捕歴は消えない。全てを公表した上で米国訪問の目的にあったビザを取得することが必要となってくるのである。
もう1つ、良く出てくる問題をあげよう。Bさんは1990年代、ロサンゼルスに90日間滞在した。数年後、ふたたびロサンゼルスに入国した際、入国審査で1990年代の滞在について1日オーバーステイをしていると指摘された。その時は手数料を支払い入国することができたが、次回からは米国入国にはビザが必要だと言われてしまった。Aさんとしては旅行会社で90日間のチケットを取ったつもりだったのだが、実際は90日間ではなく3ヶ月有効なチケットで、日数のカウントに誤差が生じてしまいオーバーステイとなったのである。通常、90日以内の短期の商用や観光の目的で渡米する場合はビザなしで大丈夫だが、90日=3ヶ月と勘違いしている人も少なくないので要注意だ。
ケースD
「入国拒否および強制退去を受けた」
これは上記のAからCで説明したビザトラブルの末、最悪の結果が招く状況のこと。入国拒否および強制退去の事例については後述する。
▽ビザまめ知識 シリーズ
◆ビザまめ知識(1)−9.11テロ事件以降、米国ビザに生じた変化(2007/11/22)
◆ビザまめ知識(2)−米国ビザ発給数の推移(2007/12/06)
◆ビザまめ知識(3)−ビザ申請却下の事例と注意(その1)(2007/12/20)
◆ビザまめ知識(4)−ビザ申請却下の事例と注意(その2)(2008/01/17)
◆ビザまめ知識(5)−ビザ申請却下を回避するには(2008/01/31)
A.ビザ却下を受け、入国にリスクが伴った
B.入国時に移民審査官から警告を受けた(次の入国はビザが必要)
C.不法滞在、不法就労や逮捕歴を含む移民法規定違反を犯した
D.入国拒否および強制退去を受けた
ケースA
「ビザ申請却下を一度受けたら、入国リスクが伴うようになった」
ビザの申請却下を受けた場合、「まあ、いいや」「再度トライすればいいだろう」と軽く思う人もいるだろうが、実際はそれだけでは済まない。米国にビザなしで入国する者は、「I-94W」(入国審査カード)を全員記入しなければならないが、このカードには「過去に米国の査証発行を拒否されたことがあるか」という質問事項があるために、過去に一度でも申請却下を受けたことがあると、ここに「はい」と記入する必要がでてくる。申請却下された時期や入国の目的によっては米国に入ることできない場合もでてくる。就労ビザを申請して却下された直後、出張のためビザなしで入国しようとしたところ就労の疑いをかけられて入国拒否をされたり、学生ビザの更新を却下された直後に、荷物整理のためビザなしで入国しようとして拒否されるといったケースがおきているのだ。申請却下された直後の米国訪問は、トラブルになる危険性が高まるため注意が必要である。
ケースB
「入国時に移民審査官から警告や嫌疑を受けた」
2005年度のビザ発給数は9万件弱で過去最低を記録したが、その一方、企業ではビザを持たない(ビザウェーバー)出張が増加した。このような背景から、米国入国時に移民審査官からいろいろと質問をされるようになったり、ビザ申請を要請されたり、最悪の場合には入国拒否に遭うケースなどが多く見られるようになった。頻繁な渡米によって、米国で就労する恐れや住み着く恐れがあるとみなされるためである。たび重なる米国訪問や長期滞在は入国拒否の対象にあたり、目安としては年3回、合計90日を超えた米国訪問・滞在はトラブルに遭う危険性が高まると覚えておきたい。
ケースC
「不法滞在、不法就労や逮捕歴を含む移民法規定違反を犯した」
9.11テロ事件以降、最も厳しくなったのが違法行為者に対する審査である。過去の不法滞在や逮捕歴などが原因で、移民法規定違反になることもある。
具体例をあげると、留学時代に飲酒運転で逮捕されたAさんは、不起訴となり犯罪歴が消えたと当時の担当弁護士から聞かされていたので、自分に逮捕歴はないものと思いこんでいたが、最近ビザなしで米国に入国した際、過去の飲酒運転について指摘されたというケースがある。刑法上逮捕歴が消えたとしても、移民法上の逮捕歴は消えない。全てを公表した上で米国訪問の目的にあったビザを取得することが必要となってくるのである。
もう1つ、良く出てくる問題をあげよう。Bさんは1990年代、ロサンゼルスに90日間滞在した。数年後、ふたたびロサンゼルスに入国した際、入国審査で1990年代の滞在について1日オーバーステイをしていると指摘された。その時は手数料を支払い入国することができたが、次回からは米国入国にはビザが必要だと言われてしまった。Aさんとしては旅行会社で90日間のチケットを取ったつもりだったのだが、実際は90日間ではなく3ヶ月有効なチケットで、日数のカウントに誤差が生じてしまいオーバーステイとなったのである。通常、90日以内の短期の商用や観光の目的で渡米する場合はビザなしで大丈夫だが、90日=3ヶ月と勘違いしている人も少なくないので要注意だ。
ケースD
「入国拒否および強制退去を受けた」
これは上記のAからCで説明したビザトラブルの末、最悪の結果が招く状況のこと。入国拒否および強制退去の事例については後述する。
執筆:チャールズ・W・プレイ弁護士
(アルビスジャパン主任弁護士)
経歴:
前カナダ外交官
カナダ弁護士会会長(1997〜1998年)
CIPC議長
前カナダ外交官。現在は移民法専門事務所のアルビスジャ
パン主任弁護士として、多くの日本人のビザや永住権など
の取得サポート。米国移民弁護士協会(AILA)、やカナダ
弁護士協会(CBA)や国際弁護士協会に所属し、専門家、
企業や法人に対し米国、カナダ両国の移民に関する法的
サービスを行う国際移民弁護士。 現在、移民問題に関す
る記事を執筆し、移民政策に関してカナダの上級政府官僚
に定期的にアドバイスしている。
▽ビザまめ知識 シリーズ
◆ビザまめ知識(1)−9.11テロ事件以降、米国ビザに生じた変化(2007/11/22)
◆ビザまめ知識(2)−米国ビザ発給数の推移(2007/12/06)
◆ビザまめ知識(3)−ビザ申請却下の事例と注意(その1)(2007/12/20)
◆ビザまめ知識(4)−ビザ申請却下の事例と注意(その2)(2008/01/17)
◆ビザまめ知識(5)−ビザ申請却下を回避するには(2008/01/31)