ビザまめ知識(5)−ビザ申請却下を回避するには
今回はビザの申請却下を回避するための必要なポイントをいくつか挙げて説明しよう。ただし、これらは申請者自身がビザ規定を満たしているかどうか、事前に確認することを前提とする。<文:チャールズ・W・プレイ弁護士(アルビスジャパン主任弁護士)>
A.帰国立証が出来ること
B.渡米目的を明確に説明すること
C.各ビザに対応した適切な申請書類の作成
D.申請時におけるビザ申請傾向を把握しておくこと
A. 帰国立証が出来ること
帰国立証とは、米国での目的を終了しだい申請国(つまり日本)に必ず戻るという証明のこと。この帰国立証が必要なビザは、B-1ビザ(出張ビザ)、B-2ビザ(観光ビザ)、Jビザ(交流訪問ビザ)で、必ずしも全てのビザに共通するものではない。
例えば、Bビザであるにもかかわらず、妻子も一緒に連れて行くためにビザを申請するということは、却下の原因になる。また、アパートを賃貸したり、大きな荷物を携行していくのは、いくらビザを所持していてもビザの条件と行動が合致しておらず、ビザをキャンセルされる原因になる。
B.渡米目的を明確に説明する
例えば、学生ビザでトレーニングを終了したあと、さらにインターンシップのためとしてJビザを申請することは、米国で長期滞在や就労がしたいためとの理由が明白であり、これではJビザの目的から外れてしまう。また、ほかの例では、ビザなしで長期出張したあとに、さらにBビザを申請するという場合も、Bビザの目的から外れている。何の目的でビザが必要なのか、目的に適したビザであるのかをしっかり判断することは非常に大切なことである。
C.それぞれのビザに対応した申請書類を作成する
自分が申請するビザに適した書類の選別が大切であるが、これは専門家でないと難しい。しかし、事前にアメリカ大使館のサイトにあるビザ申請の基本チェックリストなどは参照しておきたい。あわせて、いつでも相談できる移民法専門の弁護士と交流を持つことも大切である。
D.最新のビザ申請傾向を把握しておくこと
移民法の規定は、頻繁に変更がされたり、傾向が変化していく。また領事の裁量で判断されるところがあり、最新の傾向はつねに把握しておくことが大切である。具体例をあげると、2年前まではトレーニングのためのJビザ却下率が非常に高かったが、2006年に入ると却下率が低くなった。また、Eビザ、Lビザは昔にくらべ、事業計画だけでない実績主義となり、審査が厳しくなっている。さらに9.11事件以降、システムが画一化されてきた最近では、犯罪歴やビザトラブル歴のある申請者の審査がいっそう厳しくなってきている。
▽ビザまめ知識 シリーズ
◆ビザまめ知識(1)−9.11テロ事件以降、米国ビザに生じた変化(2007/11/22)
◆ビザまめ知識(2)−米国ビザ発給数の推移(2007/12/06)
◆ビザまめ知識(3)−ビザ申請却下の事例と注意(その1)(2007/12/20)
◆ビザまめ知識(4)−ビザ申請却下の事例と注意(その2)(2008/01/17)
A.帰国立証が出来ること
B.渡米目的を明確に説明すること
C.各ビザに対応した適切な申請書類の作成
D.申請時におけるビザ申請傾向を把握しておくこと
A. 帰国立証が出来ること
帰国立証とは、米国での目的を終了しだい申請国(つまり日本)に必ず戻るという証明のこと。この帰国立証が必要なビザは、B-1ビザ(出張ビザ)、B-2ビザ(観光ビザ)、Jビザ(交流訪問ビザ)で、必ずしも全てのビザに共通するものではない。
例えば、Bビザであるにもかかわらず、妻子も一緒に連れて行くためにビザを申請するということは、却下の原因になる。また、アパートを賃貸したり、大きな荷物を携行していくのは、いくらビザを所持していてもビザの条件と行動が合致しておらず、ビザをキャンセルされる原因になる。
B.渡米目的を明確に説明する
例えば、学生ビザでトレーニングを終了したあと、さらにインターンシップのためとしてJビザを申請することは、米国で長期滞在や就労がしたいためとの理由が明白であり、これではJビザの目的から外れてしまう。また、ほかの例では、ビザなしで長期出張したあとに、さらにBビザを申請するという場合も、Bビザの目的から外れている。何の目的でビザが必要なのか、目的に適したビザであるのかをしっかり判断することは非常に大切なことである。
C.それぞれのビザに対応した申請書類を作成する
自分が申請するビザに適した書類の選別が大切であるが、これは専門家でないと難しい。しかし、事前にアメリカ大使館のサイトにあるビザ申請の基本チェックリストなどは参照しておきたい。あわせて、いつでも相談できる移民法専門の弁護士と交流を持つことも大切である。
D.最新のビザ申請傾向を把握しておくこと
移民法の規定は、頻繁に変更がされたり、傾向が変化していく。また領事の裁量で判断されるところがあり、最新の傾向はつねに把握しておくことが大切である。具体例をあげると、2年前まではトレーニングのためのJビザ却下率が非常に高かったが、2006年に入ると却下率が低くなった。また、Eビザ、Lビザは昔にくらべ、事業計画だけでない実績主義となり、審査が厳しくなっている。さらに9.11事件以降、システムが画一化されてきた最近では、犯罪歴やビザトラブル歴のある申請者の審査がいっそう厳しくなってきている。
執筆:チャールズ・W・プレイ弁護士
(アルビスジャパン主任弁護士)
経歴:
前カナダ外交官
カナダ弁護士会会長(1997〜1998年)
CIPC議長
前カナダ外交官。現在は移民法専門事務所のアルビスジャパ
ン主任弁護士として、多くの日本人のビザや永住権などの取
得サポート。米国移民弁護士協会(AILA)、やカナダ弁護士
協会(CBA)や国際弁護士協会に所属し、専門家、企業や法人
に対し米国、カナダ両国の移民に関する法的サービスを行う
国際移民弁護士。 現在、移民問題に関する記事を執筆し、移
民政策に関してカナダの上級政府官僚に定期的にアドバイスしている。
▽ビザまめ知識 シリーズ
◆ビザまめ知識(1)−9.11テロ事件以降、米国ビザに生じた変化(2007/11/22)
◆ビザまめ知識(2)−米国ビザ発給数の推移(2007/12/06)
◆ビザまめ知識(3)−ビザ申請却下の事例と注意(その1)(2007/12/20)
◆ビザまめ知識(4)−ビザ申請却下の事例と注意(その2)(2008/01/17)