ハワイ、満足度の向上へ−値引きでなく付加価値の提案を、団体営業も一工夫

  • 2008年1月30日
 ハワイ州観光局(HTJ)が開催した現地企業との懇談会で、来日したハレクラニのアジア/パシフィック・セールス・マネージャー三枝肇幸氏は、「ハワイは最も行きたい旅行先に選ばれているが、満足度が低い。対価を全うしていない表れ」との認識を示した。競合するアジアリゾートとは、治安や物価などから単純に比較できないことも強調しつつ、「1ホテルだけでなくハワイ全体で取り組むべきこと。旅行者の期待以上のものを提供するには、個々の意識を変えることが大切」と指摘。「例えば、お客様の名前を呼ぶことだけでも満足度が上がる。ハワイ全体がお客様を気にしていることを表していくべき」と、受け入れ側から問題意識を紹介した。

 また、滞在客の変化として、プライベートジェットで訪問するほど予算を持つ人がいる反面、今までハレクラニで下のタイプの客室に宿泊していた人が、下のカテゴリーのホテルで上のタイプの客室を選択する傾向もあるという。「予算が2極化している」としつつも、「単純に料金を落とすより、いかに価値をつけてイメージをアップさせるかの方が大切」と、付加価値をつけた提案を促した。

 旅行者の予算に対して、オアフ観光局の日本/アジア地区マーケティング営業部長ミツエ・ヴァーレイ氏は、「アクティブな旅行者は予算を遣う。ハワイはそれだけの中身を持っている」と強調。特に今年から展開する「So Much More Hawaii」で打ち出す「体験」については、アトラクションの事前予約が50%を超えるという。今までは、現地到着後のブリーフィングや現地で配布するリーフレットで案内していたが、現地予約では間に合わない状況から、消費者向けの現地ツアー用予約サイトを立ち上げる旅行会社もあるという。


▽修学旅行の予算減少、細分化の傾向に

 団体旅行に対しては、ハワイ・ウォーターズ・アドベンチャー・パークのセールス・マネージャーのケイ・スワンソン氏は、予算が減少している傾向を紹介。特に修学旅行が顕著で、グループ別の自由行動の際に、有償のアトラクションの利用ではなく、コストの少ないアラモアナ・ビーチで遊ぶ学生が増えており、「規模によって異なるが、100万円単位で減少しているのでは」という。さらに修学旅行の形態も「選択型」に変化があり、ハワイと沖縄などから生徒が選ぶ形となり、少子化も加えて人数が減少しているという。

 これを受け、オアフ観光局の日本/アジア地区マーケティング営業部長ミツエ・ヴァーレイ氏は、「一度決まると5年間は同じデスティネーションに行く」として、修学旅行を重視する姿勢を強調。もともとハワイは航空座席の供給量や大グループを受け入れられるアトラクション数が5つのみという問題があるが、福祉や観光などの視察に強みがあることから、私立や専門学校、学科別に実施する学校などに集中してセールスしていく方法を提案している。