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地元のプライドを大切にすることで観光が変わる−旅行動向シンポジウムから

  • 2007年12月21日
 財団日本交通公社(JTBF)が19日に開催した旅行動向シンポジウム「今、日本の宿が変わる!〜世界におもねない“ワタシ”に時代がついてくる〜」で、星野リゾート代表取締役社長の星野佳路氏、二期リゾート代表取締役の北山ひとみ氏、天空の森/忘れの里雅叙園の主人である田島健夫氏の3名は、今後の地域観光産業について、その土地の個性を大切にすることと、コンセプトを明確にすることの重要性を語った。

 星野氏は、同一人物の旅行行動として「癒しを求めて温泉旅館へ行き、別の機会には歴史文化を体験しにほかの所へ行く。冬にはスキー場でアクティブに過ごす」と紹介。一人一人のニーズが多様化したことを指摘し、誰もが満足できるものではなく、誰に対して何を提供するのかを明らかにすることの重要性を訴えた。

 また、スパやアートギャラリーなども展開する北山氏は「精神的充足や本当の豊かさを求める人が増えている」と語り、旅館に泊まること自体を目的とするのではなく、スパや食事、自然を体験することの結果としての宿泊という、新しい業態の可能性を示した。

 田島氏は「観光とは地域文化産業である」とし、「旅館は地域から離れてはならない」と述べた。「その土地の食材を用いた料理を提供すれば、その場所の味覚が分かる。その土地を丸ごと体感できる形は、地元の人にも喜ばれる観光の原点」だと強調。地元の人がプライドを持ち、そこに行ってみたいと思う人が集まる流れを作り出し、観光産業のあり方を変えていく必要があると言及した。