九州応援プロジェクト−熊本国際化センターからの投稿:熊本/シェムリアップのチャーター便

  • 2007年11月27日
民が仕掛けた観光拡大―熊本/シェムリアップのチャーター仕掛け人
〜熊本発チャーター便は熱烈歓迎ムード



今回のチャーター便によるツアーでは、8月11日から15日までの日程で「歴史友好の翼」訪問団として、160名が参加。チャーター便が到着すると、参加者ひとり一人に、関係省や政府、空港スタッフ、着飾った民族衣装の娘たちが花束、クローマーをプレゼントで出迎え、今回の歴史的交流に対する期待と歓迎が参加者に伝わった。また、空港での入国審査等はカンボジア政府側が一括で対応。ホテルまでの道のりも警察車両が先導するなど、特別対応だ。それは、両国の歴史関係のみならず、トン・コン観光大臣の初の海外公務が熊本城築城400年を祝う「歴史友情講演会」への出席であったこと、さらには日本との定期便就航を意識したチャーター増便計画のスタートとなる初の受け入れであった点だ。


▽観光と友好で未来につながる絆を

 シェムリアップはアンコールワットの観光がメインで、一般的に日本人は駆け足遺跡観光になりがち。しかし、今回は歴史友好訪問の旅なので、高齢者や障害者の方もしっかり観光できるよう、十分な観光時間と最高の案内ガイドを投入。障害を持つ人にはサポートスタッフを付けるなど配慮し、参加者は大満足だったようだ。

 翌日には「歴史友好訪問記念祝樹式」が開催。会場には観光大臣の声掛けで集まった州政府関係者、警察関係者、地元の人たち200名が参加した。ここでは熊本からチャーター便で運んで来た県木「くすのき」の苗木3本を記念植樹する。本来は要人代表で執り行うところだが、せっかくの友好訪問でもある。そこでツアー参加者ら、カンボジア側の参加者、そして今後大切に管理する営林局スタッフ達の手により、メコンの土に定植した。

 記念植樹の後は、公園中央に設けた「植樹式記念碑」の除幕式である。参加者からは気さくで庶民派のトン・コン観光大臣やシェムリアップ州知事夫妻と記念撮影をしながら、「もう一度絶対に、育ったこの木を見に来よう!」と、満足と感動の声が多く聞こえた。ちなみに植樹式会場は今後、同州営林局の責任で「熊本記念公園」として整備されることが決定している。

 また、観光省主催の「歓迎夕食会」では、アプサラソサイティ、警察署長など代表スタッフ、観光省関係者と現地ランド社のメンバーら参加。官民の枠を越え、補完し合いながら立場を越えて歴史的友好イベントの盛り上げを手伝っている。KICと支持団体側からはフンセン首相と観光省大臣に対し、展示用として高級着物を贈呈。カンボジア政府側からは石像や銀細工が贈呈された。


▽交流の場はプノンペンへ

 夕刻、プノンペンに場所を移してからも、観光省はメコン河にクルーズ船を仕立て歓迎夕食会を主催した。船にはプノンペン市からも上級幹部達が参加、カンボジア音楽団の演奏と歌声で友好の宴は盛り上がった。

 船上で観光大臣は、プノンペンにも観光客を増やし、外貨収入を得るための観光開発方法と、夜の観光地づくりのための「イルミネーション計画」の相談があった。同時に日本との定期便のない同国観光事情を改善するため、今年からはG6を利用する「チャーター増発計画」の説明もあった。日本各地から300本、九州から50本は飛ばせたら、木曜の「海外観光客500万人」の目第一歩となるとして、日本国内の旅行各社と受け入れ環境整備や人材育成などへの最大の協力が欲しいと要請された。

 4日目は最終の「記念植樹式会場」であるプノンペン市庁舎へ。市長ケップ氏は、熊本の自衛隊が我が国初のPKO部隊として活躍したタケオ州の知事を経て、2003年にプノンペン市長に着任。市長とはこれまでも、師範学校建設の落成式や日本人会盆踊り会、孤児施設建設用地提供などで何度も会っており、すでに友人の粋になっている。記念祝樹では市庁舎に勤務する職員たち250名、同国の主な報道機関も参加し、国を挙げての式典となった。熊本から訪問した「民間大使達」はその受け入れの規模に、驚かされたようだ。

 また、昼食時には、以前からKICが運営支援するメコンバス会社のダニー社長と、KICが育てた同国初のバスガイド嬢を招き、「民間表彰」を授与。ガイドのスン・ソポハラーさんは22才で、その仕事ぶりがこれからのカンボジアの観光業に関わる者の模範になると考えたのが、表彰をした理由だ。これまで海外からの表彰制度などは無い。そのため、カンボジアの人たちに仕事への誇りを持つことで離職率を下げ、安全・安心の観光環境作りの礎となるよう、今後も表彰制度を増やしたいと、観光省に提案をしているところだ。

 このように、これまでの「見る・食べる・泊まる」だけの旅行方式から、出会いや感動そして社会的付加価値を加味した訪問交流内容になってゆくと、もっと旅行人口も増えるに違いないと痛感した。KICは地雷廃絶が終えた同国の復興策は観光振興とその為の人材育成とし、各種支援策を講じている。同国のツアー企画などはどんどん申し出て欲しい。

文責:熊本国際化センター(KIC)理事長 谷川 政敏
KICサイト: http://mekon-daisuki.spaces.live.com/
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